コミュニケーションの重要性について、あなたが経験したことを踏まえて述べなさい

2020年2月22日土曜日





















普通ポンプ車 西原1(東京消防庁 西東京消防署 西原出張所)



東京消防庁平成26年度Ⅱ類

「コミュニケーションの重要性について、あなたが経験したことを踏まえて述べなさい」

の解答例、解説記事になります。まずは<ヒント編>を読み、論文を書く練習をしてみましょう。
解答例はヒント編の次にあります。

<ヒント編>
論題分析→構成
今回の論題はやや抽象的なものとなっており一見すると書きづらい印象ですが、重要な点はズバリ

「コミュニケーションの重要性について」1段落目で自分の考えを書き

そしてその自分の考えを持つに至った理由や過程を2段落以降で書く

ことです。すなわち構成としては、

    「コミュニケーションがなぜ重要なのか」ということについての自分の考え
    その考えを持つに至った自分の具体的経験(できれば失敗経験が望ましい)
    まとめ(失敗経験を反省し、消防士としてどう生かしていくか)

です。まずは上記の①から③までの各項目ごとに150字程度で書く練習を行ってみてください。字数の増やし方に行き詰まった方は下の<解答例>編を参考にどうぞ。



<解答例>
社会においてコミュニケーションが重要とされている理由は二つあると考えている。1つは仕事における意識や目標を仲間内で統一するため、もう1つは誤解防止の観点から他人との正確な情報共有を行うためである。両者に共通しているのは徹底を図ることで仕事の質や効率向上が期待できる点である。私がこのような考えに至ったのは駅係員のアルバイトと家具販売の経験による。

駅員のアルバイトにおいては、主にホーム上にてお客様が安全に乗降できるよう列車とホームを監視する業務に携わった。特に駅周辺にて祭りやイベント等が開催される際はホームや改札が終日混雑に見舞われる。その為、該当日の1週間前から鉄道会社社員と警備会社のスタッフ十数名とともに当日の役割やスケジュールなどについて意見を出し合い入念に打ち合わせをして備えることが慣例となっていた。この準備もあり、当日は誰がどのポジションにてどのような役割を担っているかをしっかり把握した上で業務にあたることができた。そして時間の経過とともに変化する持ち場の繁閑状況に沿って、駅員や警備会社スタッフの区別なく全員でお互いに持ち場状況の報告やサポートに向かったほうがいいかどうかのコミュニケーションを取り合いながら効率よくお客様混雑対応を行うことができた。これは事前のミーティングで培った、大勢のお客様を安全、スムーズにご案内するという目標意識と当日のお互いを気に掛け合うコミュニケーションが生み出した結果だと私は考えている。

一方、家具販売でのアルバイト経験で感じたのは情報を共有するという点においてもコミュニケーションが重要であるということである。私がこのアルバイトにて携わっていたのは主に学習デスクと食器戸棚の接客、販売であり、またその会社の方針としてそれらの商品を販売した際は組み立て、設置まで行う契約を結ぶのが原則であった。しかし、ある日私が担当外であったカーペット商品を販売する機会があった。その際にカーペットもまたデスクと同様に設置までサービスで行うはずだと勝手に思い込んでしまい、売り場の責任者に確認を取らずに契約を決めてしまったことがあった。配達当日、カーペットは設置サービスを行っていないことについてお客様からクレームの電話を頂いてしまった。結局私と売り場の責任者でお客様宅に向かい、お詫びしたことで納得していただくことができた。このとき私は勝手な思い込みのもとに行動することが後々大きなトラブルを引き起こす可能性のあることを学ぶことができた。このようなミスを未然に防止するためにもコミュニケーションが重要である。今回のケースで言えば、契約前に私が一言売り場の責任者に対してカーペット設置サービスの有無を聞き、情報を共有するべきだったのである。

このようにコミュニケーションは仕事を行うにあたり他人といいビジネス関係を築き上げ、円滑で効率的な業務の遂行を可能にする。また勝手な思い込みを排除し、後々のトラブルを防ぐための正確な判断を下すツールともなる。とりわけ消防の仕事においては危険な現場で命を救う場面が多いため、共に活動する同僚や上司に対する声掛けや気遣い、報告や連絡が欠かせない。命がかかっている仕事だからこそチームの意識を統一する必要があり、また情報の伝達過程で誤解や思い込みがあってはならないのである。私は特に家具販売でのコミュニケーション不足に起因する失敗経験を反省し、思い込みで行動することなくチームの一員として仲間と共に仕事ができる消防士を目指したい。


<解説編>
構成
1段落
コミュニケーションがなぜ社会で重要視されているかについての自分の考え(意識や目標の統一、誤解の防止)

2段落
上記の考えを持つに至った自分の経験①(意識や目標を仲間内で統一:駅員のアルバイト経験)

3段落
上記の考えを持つに至った自分の経験②(誤解の防止:家具販売での失敗経験)

4段落
まとめ(社会でなぜコミュニケーションが重要なのか、消防の仕事におけるコミュニケーションの重要性、家具販売で失敗した経験を反省しどのような消防士になっていきたいか)

の構成です。ヒント編でも触れましたが、ポイントとしてはまず1段落目でコミュニケーションの重要性について自分の考えを書くことです。そして2段落以降でその考えを持つに至った経験や過程を書けばほぼ合格点の答案ができます。

ちなみに失敗した経験を上げることで最後のまとめに入った段階で「その失敗経験を反省しどう生かしていくか」という展開がスムーズにでき、字数が稼ぎやすくなります



●コミュニケーションとは?

解答例で述べましたが、そもそも社会においてコミュニケーションが重要視されているのはズバリ「いい仕事をする」あるいは「仲間といいビジネス関係を築く」ためだと私は考えています。

親しい友達と仲良く話すこととは次元が違います。

―「いいビジネス関係を築く」とは―
解答例の2段落目で上げた駅員アルバイトでの経験ですが、イベント当日は本文にある通り駅員と警備会社社員合わせて約20名ほどで警備や案内、混雑対応にあたっていました。当然時間の経過とともにお客様の流れや混雑のポイントが変わっていくため任された持ち場にずっと立っているのではなく駅構内や駅付近をせわしなく移動し、ある時はホーム上の警備、ある時は改札付近でのご案内等柔軟な立ち回りを求められました。

そのようなときに必要なのが仲間同士でのコミュニケーションです。今どの持ち場がどのような状況なのか、忙しそうにしているスタッフがいたらサポートに向かったほうがいいか声を掛ける、または自分の持ち場が忙しくなったら応援を呼ぶ等仲間内で気遣いあったりコミュニケーションをとることで仕事が効率的に運ぶようになります。

このようにお互いを支えあい感謝しあうことで駅員、警備員の枠を越えて信頼感が生まれ、次回の仕事も同じようにスムーズに進められるようになるわけです。これが「仲間といいビジネス関係を築く」ためのコミュニケーションの重要性です。

―「いい仕事をする」とは―
一方3段落目にて上げた家具販売での経験のように、コミュニケーション不足は時にトラブルを起こすことがあります。当時の私は厳しくなっていく家具業界において働いていた店に対して少しでも役に立とうと思い、来店されたお客様にはなるべくスピーディーなご案内をし顧客満足度に貢献しようと心掛けていました。

そして、ある日責任者が全員席を外している際に担当外のカーペットを販売する機会がありました。契約書を作成する際、もともと学習デスクと食器戸棚を担当していた私はカーペットも食器棚と同様に設置もサービスで行うだろうと勝手に思い込んで契約書を発行してしまいました。お客様を待たせないご案内を心掛けるあまり、勝手な思い込みのもと仕事を進めてしまったということになります。そして商品が届いた際に設置を行っていないことを知ったお客様からクレームの電話が発生し、結果として私と責任者が社用車で片道40分もかけてお客様宅に向かいカーペットを敷き、お詫びをすることで収まりました。

今回のケースでは確認すべき部分が発生した際は判明するまでやむを得ず待っていただくようお客様に意思を伝えること、そして上司に事の報告と確認をとることで後々のトラブルや余計な仕事が減らせたはずだということがわかります。仮に今回カーペットの設置について疑問に思った際お客様に少し待っていただき、上司にきちんと確認をとったうえで契約書を発行していれば配達日当日にお客様を怒らせず満足度を高められ、また上司も連れて車で片道40分かけてまで仕事をせずに済んだのです

これが「いい仕事をする」ためのコミュニケーションの重要性です。

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