【無料】文章理解第12弾ー高齢社会の防災対策編ー

2021年8月27日金曜日

 

目黒消防署(東京消防庁)

オリジナル文章理解(東消式)の第12弾です。おまけで漢字問題も用意していますので是非挑戦してみてください。

 

高齢社会における防災対策について述べられた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

(※資料は省略。制限時間4分)

 

 

本資料から読み取れる問題点は高齢者人口の割合が加速度的に増加していることである。つまり、昭和60年から平成27年の間を10年ずつの間隔で区切ってグラフを見てみると明らかに増加のペースが速いのである。具体的には昭和60年の時点で約1250万人であったのが平成7年では1800万人、17年では約2500万人、27年では約3400万人といずれの年度も10年前を上回るペースで高齢者が増え続けているのである。このような急激な高齢化進行による影響は救急要請の増加そして火災を含めた災害時における要援護者の増加が上げられる。そして火災や災害で亡くなる方の多くが60歳以上の高齢者であることから、彼らをいかにして守っていくかが重要となる。しかし都税から配分される予算は限られており、それらの対策としてむやみに消防署の増設や救急車を追加配備するわけにはいかない。

 

急増していく高齢者を限られた予算の中で守っていくためには未然に被害を防いでいくことが大切であると考える。つまり、そもそも火災を発生させないことや救急車を本当に必要な時に呼んでもらうこと、台風や大雨等接近が予知でき得る自然災害に対して早期避難を心掛けるようにしてもらうことである。私はこれらのことについて消防行政が高齢者の方々に周知していくにあたって防火防災診断の機会が活用できると考える。すなわち、高齢者宅へ伺い火災を未然に防ぐ呼びかけや、正しい救急要請、災害時の早期避難の心がけを説明し火災や災害時の被害を軽減させるのである。ただ、アドバイスしたとしても自分事として受け入れてもらえないケースが想像できるのもたしかである。なぜなら、誰しも火災や大規模災害による被害に直面するのは一生に一度あるかないかといった確率であるため、まさか自分が災害に遭うとは思いもしていない方が多いかもしれない。しかし火災や災害によって犠牲になる方の多くが60歳以上の高齢者である事実を考慮すると、高齢化社会において守らなければならないのは彼らの安全なのである。

 

そこで、高齢者の方々にトウジシャ意識を持っていただくよう防火防災診断を実施していかなければならない。例えばたばこの不始末がどのような結果を招くのかを画像を使いながら説明したり、2019年に発生した台風19号による犠牲者の多くが高齢者であったことを当時の新聞記事を用いながら解説する等なるべく納得がしやすいように実施するのである。また安易な理由で救急車が出動している実態があることも紹介し、緊急時以外は#7119救急相談センターに相談して頂くよう案内することに努めたい。このように災害の被害に遭いやすい高齢者の方々を未然に守り、自助力の強化を図っていくことが火災や災害に対して安全、安心な社会の創出につながると私は考える。

 

1:下線部➀加速度的の言い換えとして最も適当なものを選べ。

1:一定の割合で

2:じわじわと

3:急激に

4:突然

5:比較的

 

2:下線部②トウジシャの漢字表記として正しいものを選べ。

1:当事者

2:当自者

3:到事者

4:当次者

5:等事者

 

3:本文の主張として最も適切なものを選べ。

1:高齢者は年々加速度的に増加を続けており、救急要請や災害時の要援護者数の増加につながる。

2:東京消防庁は防災指導の施策として防火防災診断を実施しており、他の消防本部でも実施してみるべきだ。

3:高齢者に防災指導をしたとしても自分事として受け入れてもらえない可能性もあるが、決して諦めずに根気強く説得していく必要がある。

4:火災や災害による被害は未然に防げることが都民や行政にとって一番メリットがあるはずだ。よってこれからの防災行政の重点は高齢者への防災指導やアドバイスである。

5:高齢者は驚異的な速度で増加しており、限られた予算の中で彼らを守っていくためには当事者意識を持たせるように防災指導やアドバイスを行っていくべきだ

 






 

―解答―

1:③

2:①

3:⑤(本文全体の内容がコンパクトにまとまっている。)①:1段落に記述があるが、これはデータに基づくものであり筆者の主張とはならない

②:どこにも記述無し

③:自分事として受け止めてもらえない可能性があることは2段落後半で記述があるが、根気強く説得することについては記述無し。

④:未然に防げることが一番のメリットだとは言っていない。高齢者を被害にそもそも合わせないための策であって、本文中の表現を誇張した典型的なひっかけ選択肢である。

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