消防職員として働く上で信頼関係の重要性をあげ、信頼関係を築くためにあなたはどう取り組んでいくのか述べなさい。

2020年6月25日木曜日

















平成27年Ⅱ類
「消防職員として働く上で信頼関係の重要性をあげ、信頼関係を築くためにあなたはどう取り組んでいくのか述べなさい。」

の解答例、解説記事になります。まずは<ヒント編>を読み、自身で論文の簡単な骨格を作ってみてください。解答例はヒント編の次にあります。

<ヒント編>
●論題分析・構成
今回の論題はシンプルで、構成としては
「消防職員にとっての信頼関係の重要性をあげる」
「その信頼関係を築いていくにあたり自分はどう取り組むのか」
の順で書いていけば大丈夫です。

●消防職員にとっての信頼関係とは・・・

今回の論題のポイントである「消防職員にとっての信頼関係」についてですが、危険な現場で活動する機会もある仕事のため仲間内ではもちろん必要になってきます。しかし視点を変えてみると、民間企業におけるいわゆる「顧客からの信頼」と同様に業務(消防行政)を進めていくうえで仲間以外からの信頼関係もまた重要になってくることがイメージできるかと思います。
もう少しヒントを出すと、民間企業であれば自社の利益を上げていくためにはより多くの顧客を獲得し、サービスを提供していかなければなりません。その時に必要なのが自社や自社商品に対する顧客からの信頼です。
ここで考えたいのが東京消防庁における顧客とはどのような人々であるかということです。消防士は公務員であるため顧客という表現はあまりふさわしくないかもしれませんが、予防や査察、防災あるいは消火や救急、救助などの消防行政を遂行していくにあたってどのような人々の協力が必要になるかということです。そしてその協力を得ていくためには信頼関係が重要であるという展開をしていけば大丈夫です。

●練習
以上を踏まえて練習で構わないので以下の項目を約200字ほどで埋め、論文の骨格を作ってみてください。
「消防職員として働く上での信頼関係の重要性」200字程度)
「その信頼関係を築いていくために自分はどう取り組むのか」200字程度)




<解答例>
 消防職員にとって重要な信頼関係は2種類ある。すなわち、共に働く仲間に対してと都民との信頼関係である。消防の仕事においては危険な現場で命を救う場面が多いため共に活動する同僚や上司に対する声掛けや気遣い、報告や連絡が欠かせない。命がかかっている仕事だからこそお互いを信頼しながら仕事をしていかなければならない。また、例えば地域の防災訓練参加の依頼や消防車両の緊急走行時に道を譲ってもらうこと、事業所ごとに防災訓練の計画作成や訓練実行等都民や事業者の協力を必要とする場面も多い。消防行政を遂行していく際にはこのような都民からの協力が必要不可欠であり、同時にそれは消防職員への信頼感無しには成り立たない。

 まず仲間に対する信頼関係の構築にはコミュニケーションを徹底することを心掛けたい。このように考える理由としては学生時代に携わっていた駅員のアルバイト経験による。特に駅周辺にてイベント等が開催される際は混雑対応はもちろん、お客様同士のトラブルや迷子、道案内対応など多岐にわたる業務が同時並行で発生するため緊張感を強いられる。しかしそのような時でも駅員や警備会社スタッフの区別なく持ち場状況の報告やサポートに向かったほうがいいかコミュニケーションをこまめに取り合いながら混雑対応を行うことができた。目が回るほどの忙しさであったが周りには気を遣ってくれる仲間がいるというだけで非常に頼もしく、私自身も率先して他のスタッフを気遣う立ち回りができた。このようにお互いを支え合うコミュニケーションこそがチーム内の信頼関係の構築に役立つと考える。

 次に都民との信頼関係については誠実な対応を通じて構築していくことを心掛けたい。理由としては都民からの税金により当庁の運営が成り立っているからである。制服も当然その税金から賄われているものなので、いかなる時でも当庁の顔となってもいいように私はまず身だしなみから気を付けたい。また、平時においては署や出張所問わず民間業者からの消防相談や一般の方の施設見学等様々な理由での来庁が予想できる。そのような方々を見かけた際には自分の担当業務外のことであったとしても、すみやかな引継ぎや案内を率先して行うことを通じて来庁者をなるべくお待たせしない対応をとれるよう努めたい。これに関しては駅員のアルバイト経験で学んだお客様第一の心掛けが活かせると考えている。すなわち常に身だしなみに気を付け、自分で制服を手入れし駅の顔として従事すること及び様々な事情を持った方々に対する迅速なご案内の心掛けを活かしていきたい。以上2種類の信頼関係の構築を見てきたが、両者に共通するのは他人の立場になって考えることである。よって災害対応時であろうと平時の都民対応であろうと常に他人を優先して考えられる消防士として仕事をしていきたい。


<解説編>
●構成
1段落:消防職員にとっての信頼関係の重要性2種類(対仲間と対都民)
2段落:仲間に対してどのように信頼関係を構築するか
3段落:都民に対してどのように信頼関係を構築するか+まとめ

の構成になります。

ポイントは信頼関係の重要性を職員同士における面都民に対する面2種類を上げているところです。仲間内はもちろんですが、本文中1段落に述べたように防災訓練の参加協力や緊急車両の通行時に道を譲ってもらう等消防行政の遂行に際して都民の無償の協力が必要になる場面が多々あります。その際に必要なのが都民からの信頼感であると考えられます。
また、事業者に対しては消防計画(※)作成や防災訓練の実行など会社にとっては利益にならないことも依頼していかなければならず、これらに応じてもらえるようになるためにも消防職員への信頼感は大変重要になってきます。

※消防計画・・・
防火対象物や事業者ごとに対して火災や災害時の被害を最小限に抑えることを想定して作る計画書のこと。
詳しくは「企業 消防計画」で検索!


●コミュニケーション―仲間と信頼を築くためのツール―
当ブログではコミュニケーションについて
「いい仕事をする」
「仲間といい仕事関係を築く」
ためのツールと定義しており、ほかの論題においてもこのような側面で具体的体験談を用いて論を展開しています。

参考のためブログ内リンクを貼っておきますので、読んだことがない方は是非解説編だけでも目を通してください↓


コミュニケーションは親しい人とにぎやかに話すのとは異なり、仕事を進めていくうえで非常に重要なツールになっています。


●制服を身に着けるということ
本文3段落目で述べましたが、私は学生時に駅員のアルバイトに携わっていました。アルバイトであっても社員と同じ制服がありそれを着用しての勤務でした。

そしてよく駅長の方から言われたのが、アルバイトであろうと当社の制服を着用している以上会社ひいては駅の顔となる存在であるということでした。そして常にお客様第一で行動し、要望をよく聞き速やかなご案内を通じて信頼を損ねないよう努めて欲しいとも言われました。

つまり私としてはどこの消防本部に入ったとしてもその消防本部の名前が入った制服を着ることになるため、駅長に言われた「組織の顔になる」気持ちで仕事をしようと考えていました。そして平時においても来庁される都民に対しては駅員のアルバイトで学んだお客様第一のマインドを活かして、担当業務外のことであっても速やかな案内や引継ぎを通じて信頼を損ねないよう対応したいと考えていました。

コメント

0 件のコメント :

コメントを投稿