あなたが今まで最も困難だったと感じた経験から学んだことをあげ、それをこれからどのように活かしていくか述べなさい

2017年9月10日日曜日


東京消防庁平成25年度Ⅰ類2回目

あなたが今まで最も困難だったと感じた経験から学んだことをあげ、それをこれからどのように活かしていくか述べなさい。

の解答例、解説記事になります。まずは<ヒント編>を読み、自身で簡単な論文の骨格を作ってみてください。

<ヒント編>
●最も困難だった経験とは・・・
解答するにあたり、まず論題にある「最も困難な経験」とはどのようなものか考える必要があります。ただ、普通の学生生活を送ってきた中で最も困難な経験といわれてもそれに見合うようなものはないと考えてしまう方が多いかと思います。

そのような方は「最も困難な経験」「思い通りにいかなかった経験」と単純に置き換えて考えてみることをお勧めします。そして、思い通りにいかなかった際にどのように行動し、どのようなことを学んだのか多少盛ってでも構わないのでPRすれば論題に答えることができます。


上記を踏まえ、練習を兼ねて下の項目についてそれぞれ200字程度で埋めてみてください。これが論文の骨格となります。
「最も困難な経験(思い通りに行かなかった経験)から学んだこと」200字
「学んだことを消防士としてどのように活かしていくか」200字

<例文編>
私が最も困難だと感じた経験は、空手の帯の昇級である。私は学生時代空手サークルに所属していた。その空手サークルが加入している流派は10級から始まるのであるが、試合出場のためには6級を取得していなければならない。そのことにより、サークルに加入した者はまず6級を取得するよう修練に励まなければならないのである。

 私は結果として1年時の冬に6級まで昇級できたのであるが、この経験から学んだことは自分で考え、行動することの重要性である。サークルに入部したての頃、先輩方には昇級の練習や指導で常に面倒を見てもらっていた。しかし7級を取得以降はその機会が減り、先輩方は自身の昇級や昇段のための練習を優先するようになっていた。つまり私を含めた新入生は6級に昇級するにあたり、自分たちで練習課題を見つけ修練しなければならなかったのである。また昇級審査に不合格になったとしても、審査役の師範から改善点の指摘はないため、自身で技術を向上させる意識を持つ必要があった。当初、私は何から始めればよいか全くわからなかった。また、自身で課題を見つけ克服しなければならない状況自体初めてであったため困惑してしまった。当然、練習も上級者の見よう見まねで正解が分からずに我流で行っていた。

 私を含めた新入生が2回目の試験に不合格となった時、私は次回の受験にて必ず全員で合格しようと呼びかけた。そしてサークル練習後はなるべく全員で自主練習を行い、お互いに課題を指摘し合うことを決めた。実際にその取り組みを行ってみたところ、自身では気づかなかった欠点や、間違った思い込み等が把握でき、またそれらを新入生全体で共有することもできた。そして普段のサークル練習時においても知識や技術の習得においてお互いに支え、高め合える雰囲気の醸成にもつなげることができた。そして3回目の審査を挑戦したところ、全員が合格でき達成感と共に仲間への感謝の気持ちも持つことができた。私は上記の経験から、自分で考え行動する重要性を学んだ。先輩方から教わるのを待っていた場合、おそらく昇級できた時期も後ろにずれ込んでいただろう。自分で考え仲間を巻き込み、団結して修練に取り組んだからこそ昇級できたと私は考えている。

 消防においても、この経験で学んだことは大いに活かせると考えている。消防学校においては約6か月間毎日のように助教の方々に訓練や指導をして頂ける。しかし、現場に配属になった際、同じように毎日上司の方から指導してもらえるとは限らない。そこで私は仮にポンプ隊に配属になった際、災害出場や訓練を通じて常に自身の課題点を探っていく姿勢を忘れないようにしたい。そして後輩が入ってくる1年後を目途とし、1人前のポンプ隊員として振る舞えるよう体力、技術面で常に向上心を持ち続けていきたいと考えている。例えば日々の体力トレーニングや管轄内の道路の把握、先輩方が現場で磨き上げてきた放水技術の習得等を常に意識し消防職員として業務に打ち込んでいきたい。また、ポンプ隊は火災現場において救急隊や救助隊、はしご隊と連携し人命救助にあたる。そのため、私は所属の署内において救急隊や救助隊、はしご隊が訓練を行っていれば積極的に参加してみたり、見学を通じてそれぞれの部隊活動において必要な知識や技術の習得にも励んでいきたいと考えている。上記のような場面において自分で考え、積極的に動き、自身を高めていく際に空手サークルにおいて培った経験を活かしていきたい。


<解説編>
ポイント1構成

構成としては

12段落:導入及び最も困難だったこと
3段落:困難の克服、克服過程で得たもの
4段落:消防においてどのように活かしていくか

の構成になっています。
今回、構成において重要なものは

「最も困難だと感じた経験」
「それをどのように克服したか」
「克服した過程で得たものをどう活かすか」

この3つをしっかり述べていくことです。
ポイントとしては困難だった経験を述べる際に「困難の度合い」をなるべく具体的に描写することです。

ここがしっかりしていれば読み手に自分がいかに困難な境遇にあったかが伝わります(300字程度に収めましょう)。

そして「克服した過程」において自分がどのように困難を乗り越えていったのか述べるわけですが、失敗、挫折してしまったケースでも構いません。要は自分がどのようなことを学んだのかが書ければいいです。


ポイント2積極性
社会人において積極性は非常に重要です。どこの会社においても入社すれば23か月程度はおそらく研修期間として何をするにしても先輩社員の指導の下、仕事を行うことになるかと思います。

ただ、その先輩方も自身に任された仕事を行いながら面倒を見ているのであって、後輩の面倒を見ること自体が仕事ではないはずです。いずれかは後輩に自立してもらい、1人前の戦力として会社を支えていってほしいと思っているはずです。


そして、この研修期間に発揮したいのが積極性です。将来自分の仕事に関わるか否かを問わず、職場内で疑問に感じたことがあれば何でも質問していくことです。先輩方に面倒な奴と思われるのではないかと感じた方もいるかと思います。しかし、社会人としては黙っている人より、何でも疑問をぶつけ、会社や仕事に対しに積極的に関わろうとする人に好印象を持ちます


私の個人的な体験なのですが、大学卒業後1年ほど都内の家具販売店で働いていました。

ダイニングセットの販売が仕事だったのですが、通路を挟んだ反対側に絨毯やカーペットのコーナーがありました。陳列されているオリエンタル絨毯の様々な模様が興味深かったため、仕事終わりに担当者にその種類や意味などについてしばしば聞いていました。

その担当者の方は決して嫌な顔をせず、むしろ活き活きと生産地や銘柄、絨毯の織り方についてまでも詳しく説明してくれたのを覚えています。そしていつの間にか絨毯やカーペットの知識が身についてしまっており、売り場を任されるようにもなりました。

このように、自身の職種に関わるか否かを問わず疑問に思ったことを先輩方にどんどん質問していくことは決して損なことではないはずです。

むしろこのような積極性が会社に気に入られ、入社した当初では想定していなかった新しいキャリアの道が開けるかもしれません。待っていれば誰かが教えてくれるといった姿勢はNGであり、自分から行動することが大切です。


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