【H26年度名古屋市消防局】組織へのメンバーに対する支援・サポートの経験及びその経験から学んだことについて
池袋消防署(東京消防庁)
H26年度名古屋市消防局大卒程度
『あなたがこれまでに所属した学校のクラス、サークル及び職場等の組織における友人後輩や同僚等組織のメンバーに対しての指導教育や手助け、協力といった「他者への支援・サポート」に関する経験についてあなたの取り組みとその組織から得たことや学んだことなどを述べてください。』
の解答例、解説記事になります。まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみてください。
<ヒント編>
1:論題分析
一見長い論題に見えますが、要約すると
「他者への支援を行った経験からどのようなことを学んだか」
と言い換えることができます。注意したいのはあくまで「支援」についての出題であり、リーダーシップのような「引っ張り・引率」についてのお題ではないことです。
2:他者へ支援した経験が思い当たらない
これまでの経験で「他者への支援の経験」が無い、あるいは思い当たらないといった方もいるかと思われます。
そのような時は
「恩返しをした経験」
を当てはめると良いでしょう。
「どのようなきっかけ(理由)で誰にどのようなことをやってあげたのか」
を思い返してみてください。
サークルやアルバイト先での仕事で何かをやってもらったり、手伝ってもらった際に感謝の念を抱いたことがあるかと思われます。その感謝の念の対価として払うのが「恩返し」であり、言い換えれば他者への支援であると私は考えています。
3:練習
ウォーミングアップが終わったところで実際に書く練習をしてみます。
①他者を支援した経験(恩返しをした経験)約100字
きっかけ・誰に・どのようなことを?
②その経験からどのようなことを学んだか。約100字
<解答例>
他者への支援、サポートを行った経験として、学生時代携わっていた駅員のアルバイト勤務が上げられる。特に駅周辺にてイベント等が開催される際は混雑対応はもちろん、お客様同士のトラブルや迷子、道案内対応など多岐にわたる業務が同時並行で発生する。しかしそのような時でも駅員や警備会社スタッフの区別なく持ち場状況の報告やサポートに向かったほうがいいかコミュニケーションをこまめに取り合いながら混雑対応を行うことができた。目が回るほどの忙しさであったが周りには気を遣ってくれる仲間がいるというだけで非常に頼もしく、私自身も率先して他のスタッフを気遣う立ち回りができた。意識したこととしては常に自分にできる仕事を探すことである。混雑するとはいっても時間の経過と共に客数の増減があり、また持ち場によって忙しさの具合も変化していく。そのような状況で自分の持ち場ではないからといって知らぬふりをすることなく、担当の者にどのようなサポートが必要かを聞き出すことを意識した。そして自分の能力とのすり合わせを行った上で自分のできる限りの仕事をするよう心掛けた。
この駅員アルバイトでの経験から学んだことは視野を広く保つこと、他人の立場になって考えることの重要性である。会社において仕事を行う場合、事前に何らかの役割を与えられる。しかし、実際に業務に臨むと事前には想定していなかったイレギュラーな事態が発生する場合がある。その時に重要なものが他人へのサポートや支援であると私は考えている。以前の私は与えられた仕事を言われたとおりに行えばいいという考えを持っていた。しかし初めて上記のような混雑対応の業務に携わった際、必ずしも役割にはまった仕事ばかりを行っていればいいというわけではないことを思い知らされた。現場の状況は常に流動しており、想定していなかった事態も発生する可能性も十分に考えられる。いかなる状況でも組織の目標や目的を達成するためには、個人がそれぞれ広い視野を持ちメンバーの様子を気にかけながら仕事を行うことが重要であるということを学んだ。また、サポートするにあたってもただ自分のやりたいように実施するのでは効果が薄くなってしまう。自分が担当者であったらサポート者にどういうことをして欲しいか、またどのように動けばサポートとしての効果が効率よく発揮できるか考えることも重要だと学んだ。
上記の駅員アルバイトでの経験後、視野が広がったおかげで勤務中は駅構内で困っている同僚を絶対に見逃さないという意識を持つことができた。この意識の下で同僚に尽くしていくことで、自分が困った際は逆に自然と手を差し伸べてくれる者が増えていく実感を得た。つまり視野を広く保つこと、他人の立場を考えながら仕事を行うことは結果として信頼関係をいいものへと築き上げることにつながる。よって私は今後どのような組織に所属したとしても常に他人を気に掛ける行動を意識していきたい。
<解説編>
1:構成
1段落(他者を支援した経験)
駅員アルバイトの経験
イベント時の混雑対応
必ずしも役割にとらわれず、メンバー間でコミュニケーションを取り支え合いながら柔軟に対応した
2段落(学んだこと)
視野を広く保つこと・他人の立場を考える
会社での仕事は常に流動的。現実に即した柔軟な対応を実施する際に他者へのサポートが必要になる。
3段落(どう活かしていきたいか)
どんな組織に属したとしても学んだことを活かし、仕事を行うにあたっていい人間関係を築いていきたい。
の構成となっています。
3段落目の「どう活かしていきたいか」についてですが、この部分は無くても大丈夫です。
解答例ではあくまでおまけ程度につけています。
論題で問われていることはあくまで「他者への支援の経験」と「何を学んだか」の2点なのでこれらさえ答えることができれば合格点となります。
また、消防に絡める必要性についても同様に無理に行う必要はありません。
2:他者への支援の経験が思いつかない
ヒント編でも少し触れましたが、他者への支援の経験が無い方は「恩返しの経験」を当てはめることをお勧めしました。
しかしこの「恩返し」すらしたことが無い、思い当たらないといった方は黄信号です。つまり、
「自分に任されたことだけやっていればいい」
「自分にはかかわりの無いことだから関係ない」
との考えを潜在的に持っている自己中心的な人物といっても過言ではありません。
これは社会人として採用される以前の問題で、面接で見抜かれると即不合格となる可能性が大きいので要注意です。
思い当たる方は明日からでもサークルやアルバイト等で自分にできることを何でもいいので探し、組織にとってプラスになることを実践する経験をしたいところです。その上で改めてこの論題に挑戦してみてください。
厳しいことを述べましたが、解答例でも記述されているように会社の仕事とは常に状況が流動していくものです。
そのため必ずしも自分に与えられた役割のみこなしているだけでは組織にとってプラスにはならない場合が多いです。常に周囲を観察し自分にできること、どのように動き支援すればメンバーの助けになるのか考えながら働くことが重要になってきます。
自分の仕事をこなすことも重要ですが、このように「他人に尽くすこと」を積み重ねていくことで逆に自分が困ったときに周りから「無償の支援」を行ってもらえるということになります。
いわば組織においていい人間関係(ビジネス関係)を作っていくための重要な要素といえます。
3:コミュニケーションもまた重要
解答例でも触れていますが、支援するといってもやみくもに自分のやりたいようにやるだけでは何のプラスにもなりません。逆にマイナスとなって周囲の足を引っ張ることにもなりかねません。
そこで重要なのが「コミュニケーション能力」です。本ブログを熟読している方には常識かもしれませんが仕事におけるコミュニケーションとはただ仲間と楽しくお喋りする能力のことではありません。
互いに情報を共有して思い込みを排除し、自身の役割に沿って物事にあたる一方で柔軟に役割を越えて対応する際に重要ないわば「いい仕事をするためのツール」です。
コミュニケーション能力を使って他人の意図をくみ取り、どのようなことをして欲しいか、そしてそれを踏まえた上で自分はどのように動けばいいか考えることが一番効率的かつ効果的な支援を行う基本になります。
コミュニケーション能力の活かし方について述べた解答例・解説記事をいくつか貼っておきます。
まだ読まれていない方は是非参考にどうぞ↓↓
組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について考えを述べよ
コミュニケーションの重要性について、あなたが経験したことを踏まえて述べなさい
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