あなたが公務員に最も必要だと思うものをあげ、今後あなたはどのように取り組んでいくのか述べよ

2017年7月25日火曜日
特殊災害対策車 三鷹CS(東京消防庁 三鷹消防署)

東京消防庁H21年度2回目

「あなたが公務員に最も必要だと思うものをあげ、今後あなたはどのように取り組んでいくのか述べよ」


の解答例です。時間がある方は解説編もどうぞ。


<例文編>
 公務員に最も必要なものは市民からの信頼であると私は考えている。なぜなら、公務員の業務や給与等の財源となるのは市民から預かった税金だからである。そのため、
市民から信頼される公務員になるためにも、それぞれの職務においてプロとしての自覚や知識を持って働かなければならない。特に都民にとっては消火や救急、救助、防火防災業務は東京消防庁にしか頼れないものであり、東京消防庁職員としても都民の信頼に応えるために上記の業務について災害対策のプロとしてあたっていかなければならない。

 例えば防災に関して、東京一つとってみても東は臨海部、西は山間部となっており、全国の消防本部と比較しても管轄範囲は桁違いに広い。地域ごとに考えられる災害への対策を練り、それを都民との防災訓練や講和の中に盛り込む必要がある。山手線沿線の木造住宅密集地域では初期消火ためのスタンドパイプ取り扱いの説明や訓練が必要である。また、首都直下地震により東京では約517万人の帰宅困難者が発生するため、特に丸の内、新宿、品川などのオフィス街において事業者側と共に帰宅困難者の受け入れや支援の訓練が必要である。上記のような場面において東京消防庁の防災担当として都民の方に信頼してもらうため必要になるものが、都民を守りたいという思い及び防災に関するプロとしての高度で専門的な知識であると私は考えている。
しかし私は大学において経済学を専攻しているため、防災に関しては全くの素人である。そこで庁外研修制度を活用し政策研究大学院大学や防災科学技術研究所での研修を通して防災や減災に関する専門的な知識を身に付けたい。そして防災のプロとして都民の方々に信頼されるよう防災指導や訓練、講和等に携わっていきたい。

 また都民の方々と直接接する以上、身だしなみにも気を付けたい。私は現在駅員のアルバイトをしている。アルバイトであったとしても社員と同じ制服を着用しており、駅ひいては鉄道会社の顔と見られる以上、制服の着こなしや身だしなみには細心の注意を払っている。例えば、手袋は毎日真っ白に保ち、革靴はつやが出るよう磨き、制服は1か月に1回はクリーニングし清潔感が出るよう心掛けている。
 
 私は上記のような防災のプロとしての知識の習得及び都民と接していく上でのマナーの心がけを通して、公務員にとって必要な市民からの信頼を得られる消防士になりたい。そして将来的には東京消防庁の防災安全係として防災の面から東京や都民の方々を守っていきたい。(1084字)


<解説編>
構成としては

第1段落:公務員に必要なものの自分なりの定義(市民からの信頼)
第2段落:なぜそれが必要になるのか(信頼を得るためにはプロになる必要)
第3,4段落:自分はどう取り組むのか(防災のプロとして都の安全に貢献)
第5段落:まとめ、決意

です。今回のタイトルはやや抽象的なのでまず公務員にとって必要なことを定義してしまいましょう。それを踏まえたうえで論を展開すると書きやすいと思います。

●ポイント1:公務員にとって必要なものとは
本文において、「公務員にとって必要なものは市民からの信頼である」と定義しました。ただ、これが正解というわけではなく、今回は自分の意見として定義したまでです。他に意見を持っている方もおられると思いますが、この問いについてまず考えなければならないのは
「公務員(消防士含む)は何のために仕事をしているのか」
ということです。公務員の仕事について国家、地方それぞれの例をあげて検討してみたいと思います。

国家公務員の場合
中央省庁である国土交通省を例に見てみます。
ホームページにて「国土交通省の役割」を見てみると・・・

「国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発および保全、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進、気象業務の発展並びに海上の安全および治安の確保などを担う官庁です。」

とあります。抽象的な文言が並んでおり、いまいちどういうことをやっているのかイメージしづらいと思った方もいるでしょう。では、国交省の一部局である鉄道局の業務内容について見てみます。

「主な施策」とあり、その下に6つの施策内容があります。つまり、国交省鉄道局は鉄道の安全確保、鉄道ネットワークの維持、鉄道サービスの向上などを通じて国民が安全に、便利に日本国内の鉄道を利用できるよう法律や施策の立案業務を日夜行っているわけです。


地方公務員の場合
大田区を例にみてみます。

大田区の将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」の実現に向けて区民の皆様とともに取り組んでまいります。

との大田区のビジョンが示されています。つまり、大田区役所は地域の人々の生活を支え、羽田空港もある立地を活かし国際都市へと成長していこうとしているわけです。その上で個々の業務として、企画課、財政課、総務課に始まり空港街づくり課というような業務も行っているわけです。


公務員の業務について一部ではありますが国家、地方両者の例を見ました。両者の業務の前提として共通しているものが

「国や地域、国民や市民を思うこと」

です。

その上で、地域や市民のために仕事をするにあたって重要になるものが、自分たちが行政のプロであるという自覚を持つことではないかと私は考えています。国民や市民から託された税金を使い、国民、市民のために額に汗し日本や地方をより豊かな、より安全なものに作り上げていくことこそが公務員の仕事だと思います。


消防士志望の方に限らず、自分は「公務員になったらどのように働いていきたいか」、または「なぜ公務員を目指そうと思ったのか」等のテーマについて今一度考えてみてもいいでしょう


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