組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。
平成28年Ⅰ類
「組織において、個々の有する能力を発揮するために大切なことを2つあげ、あなたがどのように実践していくのか具体的に述べなさい。」
の解答例の解答例、解説記事になります。まずは<ヒント編>を読み、自身で論文の簡単な骨格を作ってみてください。解答例はヒント編の次にあります。
<ヒント編>
① 論題分析、構成
(解答に当たっての二つの重要なポイントとは・・・)
今回の論題は
「個々の有する能力を発揮するにあたって必要なこと2つ」
「自分がどのように実践していくのか」
の順で記述していけばOKです。
このラインを越えると逆に「自分がどのように実践していくのか」を記述していく際に字数がオーバーするか、あまりに短くなってしまうかのどちらかにはまってしまいます。また、この論題の一番重要なポイントがこの「自分がどのように実践していくか」の部分なのでこの部分が短いと得点が稼げなくなってしまいます。
よって、その体験談を引用していく際にいかにして端的に、分かりやすく、要点を絞って記述できるかが二番目に重要なポイントとなります。
② 練習
では上記を踏まえたうえで構成の練習をしてみましょう。
個々の有する能力を発揮するにあたって必要なこと2つ:60字程度
(結論から入り、端的に2種類上げること)
「1つ目を上げた理由と自分がそれをどのように実践するか」:350字程度
(割合:これを上げた理由に具体的体験を200字程度、実践について150字程度)
「2つ目を上げた理由と自分がそれをどのように実践するか」:350字程度
(割合:これを上げた理由に具体的体験を200字程度、実践について150字程度)
<解答例>
組織において個々の能力を発揮していくには互いを気遣うことと、些細なことでも褒める環境が大切だと考える。
まず、お互いを気遣う重要性を感じたのは駅員のアルバイト経験による。駅周辺にて祭り等が開催される際は警備会社のスタッフと共に駅構内や周辺の警備や案内を行っていた。当日は非常に混雑するため緊張感を強いられるが、駅員や警備会社スタッフの区別なく全員で声を掛け合いながら柔軟に対応を行うことができた。その時周りに気を遣ってくれる仲間がいるというだけで非常に頼もしく、私も率先して他のスタッフを気遣い感謝される立ち回りができた。この経験があったことで普段の勤務においても仲間のサポートや困っているお客様を見逃さない視野の広さを発揮できるようになった。アルバイトではあるが私の駅員としての能力を発揮できるきっかけとなったのである。この気遣う心掛けを現場配属になった際に実践していきたい。新人は普段の仕事に加え掃除や炊事等様々な仕事を任され目が回る忙しさになる。その仕事を自分の役割に沿って行うことになるが、私は自分の役割だけにとらわれず手が空いた際は同僚が困っていないか常に気にかけ自分にできることはサポートしていくことを心掛けたい。駅員アルバイトでの経験のように頼れる仲間がいるだけで心強く自身の心にも余裕ができ、その余裕が視野の広さや仲間への信頼感等の能力醸成や発揮の素になると考えるからだ。
次に褒めることの重要性を感じた理由は空手サークルでの経験による。入部したての頃は昇級するにあたり先輩方に常に面倒を見てもらっていたが、次第に彼らは自身の為の練習を優先するようになっていった。私を含めた新入生は昇級するにあたり自分で課題を見つけ練習する必要があった。その際私はお互いの昇級に必要な型や演武について些細なことでも褒め合うことを提案した。その結果自分では気付かない部分が褒められモチベーション維持につながっていった。そしてより良いパフォーマンスを発揮していくにはどうすればいいか仲間内で自然と考えられるようになっていった。この褒めることについては私が後輩を持った際に実践していきたい。消防学校においては毎日のように助教の方々に指導をして頂けるが、現場に配属になった際は上司の方から指導してもらえるとは限らない。その際に空手サークルでの例のように、自身で課題を見つけ克服していく際に戸惑う者が生じることが想像できる。その時に後輩の行った仕事や訓練について悪い点の指摘はもちろんだが必ず1つは褒められる部分を見つけて伝えるよう努めたい。そして後輩達のやる気やモチベーション維持を促し、より良い仕事をしようと自発的に思ってもらえるようコミュニケーションを取っていきたいと考えている。そして後輩たちの能力発揮を後押しできるような消防士として働いていきたい。
計1172字
<解説編>
構成
1段落
個々の有する能力を発揮するにあたって必要なこと2つ(気遣うこと+褒めること):51字
2段落
気遣うことを上げた理由とどのように自分が実践するか(駅員アルバイトの経験:270字+現場配属された際の仲間への気遣い:233字)
3段落
褒めることを上げた理由とどのように自分が実践するか(空手サークルでの経験:266字+後輩の能力開花へのサポートとして実践:300字)
の構成となっています。ちなみに本文の字数は1172字と制限ギリギリなのですが、2段落以降の字数を見てみると具体的体験はそれぞれ270字程度しか割かれていません。
やはり論題の一番重要な部分である「自分がどのように実践するか」を記述する前提として具体的体験を要点を絞って記述することが大事だとわかります。
●褒めることの重要性―山本五十六の名言から考える―
突然ですがこのような名言を聞いたことがあるでしょうか?
「やって見せ、言って聞かせて、やらせて見て、ほめてやらねば、人は動かじ。」
これは山本五十六(やまもといそろく)という旧日本海軍所属のエリート軍人が残した名言の一つです。
人材育成に関する名言であり注目すべきは後半部分の「やらせてみて、褒めてやらねば人は動かじ。」です。他人に指導や教育をする際、やって見せて、言って聞かせるまでは誰しも行っているかと思われますが、やらせてみて褒めることまで実践している者は中々いないと思います。どんな些細なことでも褒められることが指導される者にとってモチベーションややる気の上昇につながり、より良いパフォーマンスを発揮する原動力となります。
私は高校生の頃から日本史が好きでたまたまこの名言も知っていました。本文で述べたように私は空手サークルでの昇級において同期と共に行き詰まった際その名言を思い出し、お互いに褒めることを実践してみたところ、お互いの良い所の発見につながりました。それが厳しい昇級の試験を同期と共に乗り越える原動力になったというわけです。
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿