あなたが学生時代に最も力を入れたことをあげ、それを社会でどのように活かしていくか述べよ
東京消防庁H21年度2類
「あなたが学生時代に最も力を入れたことをあげ、それを社会でどのように活かしていくか述べよ」
の解答例です。時間がある方は解説編もどうぞ。
<例文編>
私が学生時代に力を入れたことは空手の昇級である。私が所属していたサークルの空手の流派では6級を取得していなければ
公式の試合に出場できない規定があった。そのため、新入生はまず6級の取得を目指し日々の練習に取り組むのである。私は空手自体初めてであったため10級から始まり、6級に到達するまで4回の昇級を経る必要があった。
しかし昇級審査を受験し、不合格であったとしても師範の方々からは具体的な改善点指摘やアドバイスはもらえない。また、上級生も自身の昇級や昇段に忙しく、いつも私たち後輩の面倒を見られるとは限らない。つまり自分で課題や足りないものを見つけ、次回の審査までに改善しなければならないのである。私を含め新入生は約10名いたが、特に7級から6級に昇級する試験では全員が初受験で惜しくも不合格となってしまった。私は次回の受験にて必ず合格しようと仲間に呼びかけた。そしてサークル練習後はなるべく全員で自主練習を行いお互いに欠点や課題を指摘し合うことを決めた。実際にその取り組みを行ってみたところ、自身では気づかなかった欠点や、間違った思い込み、参考になる他人のいい所等が把握でき、またそれらを新入生全体で共有することもできた。そして普段のサークル練習時においても知識や技術の習得においてお互いに支え、高め合える雰囲気の醸成にもつなげることができた。この取り組みを始め約2か月後に昇級審査を再び受験したところ全員が合格でき達成感と共に仲間への感謝の気持ちも持つことができた。
この取り組みから学んだことはコミュニケーションの重要性である。コミュニケーションをとることによって相手の価値観や考えを受け入れ、自分の固定観念を改めることで新しい発見や学び、気付きが生まれるのである。空手の昇級時においても私が他のメンバーから改善点を指摘してもらうことで、常に新しい学びや発見があった。またその逆もしかりである。このような、相手の意見を受け入れ、また自分の意見も相手に対して発信していく姿勢を仕事をする際に活かしていきたい。
仕事は一人で行うものではないため、目標や意識の統一、誤解の防止の観点からも必ず職員同士でコミュニケーションをとる必要が生じてくる。消防の特に消火や救助、救急業務も同様である。私が仮にポンプ隊に配属された際はチームの一員として働いていることを自覚し、消火活動においては安全確認や状況の報告、指差呼称などを徹底し仲間と逐一コミュケーションをとり安全な活動を行っていきたい。また、消火活動以外でもPA連携時であれば傷病者の具体的な様子や服用薬などの情報を全て救急隊へ正確に速やかに引き継げるよう努めたい。また救助隊との連携時であれば要救助者の人数や現場の危険物の有無を始めとした、救助業務に関わってくる情報の共有や伝達を通して、安全な活動に貢献したい。そして東京消防庁の職員の一人として、1件でも多くの火災鎮圧や1人でも多くの要救助者の救出を通じて東京の安全を守っていきたい。(1280字)
<解説編>
構成としては
第一段落、第二段落:力を入れたこと、苦労した点、克服過程
第三段落、第四段落:上記で学んだこと、仕事でどう生かすか、消防でどう生かすか
の構成です。書き方としてはタイトル通り学生時代力を入れたこと→どのように社会(消防)で活かすかの順で書ければOKです。
ポイントとしては力を入れて取り組んだ際に
「どのようなことに苦労したのか」
「どのようにその困難を乗り越えたのか」
を盛り込んでいかなければ読み手に「力を入れたこと」として伝わりません。そもそも困難なことがあったからこそ力を入れて取り組み、克服ないしは結果を出すことができたはずです。
そして、それを踏まえたうえで記述するべきこととして
「その経験から何を学んだか」
です。今回のお題には「社会でどう活かすか」という文言が入っていますので、具体的な書き順としては「力を入れて取り組んだ結果ooのことを学び、社会(消防)において△△のように活かしていきたい」とつなげていけば問いに答えている論文になります。
ポイント1:コミュニケーションとは
本文中では昇級仲間との間で培ったコミュニケーション力を消防業務に活かしていきたいと記述されています。ここで注意したいのは、
コミュニケーション力とは楽しくおしゃべりする力のことではない
ということです。ただ友人との会話内であればそれで問題ないでしょう。
しかし私は仕事におけるコミュニケーションとは「目標や意識を統一すること」「情報伝達の過程で誤解や勘違いを防ぐ」ことだと考えています。それを踏まえると、職場においてコミュニケーションがないとどうなるでしょうか。
2016年9月末に全日空の旅客機が定員を1人超過した状態で離陸しようとしたため、引き返したというニュースがありました。
保安検査場と搭乗口のスタッフとが連絡を取っておらず、お互いに確認していなかったことが原因とされています。今回は定員超過した1人が善良な利用客であったためよかったものの、もしテロやハイジャックを企てる者が侵入していたらと考えるとぞっとします。
このミスはどうすれば事前に防げたのでしょうか。そもそもの原因として保安検査場のスタッフの勘違いが挙げられます。私としてはこのスタッフがゲートのエラー表示を見た時点で父親の通過をいったん止め、搭乗口のスタッフに報告、連絡するべきであったと思います。そして機内の人数の確認が取れ次第、父親を通過させるべきであったと考えます。
しかしもう一つ原因として私が考えたものが、
そもそも職場の雰囲気からしてエラーを報告しづらかったのではないか
ということです。ここからは私の想像になってしまうのですが、保安検査場のスタッフはエラーを報告することで、
搭乗担当のスタッフ達にわざわざ機内の人数確認という仕事を増やすことへの恐れ、
確認に伴う時間中お客様を待たせてしまうことへの恐れ
があったのではないでしょうか。
これらのような「恐れ」がスタッフを委縮させてしまい、今回のような事案を招いてしまったのではないかとも考えられるのです。このような委縮や恐れを取り除き、職場に円滑なコミュニケーションをもたらすための概念として
「アサーション」
というものがあります。
ずばり、アサーションできる雰囲気を持った職場(会社)こそがいい職場といえます。アサーションを通じて自分も他人も大切にし、お互いに意見や考えを表明していくことで職場内に円滑なコミュニケーションが生まれます。そしてそのコミュニケーションにより職場におけるミスの防止や共に仕事をしていく上でのいい人間関係が築けるのです。
「あなたが学生時代に最も力を入れたことをあげ、それを社会でどのように活かしていくか述べよ」
の解答例です。時間がある方は解説編もどうぞ。
<例文編>
私が学生時代に力を入れたことは空手の昇級である。私が所属していたサークルの空手の流派では6級を取得していなければ
公式の試合に出場できない規定があった。そのため、新入生はまず6級の取得を目指し日々の練習に取り組むのである。私は空手自体初めてであったため10級から始まり、6級に到達するまで4回の昇級を経る必要があった。
しかし昇級審査を受験し、不合格であったとしても師範の方々からは具体的な改善点指摘やアドバイスはもらえない。また、上級生も自身の昇級や昇段に忙しく、いつも私たち後輩の面倒を見られるとは限らない。つまり自分で課題や足りないものを見つけ、次回の審査までに改善しなければならないのである。私を含め新入生は約10名いたが、特に7級から6級に昇級する試験では全員が初受験で惜しくも不合格となってしまった。私は次回の受験にて必ず合格しようと仲間に呼びかけた。そしてサークル練習後はなるべく全員で自主練習を行いお互いに欠点や課題を指摘し合うことを決めた。実際にその取り組みを行ってみたところ、自身では気づかなかった欠点や、間違った思い込み、参考になる他人のいい所等が把握でき、またそれらを新入生全体で共有することもできた。そして普段のサークル練習時においても知識や技術の習得においてお互いに支え、高め合える雰囲気の醸成にもつなげることができた。この取り組みを始め約2か月後に昇級審査を再び受験したところ全員が合格でき達成感と共に仲間への感謝の気持ちも持つことができた。
この取り組みから学んだことはコミュニケーションの重要性である。コミュニケーションをとることによって相手の価値観や考えを受け入れ、自分の固定観念を改めることで新しい発見や学び、気付きが生まれるのである。空手の昇級時においても私が他のメンバーから改善点を指摘してもらうことで、常に新しい学びや発見があった。またその逆もしかりである。このような、相手の意見を受け入れ、また自分の意見も相手に対して発信していく姿勢を仕事をする際に活かしていきたい。
仕事は一人で行うものではないため、目標や意識の統一、誤解の防止の観点からも必ず職員同士でコミュニケーションをとる必要が生じてくる。消防の特に消火や救助、救急業務も同様である。私が仮にポンプ隊に配属された際はチームの一員として働いていることを自覚し、消火活動においては安全確認や状況の報告、指差呼称などを徹底し仲間と逐一コミュケーションをとり安全な活動を行っていきたい。また、消火活動以外でもPA連携時であれば傷病者の具体的な様子や服用薬などの情報を全て救急隊へ正確に速やかに引き継げるよう努めたい。また救助隊との連携時であれば要救助者の人数や現場の危険物の有無を始めとした、救助業務に関わってくる情報の共有や伝達を通して、安全な活動に貢献したい。そして東京消防庁の職員の一人として、1件でも多くの火災鎮圧や1人でも多くの要救助者の救出を通じて東京の安全を守っていきたい。(1280字)
<解説編>
構成としては
第一段落、第二段落:力を入れたこと、苦労した点、克服過程
第三段落、第四段落:上記で学んだこと、仕事でどう生かすか、消防でどう生かすか
の構成です。書き方としてはタイトル通り学生時代力を入れたこと→どのように社会(消防)で活かすかの順で書ければOKです。
ポイントとしては力を入れて取り組んだ際に
「どのようなことに苦労したのか」
「どのようにその困難を乗り越えたのか」
を盛り込んでいかなければ読み手に「力を入れたこと」として伝わりません。そもそも困難なことがあったからこそ力を入れて取り組み、克服ないしは結果を出すことができたはずです。
そして、それを踏まえたうえで記述するべきこととして
「その経験から何を学んだか」
です。今回のお題には「社会でどう活かすか」という文言が入っていますので、具体的な書き順としては「力を入れて取り組んだ結果ooのことを学び、社会(消防)において△△のように活かしていきたい」とつなげていけば問いに答えている論文になります。
ポイント1:コミュニケーションとは
本文中では昇級仲間との間で培ったコミュニケーション力を消防業務に活かしていきたいと記述されています。ここで注意したいのは、
コミュニケーション力とは楽しくおしゃべりする力のことではない
ということです。ただ友人との会話内であればそれで問題ないでしょう。
しかし私は仕事におけるコミュニケーションとは「目標や意識を統一すること」「情報伝達の過程で誤解や勘違いを防ぐ」ことだと考えています。それを踏まえると、職場においてコミュニケーションがないとどうなるでしょうか。
2016年9月末に全日空の旅客機が定員を1人超過した状態で離陸しようとしたため、引き返したというニュースがありました。
保安検査場と搭乗口のスタッフとが連絡を取っておらず、お互いに確認していなかったことが原因とされています。今回は定員超過した1人が善良な利用客であったためよかったものの、もしテロやハイジャックを企てる者が侵入していたらと考えるとぞっとします。
このミスはどうすれば事前に防げたのでしょうか。そもそもの原因として保安検査場のスタッフの勘違いが挙げられます。私としてはこのスタッフがゲートのエラー表示を見た時点で父親の通過をいったん止め、搭乗口のスタッフに報告、連絡するべきであったと思います。そして機内の人数の確認が取れ次第、父親を通過させるべきであったと考えます。
しかしもう一つ原因として私が考えたものが、
そもそも職場の雰囲気からしてエラーを報告しづらかったのではないか
ということです。ここからは私の想像になってしまうのですが、保安検査場のスタッフはエラーを報告することで、
搭乗担当のスタッフ達にわざわざ機内の人数確認という仕事を増やすことへの恐れ、
確認に伴う時間中お客様を待たせてしまうことへの恐れ
があったのではないでしょうか。
これらのような「恐れ」がスタッフを委縮させてしまい、今回のような事案を招いてしまったのではないかとも考えられるのです。このような委縮や恐れを取り除き、職場に円滑なコミュニケーションをもたらすための概念として
「アサーション」
というものがあります。
ずばり、アサーションできる雰囲気を持った職場(会社)こそがいい職場といえます。アサーションを通じて自分も他人も大切にし、お互いに意見や考えを表明していくことで職場内に円滑なコミュニケーションが生まれます。そしてそのコミュニケーションにより職場におけるミスの防止や共に仕事をしていく上でのいい人間関係が築けるのです。
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