令和7年度 東京消防庁Ⅰ類2回目 小論文 多様性を尊重する職場を実現するために、組織としてどのような取組をすべきか、東京消防庁に限らず一般的な組織を前提として具体的に述べよ。

2026年2月12日木曜日

 

人員輸送車 浅草SQ(東京消防庁 浅草消防署)


令和7年度 東京消防庁Ⅰ類2回目

多様性を尊重する職場を実現するために、組織としてどのような取組をすべきか、東京消防庁に限らず一般的な組織を前提として具体的に述べよ。

の解答例と解説記事になります。

 

<ヒント編>

―「多様性を尊重する」とは―

どのような職場においてもその職場が掲げる目標が存在しており、その目標に向かってすべての従業員が力を合わせなければなりません。

しかし、多様性を尊重するということは従業員一人一人の個性やバックグラウンドを柔軟に受け入れることに他なりません。つまり、組織の目標実現に向けてすべての従業員の意識を同じ方向に向かせることと、個人の多様性を認めるということは矛盾が生じていることになります。


今回の論題はこのような「矛盾」をどのように解決して組織を強くしていくかが問われている非常に思考力が必要な問題といえます。

 

つまり、

「従業員を組織の目標達成に向けて同じ方向に向かせつつも、個人の多様性をどこまで許容していくかのバランス調整策」

が解答の大まかな方向になってきます。

そこで、ウォーミングアップとして上記の内容を約300字程度で埋めてみてください。

 

 

<解答例>

多様性を尊重する職場を実現するためには2つの取り組みが必要であると考える。一つはその職場の中で多様性を運用していくためのルールを作ること、もう一つは従業員全員がそれぞれのバックグラウンドを柔軟に受け入れて力を合わせていく意識を持たせることである。そもそも職場においては所属する従業員全員が目標に向かって力を合わせなければならない。しかし多様性を尊重しているからといって、それを根拠に勝手気ままに振舞われてしまうと職場の団結が失われてしまう。そこで、多様性と職場のバランスを維持していくために必要な事が多様性を運用するルール作りである。つまり、そのルールを越えてまで多様性を根拠に振舞うことは認めないと職場側が明確にすることなのである。

 

例えば敬虔なイスラム教徒の人物を雇ったと仮定したい。イスラム教徒は1日に明け方から夜にかけて5回礼拝を行うタイミングがあり、彼らはその時間中は祈りに集中している。しかし、会社において業務中に何回も抜け出して祈りに集中されてしまうと、逆に仕事を任せづらくなってしまう。また、他の従業員からも仕事を何回も中断していることに対して不満が寄せられる可能性もある。そこで、職場のルールとして例えば昼と夕方1回ずつ祈りの時間を許可することを明確に打ち出し、他の従業員にも納得を得るのである。そうすることで、そのイスラム教徒にとってその決められた時間は気兼ねなく集中して祈りを行える時間となるのである。また、ルールがあらかじめ決まっているため、他の従業員からしても礼拝によって抜け出す時間を事前に把握できるので力が合わせやすくなるのである。その時に誰がそのカバーを実行するのかという話になるが、そこで重要なことが先に述べた従業員が互いのバックグラウンドを柔軟に受け入れて力を合わせる意識である。今回の例で言えばイスラム教徒の従業員が働くことでイスラム圏へと販路を広げ、会社の利益を押し上げる一方で、ルール通りに礼拝を行う間に他の社員ができる限りのバックアップを行う体制ができれば理想的な形であると考えている。

 

このように、多様性を尊重するということは様々なバックグラウンドを持つ者達が自分の得意な事に対して力を発揮し、逆にハンデになる部分については他者の助けやバックアップを受けることであると考えている。一見、組織の団結と多様性の尊重は矛盾するようにみえる。しかし、すべての従業員が納得できる多様性運用ルールを定め、お互いに補完し合う環境を作ることができれば組織は従来以上に強いものとなると私は考えている。

 

 

<解説編>

構成

1段落:職場に多様性の尊重を実現する方法

(多様性を運用するルール作り・従業員同士でカバーし合う意識作り)

 

2段落:具体例

(イスラム教徒の従業員の宗教観と会社のルールのあり方・他の従業員からのバックアップ)

 

3段落:まとめ

 

の構成となっています。

 

―試されるリーダーの力量―

本文中には述べませんでしたが、私は多様性を運用していくにあたってはリーダーの力量が問われると思っています。

ルールの作成しかり、従業員の納得を引き出すことしかり、コミュニケーション能力や調整力、多様性のある職場で安心して自分の意見を言える環境づくりなど人の感情が絡む部分をうまくやりくりできる能力が求められると思っています。

本文中にも述べた通り、多様性を運用していくということは個性ある従業員たちが互いに力を合わせて組織の目標を達成していくということです。

しかし、その多様性を根拠にして例えば

OO教徒だからそれはできない。」

「女性だからできない。」

「外国人だからできない。」

といった文句に従って許容してしまうとチームがまとまらないのは明白です。

そこでリーダーは多様性を運用していくと決めたからには、上記のように様々な個性を持つ者達と個別に話し合う必要があるわけです。

話し合いをした上で、どのように個性を尊重しつつも組織の目標に向かって他者と協力していくか個別にルールや合意を作り上げる必要があると思っています。


しかもそこで合意して終わりではなく、そのルールや合意を従業員全体に周知して納得をもらう工程も控えています。

まさにコミュニケーションと調整が連続する過酷な業務を背負うことになるのが想像できます。

ただ、その結果職場の多様性がうまくいくことでより組織が強くなるとも私は考えています。

 

豆知識

―敬虔―

2段落目の1行目にある語句「敬虔」は「けいけん」と読み、「神に対して深く忠誠を誓っている様子」という意味を持った語句です。


―イスラム教徒の礼拝―

イスラム教徒の礼拝は

夜明け

正午過ぎ

午後

日没後

5回のタイミングにわたって行われます。

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