少子高齢化の進展が地域の安全に与える影響をあげ、それに対しどのように対応すべきかあなたの考えを述べよ
「少子高齢化の進展が地域の安全に与える影響をあげ、それに対しどのように対応すべきかあなたの考えを述べよ」
の解答例です。まず<ヒント編>を読み、自身で論文の骨格を作る練習をやってみてください。解答編はその次にあります。時間がある方は解説編もどうぞ。
<ヒント編>
●論題分析・構成
論題は2分割でき、
「少子高齢化が地域へ与える影響」
「それに対するあなたの考える対策」
となります。
そして論述する際もこのような流れで展開していく必要があります。
●少子高齢化とは・・・??
論述する前に1点だけ気を付けたいことがあります。それは少子高齢化とは「少子化」と「高齢化」という別々の現象が組み合わさっている単語であるということです。
現在の日本では医療の発達などで平均寿命が延びていますが、その一方で景気の低迷や婚姻率の低下等の影響もあり子供の数が少なくなってきているのが現状です。
こうした状況を一言で表したものが「少子高齢化」現象です。つまり少子高齢化の対策について論述する際は「少子化」と「高齢化」それぞれの対策を考えていかなければならないことになります。
●練習
上記を踏まえて実際に論述する練習をしてみましょう。構成は最初に見た通りです。「少子化」と「高齢化」について分けて論述することも忘れずに!
「少子化が地域へ与える影響」(約100字程度)
「高齢化が地域へ与える影響」(約100字程度)
「それに対するあなたの考える対策」(約200字程度)
<例文編>
少子高齢化が進むことによる地域の安全への影響としては2つある。1つは高齢化が進むことによる要援護者や災害弱者の増加である。
2つ目は少子化が進むことで災害時に要援護者を支えるべき若者が少なくなることだ。このように、少子高齢化の進展は火災や地震等災害時において高齢者をいかにして守るのかという問題につながってくる。
ただ、高齢者といっても自力で生活できる方もいれば、持病等のハンデを持ち、介護なしでは生活できない方もいる。この場合、例えば火災において逃げ遅れとなりやすいのは後者のほうであり、彼らを特に要援護者として想定しなければならない。それを踏まえたうえで行うべき対策として、民生委員や町内会、管轄の消防署や消防団が要援護者の居住地、負っているハンデ、服用している薬等の情報を共有することをあげたい。その情報に基づき町内会においては近隣住民に対し要援護者がいることの情報共有を行い、災害時には声掛けや救出等の支援を行ってもらうよう平時から協力を依頼する。消防団においては災害時の安否確認、初期消火、救出の支援を行う。消防署においては要援護者宅に防火防災診断に伺い、火災の要因になる箇所の指摘や家具転倒の防止に関するアドバイスを行う。そして改善ができた際には、要援護者の中でも被災や受傷するリスクが低い者として民生委員と情報を共有する。要援護者に関する情報を逐一更新していくことで減災対策や災害時の安否確認の際に活かしていくのである。
一方、少子化によりいざという時の地域防災の担い手の減少が予想される。その対策として、自助力を向上させる意味で災害時に正しい行動をとるための防災力向上を目指す必要がある。たとえば昨年度行われた消防世論調査において、緊急地震速報が流れた際の行動について間違った認識を持っている方が多いことが分かった。調査結果によると身の安全を図ると答えた方より火を消すと答えた方が多かったのである。実際はまず身の安全を図ることが第一であり、火を消すのは揺れが収まった後である。少子化で地域防災の人手が不足することが予想される中、いざという時に若者に限らず都民一人一人が共助に参加するためにも、まず自分が助からなくてはならない。このためにもイベント等を通じた広報において一人でも多くの都民の方々に対し災害時に自分の身を守る行動について周知していく必要がある。
少子高齢化が進展した地域における防災上の安全対策として、要援護者を地域で見守ること、災害時に正しい行動をとる心掛けの普及をあげた。いずれも平時より地道に取り組んでいかなければならない対策である。私が東京消防庁の職員として防火防災診断や都民への広報を担うことになった際には、いつ起こるかわからない災害に備え粘り強く職務にあたりたい。そして少子高齢化が進展しようとも、要援護者を含めた都民すべてが安心して暮らせる東京を実現する一助となりたい。(1280字)
<解説編>
構成としては
第一段落で導入
第二段落で防災上の高齢化対策
第三段落で防災上の少子化対策
第四段落でまとめ、決意
の構成です。以下からポイントに移ります。
●ポイント1:少子高齢化
少子高齢化とは
出生率が低下する一方で平均寿命が延びることで人口全体に占める高齢者の割合が増加し、子供の割合が低下すること
です。いま日本が直面する課題の一つです。さらに日本における特徴として人口減少のおまけつきです。
つまり人口が減る中で高齢者の割合が増え、将来の日本を支えるべき子供や生産年齢人口が減っている状況です。
話しがそれてしまいましたが、少子高齢化とはそもそも「少子化」と「高齢化」という別々の現象が合わさった言葉です。つまり、いかなる論題においても少子高齢化というキーワードが出たときは少子化対策と高齢化対策の2つを別々に書かなければならないのです。本文においても高齢者(特に要配慮者)対策と少子化における防災対策について段落を分けて記述しています。
ポイント2:防火防災診断、消防世論調査
本文第二段落に防火防災診断、第三段落に消防世論調査というキーワードが見えます。
防火防災診断とは
高齢者や身体が不自由な方などの「要配慮者」世帯を対象として、ご本人の了解を得た上で消防職員が対象者のお宅を戸別に訪問し、火災、地震等の災害や家庭内事故による被害の発生危険について、その改善方法のアドバイスなどを行う東京消防庁の防災業務の一つです。
レスキューや特別消火中隊など災害の最前線で活動する部署にやりがいを感じ東京消防庁を目指されている方も多いかと思われます。しかし高齢化が進む社会においてはこのような、そもそも火災を起こさせない、あるいは減災させていく地道な仕事も都や都民の安全を守るうえでは欠かせないものなのです。
消防世論調査とは・・・
東京消防庁では、都民の皆様の防災意識や消防に関するご意見・ご要望を把握し、質の高い行政サービスを実現することを目的として、「消防に関する世論調査」を実施しています。
東京消防庁独自の取り組みですね。組織力や予算があるからこそできる大胆な取り組みだと思います。
こちらに平成27年度の調査結果を貼っておきます
都民の生の声を拾っているだけあり、東京消防庁に都民がどのような期待を抱いているか一発で分かります。そのほかにも本庁職員に対するイメージなど興味深い調査もされているので少なくとも一度は全文読んでみてはいかがでしょうか。
ただ、高齢者といっても自力で生活できる方もいれば、持病等のハンデを持ち、介護なしでは生活できない方もいる。この場合、例えば火災において逃げ遅れとなりやすいのは後者のほうであり、彼らを特に要援護者として想定しなければならない。それを踏まえたうえで行うべき対策として、民生委員や町内会、管轄の消防署や消防団が要援護者の居住地、負っているハンデ、服用している薬等の情報を共有することをあげたい。その情報に基づき町内会においては近隣住民に対し要援護者がいることの情報共有を行い、災害時には声掛けや救出等の支援を行ってもらうよう平時から協力を依頼する。消防団においては災害時の安否確認、初期消火、救出の支援を行う。消防署においては要援護者宅に防火防災診断に伺い、火災の要因になる箇所の指摘や家具転倒の防止に関するアドバイスを行う。そして改善ができた際には、要援護者の中でも被災や受傷するリスクが低い者として民生委員と情報を共有する。要援護者に関する情報を逐一更新していくことで減災対策や災害時の安否確認の際に活かしていくのである。
一方、少子化によりいざという時の地域防災の担い手の減少が予想される。その対策として、自助力を向上させる意味で災害時に正しい行動をとるための防災力向上を目指す必要がある。たとえば昨年度行われた消防世論調査において、緊急地震速報が流れた際の行動について間違った認識を持っている方が多いことが分かった。調査結果によると身の安全を図ると答えた方より火を消すと答えた方が多かったのである。実際はまず身の安全を図ることが第一であり、火を消すのは揺れが収まった後である。少子化で地域防災の人手が不足することが予想される中、いざという時に若者に限らず都民一人一人が共助に参加するためにも、まず自分が助からなくてはならない。このためにもイベント等を通じた広報において一人でも多くの都民の方々に対し災害時に自分の身を守る行動について周知していく必要がある。
少子高齢化が進展した地域における防災上の安全対策として、要援護者を地域で見守ること、災害時に正しい行動をとる心掛けの普及をあげた。いずれも平時より地道に取り組んでいかなければならない対策である。私が東京消防庁の職員として防火防災診断や都民への広報を担うことになった際には、いつ起こるかわからない災害に備え粘り強く職務にあたりたい。そして少子高齢化が進展しようとも、要援護者を含めた都民すべてが安心して暮らせる東京を実現する一助となりたい。(1280字)
<解説編>
構成としては
第一段落で導入
第二段落で防災上の高齢化対策
第三段落で防災上の少子化対策
第四段落でまとめ、決意
の構成です。以下からポイントに移ります。
●ポイント1:少子高齢化
少子高齢化とは
出生率が低下する一方で平均寿命が延びることで人口全体に占める高齢者の割合が増加し、子供の割合が低下すること
です。いま日本が直面する課題の一つです。さらに日本における特徴として人口減少のおまけつきです。
つまり人口が減る中で高齢者の割合が増え、将来の日本を支えるべき子供や生産年齢人口が減っている状況です。
話しがそれてしまいましたが、少子高齢化とはそもそも「少子化」と「高齢化」という別々の現象が合わさった言葉です。つまり、いかなる論題においても少子高齢化というキーワードが出たときは少子化対策と高齢化対策の2つを別々に書かなければならないのです。本文においても高齢者(特に要配慮者)対策と少子化における防災対策について段落を分けて記述しています。
ポイント2:防火防災診断、消防世論調査
本文第二段落に防火防災診断、第三段落に消防世論調査というキーワードが見えます。
防火防災診断とは
高齢者や身体が不自由な方などの「要配慮者」世帯を対象として、ご本人の了解を得た上で消防職員が対象者のお宅を戸別に訪問し、火災、地震等の災害や家庭内事故による被害の発生危険について、その改善方法のアドバイスなどを行う東京消防庁の防災業務の一つです。
レスキューや特別消火中隊など災害の最前線で活動する部署にやりがいを感じ東京消防庁を目指されている方も多いかと思われます。しかし高齢化が進む社会においてはこのような、そもそも火災を起こさせない、あるいは減災させていく地道な仕事も都や都民の安全を守るうえでは欠かせないものなのです。
消防世論調査とは・・・
東京消防庁では、都民の皆様の防災意識や消防に関するご意見・ご要望を把握し、質の高い行政サービスを実現することを目的として、「消防に関する世論調査」を実施しています。
東京消防庁独自の取り組みですね。組織力や予算があるからこそできる大胆な取り組みだと思います。
こちらに平成27年度の調査結果を貼っておきます
都民の生の声を拾っているだけあり、東京消防庁に都民がどのような期待を抱いているか一発で分かります。そのほかにも本庁職員に対するイメージなど興味深い調査もされているので少なくとも一度は全文読んでみてはいかがでしょうか。
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