東京消防庁に都民が期待することをあげ、消防官としてあなたはどのように取り組むのか考えを述べよ
小型ポンプ車 大和2(東京消防庁 野方消防署 大和出張所)
東京消防庁H23年Ⅰ類1回目
「東京消防庁に都民が期待することをあげ、消防官としてあなたはどのように取り組むのか考えを述べよ」
の解答例です。時間がある方は解説編もどうぞ。
<例文編>
東京消防庁に都民が期待していることは、毎年増加する救急需要への対策があると考えている。例えば、救急車の到着
時間の短縮や正しい利用マナーの普及啓発等である。また、都民の方々が自助や共助に携わるうえで必要になってくる応急手当の知識、技術やAEDの使用方法の普及も重要である。昨年度の東京消防庁の救急出場件数は約75万9千件であり、42秒に1回救急車が出動している。この出場頻度は全国の消防本部と比較してもけた違いに高い。このような状況の中で、本当に必要な時に救急車がすぐに来てくれるかどうかということは都民が大いに不安に感じていることであり、この問題の改善は東京消防庁に都民が寄せる期待の1つであると考えている。
そのために私は救急隊員として、傷病者の搬送、救護はもちろん各種の消防イベントを通じて救急車利用のマナー向上や応急手当法の普及に努めたい。イベントの良い面として誰もが気軽に無料で参加や見学ができるところがあげられる。私はかつて駅員のアルバイトに携わっていたことがある。その際、応急手当や消防への通報の要領を学んでおこうと思い東京消防庁が主催する救急の日イベントに参加したことがある。応急手当体験コーナーでは救急隊員の方に親切丁寧に応急手当法やAED使用法を指導して頂いたことで特にAEDの取り扱いのイメージが全く変わった。以前の私はAEDといえば専門的な訓練を受けた救命士が扱うものだと思っていたが、そのイベントを通じて誰でも簡単に取り扱えるものであることが分かった。そして、私も基本的なものではあるが人の命を救うための知識、技術が身についたことで充実感を得ることができた。また、毎年膨大な救急出動がある裏で本当に救急車を必要とする方にすぐに対応できないリスクがあることも知った。救急車が到着するまでの間に応急処置がなされることで救命率が上がることも知った。
かつての私のように、東京消防庁が直面している救急の現状を知らなかったり、応急手当に難しい印象を持っている方もまだまだ多いのではないだろうか。このような中で、都民の期待に応えるべく救急サービスを向上させていくには、都民に理解や協力をしていただくことが重要になってくると私は考えている。私は救急隊員として傷病者の救護や搬送はもちろん、各消防イベントにて都民と近い距離にて救急広報や応急手当法の普及に努めていきたい。そして一人でも多くの都民の方々に救急、ひいては消防について関心を持っていただきたいと思っている。そして救命講習の受講や消防団あるいは防災ボランティアへの加入のきっかけとしてもらいたい。そうすることで、急な傷病者の発生に際してもバイスタンダーとして救急車が到着するまでの間適切な処置が行えられる方を一人でも多く生み出していきたい。また、救急車の適正な利用の心がけを一人でも多くの方に普及させることをもって増加する救急需要の抑制にもつなげることで救急サービスを向上させていきたい。
<解説編>
構成としては、
1段落にて東京消防庁に寄せる都民の期待およびその根拠、
2段落にて自身が消防官として取り組みたい事、消防イベントを通じて得た経験
3段落にてまとめ、決意
となっています。
ポイント1:東京消防庁によせる都民の期待
今回の題には「東京消防庁に都民が期待することをあげ~・・・」とあります。では都民はどのようなことを東京消防庁に期待しているのでしょうか。
はっきり言ってしまえば正解はありません。
こればかりは解答者自身の中に答えがあり、それをいかに論理的に分かりやすく具体的に述べられるかが勝負になってきます。
またこのような正解のない問いの中から想像力を働かせ、自身なりの答えを作り上げていく過程は社会人になり仕事をこなしていく上でも大変重要な要素になります。
ただ、都民の期待することを考えていく上で最低限知っておかなければならないことは
東京消防庁が現在どのような課題を抱えているのか
ということです。それは例えば本文でも述べた救急隊の出場件数の増加を始め、首都直下地震の対策、東京オリンピックを見据えたテロ対策及び外国人の要救助者にも対応できる消防隊の養成、高齢化を踏まえた救急体制や防災政策など様々なものがあります。
その中でどのようなことをネタにしていけばよいのかというと、自身の志望職種に関わるものが良いでしょう。本文では私は救急隊を志望しているため救急件数増加の改善こそが都民の期待することと定義しました。そして、その実現のためにはどうしなければならないか具体例をあげつつ記述しました。
さらに注文するのであれば、
その問題を解決することでどのようなメリットがあるのか
ということも記述するとベストです。
長くなってしまいましたが、要は東京消防庁が現在どのような課題を抱えており、その問題を解決することで都民の安全に対しどのようなメリットがあるのか
ということが書ければOKです。それを踏まえ、自身の言葉で都民の期待することを定義し、自分の希望する職種に合わせて論を展開していければ間違いなく合格点がもらえます。
ポイント2:東京消防庁の救急出場件数
本文でも述べたように、昨年度の東消の救急出場件数は約75万9千件にもなり、42秒に1件救急車が出動していることになります。
参考:http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kouhouka/pdf/280127.pdf
参考までに川崎、横浜、相模原市消防の救急出場を見てみます。(数字は2016年10/24時点のもの)
川崎は65,825件の出動、前年度より928件の増加です。(単純計算にて7.9分に1件の出場)
横浜は178,344件の出動、前年度より2,225件の増加です。(単純計算にて2分57秒に1件の出場)
相模原は33,668件の出場、前年度より481件の減少です。(単純計算にて15分に1件の出場)
これらの消防本部と比較してもいかに東京消防庁の救急出場件数が多いかが分かります。この増大する救急件数に対する取り組みとして東消が行っているものが、
「救急車の適正利用に関する広報」
「救急相談センター及び東京版救急受診ガイドの周知」
「救命講習受講者の拡大」
「救急搬送トリアージ」等です。
これらの取り組みを通して都民の方々にも協力して頂き、本当に救急車が必要な方のためにも救急需要の抑制につなげていきたいものです。そしてゆくゆくは上記の相模原消防のように前年度と比較し減少させていきたいところです。
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