組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について考えを述べよ

2020年5月15日金曜日

















平成27年度 東京消防庁Ⅰ類2回目
「組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について考えを述べよ」

の解答例、解説記事になります。まずは<ヒント編>を読み、自身で論文の簡単な骨格を作ってみてください。解答例はヒント編の次にあります。




<ヒント編>
●課題分析、構成
今回の論題は明快で、言葉の順番通りに論を展開していけばOKです。
つまり、
「コミュニケーション不足による組織への影響」
「コミュニケーション活性化の方策」
の順で書けば大丈夫です。


ただ、このままだと硬い表現も相まって何を書けばいいかパッとしません。簡単に言い換えてみますので練習もかねてそれぞれ200字程度で埋めてみてください。


「コミュニケーション不足による組織への影響」200
情報共有しなければならない場面で自分のミスがあり、結果誰がどのようにしてそのミスを回復したのか。(※ミスを回復するにあたって費やされた労力や駆り出された人手は本来どのような役割で組織の一部を担っていたのか。ミスの回復に時間を割くあまり組織の活動が多少なりとも鈍るはずです。)


「コミュニケーション活性化の方策」200
上記を踏まえたうえで、そもそもそのミスを防ぐためにはどうすればよかったと考えるか(他者との情報共有がうまくいき、仕事(作業)がはかどった経験がある場合はそこから引用することもOK

まとめ200
消防士としてコミュニケーション不足に注意を払い、どのように働いていきたいか



<解答例>
コミュニケーション不足が組織に与える影響としては業務の生産性悪化であると考えている。このように考える理由としては家具販売会社での経験による。私はその会社において主に食器棚の接客を担当していた。会社の方針として食器棚は組み立て、設置まで無料で行うのが原則であった。しかし、ある日私が担当外であったカーペットを販売する機会があった。担当外の商品ということもあり緊張感のもとカーペット設置も無料で行うはずだと勝手に思い込んでしまい、上司に確認を取らずに契約してしまったことがあった。配達当日、カーペット設置が有料であることについてお客様からクレームの電話を頂いてしまい、結局私と上司がお客様宅に向かい設置を行いお詫びした。つまり私が上司にカーペットの設置サービスの有無を確認するというコミュニケーションが不足したことで余計な仕事を増やしてしまったのである。

コミュニケーションを活性化していくためには互いを気に掛け合う事が重要だと考える。これを徹底することでメンバーに安心と心の余裕が生まれ、緊張感を強いられる場面においてもこれらがコミュニケーションを生み出す素になるのである。学生時に携わっていた駅員のアルバイトでは、駅周辺にて祭りやイベント等が開催される際は該当日の1週間前から鉄道会社社員と警備会社のスタッフとともに当日の役割等について入念に打ち合わせすることが慣例であった。当日は混雑対応はもちろん、お客様同士のトラブルや迷子、道案内対応など多岐にわたる業務が同時並行的に発生するため緊張感を強いられる時間であった。しかしそのような時でも駅員や警備会社スタッフの区別なく全員でお互いに持ち場状況の報告やサポートに向かったほうがいいかコミュニケーションをこまめに取り合いながら混雑対応を行うことができた。目が回るほどの忙しさであったが周りには気を遣ってくれる仲間がいるというだけで非常に頼もしく、私自身も率先して他のスタッフを気遣う立ち回りができた。結果として私が勤務していた駅では列車を遅らせるようなトラブルを発生させることなく無事にイベント対応を終えることができていた。これはお互いを気に掛け支えあうことでコミュニケーションが活発化した結果だと私は考えている。

消防の仕事においては危険な現場で命を救う場面があるため、共に活動する同僚や上司に対する声掛けや気遣い、報告や連絡が欠かせない。このような緊張感を強いられる現場であってもお互いを気遣うことでメンバー内に安心と心の余裕が生まれ、コミュニケーションを活発にした活動ができる。コミュニケーションが活発になれば上記の駅での業務例のようにミスの無い効率的な活動ができると私は考える。私は特に家具販売でのコミュニケーション不足に起因する失敗経験を反省し、思い込みで行動することなく仲間と共に支えあいながら仕事ができる消防士を目指したい。


<解説編>
●構成
1段落
コミュニケーション不足が組織に与える影響情報共有ミスにより余計な仕事が増え、その対応に人員や時間を割くことで組織の生産性が鈍る)

2段落
コミュニケーションを活性化させる方策仲間内で気遣い合うことでコミュニケーションを活性化させる。駅員の混雑対応業務を例に仲間同士で支え合うことが信頼感の醸成やコミュニケーションを活発化させ、いい仕事をする原動力となる。)

3段落:まとめ(消防士としてどのように働いていきたいか)

の構成となっています。ヒント編でも述べましたが、硬い表現である今回の論題を簡単に言い換えると

「情報共有によるミスを誰がどのように対応したのか、その結果組織にどのような影響があったのか」
「そのミスを防ぐにはどうすればよかったと考えるか」

です。そして一番気になる「組織への影響」の表現方法ですが、本文では「業務の生産性悪化」としています。少し硬い表現ですが要は“余計な仕事が増える”ということです。

家具販売の仕事の例なのですが、私のコミュニケーション不足により結果として上司と私に「お客様宅に伺い、商品の設置とお詫びをする」という仕事が増えてしまったことが述べられています。

私一人がミスのリカバリーをするのであれば多少は目をつぶれるかもしれませんが、このケースでは責任者である上司まで巻き込んでしまっています。上司にも日々自分に任されている仕事や役割があるため、このクレーム対応のために上司が自身の時間を割くことは結果としてその上司の代打を任されるほかの上司にも面倒をかけることになります。これがすなわち「組織への影響」といえます。


●コミュニケーションとは・・・
当ブログを熟読してくださっている方にとっては常識かもしれませんが、コミュニケーションはあくまで「いい仕事をするためのツール」であり、「友人と仲良く話す」こととは全く違います

初めて当ブログに来られた方のために、コミュニケーションについての解説を含めた過去の記事のリンクを貼っておきます。是非参考にしてください。↓↓↓



コメント

0 件のコメント :

コメントを投稿