社会人として必要なものを3つ挙げ、それを身に付けるためにあなたが今後どう取り組んでいくのか具体的に述べよ。(東京消防庁 令和2年2回目)

2021年5月2日日曜日

 


社会人として必要なものを3つ挙げ、それを身に付けるためにあなたが今後どう取り組んでいくのか具体的に述べよ。(令和2年2回目)

 

の解答例、解説記事になります。まずはヒント編を読み、論文を作る練習をしてみてください。

 

<ヒント編>

1:論題分析・構成

今回の論題はシンプルです。社会人として必要なものを3つ上げたうえでそれらを身につける取り組みについて述べれば大丈夫です。

 

よって構成としては

 

➀社会人にとって必要なもの3

②それらを身につけるためどのように取り組むか

 

または

 

➀社会人にとって必要なもの1つ目とそれを身につける取り組み

②社会人にとって必要なもの2つ目とそれを身につける取り組み

③社会人にとって必要なもの3つ目とそれを身につける取り組み

 

のいずれかになりますが、私としては前者の構成のほうが好きです。

構成の仕方に特に正解はないのですが、前者の方が問いの前提である「社会人にとって必要なもの3つ」を早い段階で上げているので読みやすくなると思っています。

  

2:社会人にとって必要なものとは?

問いの前提となっている「社会人にとって必要なもの」についてですが、ヒントになるものが「学生と社会人の違い」です。

学生と社会人を比較したとき明らかに異なる一つの要素があるのですが分かるでしょうか。ちなみに私の考えになりますが「責任」ではありません。学生でも部活動の部長や委員会活動の役員など責任のある立場に立って学校生活を送っている方がいるからです。

 

もう少しヒントを上げると、「学生はいい成績を取るために勉強し、社会人は自社の売り上げを上昇させるために働いている」ということです(※極端な例ですが)

 

3:練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に書く練習をしてみましょう。構成については1で紹介した2パターンのうち前者の方を使ってみます。

 

1段落:社会人にとって必要なもの3つ。約150(学生と社会人の違いをヒントに)

2段落:それらを身につける取り組み。約200

3段落:まとめ等。約100

 

 

<解答例>

社会人として必要なものは他人の立場になって考える力、先を見越して物事に当たる力、改善点を見出し実行していく力の3つであると考えている。理由としては、現在従事している駅員アルバイトでの経験が上げられる。具体的には老若男女様々なお客様がご利用になる駅においては時にお客様の立場に立った柔軟な対応が求められる場合があった。また、事故や急病人発生時にはホーム上や改札口の混雑を最小限に抑えるために先を見越した迅速な対応を求められることもあった。そして改札口付近での案内業務においては様々な路線への乗り換えや、周辺の道案内など勉強しなければならないことが多岐にわたる。そのため常に自分の知識の点検を行うことでよりよいご案内のための改善を実行していく必要があった。

 

上記の体験を踏まえ、まず私は他人の立場になって考える力を顧客第一とする行動で身につけたい。駅には杖をついていたりベビーカーを押している、あるいは障害のあるお客様がご利用になる場合が多々ある。彼らを見かけた際にまずどのように手伝って欲しいか想像し、そして逐一声掛けを行うことで乗車までのお手伝いの提案をしていきたい。次に先を見越した対応力についてであるが、これは先述した他人の立場を想像する力を応用することで身につくと考えている。具体的にはベビーカーを押している方を見かけたら1人で声掛けを行うのではなく、もう1名安全管理のために応援を呼び2名体制で対応することで事故やリスクを未然に防ぐのである。このように他人の立場を想像し、お手伝いを提案する前により安全、確実にご乗車まで案内するにはどうするかという思考のステップを挟むことで先を見越した対応力を身につけていきたい。最後に改善点を見出し実行していく力は、常に自分の知識をアップグレードする習慣で身につけていきたい。例えば駅周辺のご案内の際地図を見れば目的地への道順は案内できる。しかし、その道順では坂道が高齢者にとって負担になるケースがある。いかなるときでもその方に適した道が案内できるよう事前に自分で様々な場所へ歩いて確認し知識のアップグレードを行っていきたい。また、乗換案内においてもダイヤ改正により3路線を跨ぐ乗り換えについては今までの方法が逆に時間ロスになってしまう場合がある。その為、乗り換え情報は定期的にチェックし適切なご案内ができるよう改善を続けていきたい。このように今までのご案内で本当に適切か、常に疑ってかかり自分で確認することで業務の改善を実行する習慣を身につけたい。

 

社会人は学生と異なり正解のない課題に取り組む立場であり、自分で考えることが重要になってくると考えている。上で述べた他人の心情を想像すること、先を見越すことや改善の実行も全ては自分で思考することから始まっている。これからも駅員アルバイトにおいてはお客様を第一に考え、社会人としての力を身につけていきたい。(1200字)

 

<解説編>

1:構成

構成としては

1段落:社会人にとって必要なもの3

(他者の立場を想像すること/先を見越して物事に当たる力/改善意識)

 

2段落:それらを身につける取り組み

(お客様第一でどんな方でも安全に乗車のお手伝い/お手伝いするにあたって安全を確保するために思考のステップを挟む/現在の知識、マニュアルに対する疑いを通じたアップグレード)

 

3段落:まとめ

(社会人は正解のない課題に取り組む立場/アルバイトは社会人になるにあたっての準備期間)

となっています。

 

 

2:学生と社会人の違いとは?

(※現在この記事のこの項目を読んでいる学生の方は超ラッキーだと思ってください。以下に述べることは私が社会人となって気付いたことなので現在学生の方、フリーターで過ごされている方には参考になることと思います。)

 

この問いの大前提となっている「社会人に必要な3つの力」はヒント編でも述べたように「学生と社会人の違い」が参考になります。

 

では「学生と社会人の違い」とは何かというと・・・

「正解のある課題に取り組むのが学生、正解の無い課題に取り組むのが社会人」

です。学生は日々学校で先生から教わり、テストで良い点数を取ることがいい成績につながっています。課題を解くにあたっては必ず正解が存在し、先生のいうことを聞いていればまず落ちぶれることはありません。

一方、社会人はどうでしょうか。例えばお菓子メーカーであればどのような新商品(お菓子)をどのような層にいくらの値段をつけてどれほど販売するのか全て自分(あるいは仲間達)で考えなければ、新商品開発プロジェクトは前に進みません。仮にプロジェクトが失敗し会社の利益が落ちれば自分の評価が落ちたり、最悪の場合会社が潰れる可能性だってあります。自分や会社が生き残るうえで一番重要なのが「自分で考えること」です。

 

ではなにを考えるのかというと、「顧客・先の予測・改善」です。極端な例ですがメーカーの場合、

 

・顧客はどのようなものを欲しているか、いくらだったら購入してもらえるか?

 

・開発する際にはどのような材料をどのように加工しどれほど作るのか?売れる個数を予測した上でなるべく安く製造できるよう計画する。

 

・売り上げの動向を見ながら価格は適正か、材料仕入れや製造工程、販売方法で無駄がないか、チェックし改善につなげる

 

会社にもよるでしょうが、大方このようなサイクル回しが利益確保や商品開発の基本になっているはずです。


お分かりかと思いますがすべての工程で「考える」ことが出発点になっています。またどの工程にも正解は無く先生となる存在もいません。このことから、本文3段落目でも述べたように社会人は「正解の無い課題について考える」立場であるということが言えます。それを踏まえると、社会人として必要な力とは「顧客(他人)の心情を考える力」「先を予測した上で行動する力」「改善を考える力」の3つであると考えることができます。

 

3:消防士を絡める必要はあるか?

今回の論題では「社会人として~・・・」と消防が絡んでいる様子はありません。私としてはどちらでも構わないとは思いますが、消防まで深く掘り下げて論述すると字数が超過してしまう恐れがあります。

実際に、3つも必要な力を上げたうえで身につける方法を具体的に述べると本文のように1200字ギリギリになってしまいます。仮に必要な力2つ上げだったら消防に絡めても何とか収まるかもしれません。

ただ、大きな枠組みで見れば消防士も社会人であり、仕事をする上で「考えること」が重要な立場であることは変わりありません。災害時は要救助者や共に活動する隊員達の安全を考えければならず、出動時には緊急走行する車両の中で現場の情報を元に先を予測し作戦や行動を決定していかなければなりません。また、日ごろ行われているあらゆる訓練でも必ず反省会や振り返りがあるので、より効率的で安全な方法へと改善していく場面は十分にあります。

 

論題で「社会人に必要な力を3つ上げ~・・・」と指定されている時点で具体的に身につける行動まで述べると制限字数に迫ってしまうのは明らかです。そのため私としては消防まで絡める必要はないかと思います。

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