令和7年度川崎市消防局小論文 個人と組織の能力を最大化させるための方策について
令和7年度川崎市消防局小論文
近年、日本各地で自然災害をはじめとする大規模災害が多発しています。消防としてこれらの災害に対応するためには、個人の能力と組織の能力を最大限に発揮する必要があります。個人の能力と組織の能力を最大限に発揮するための方策について、あなたの経験を踏まえて具体的に挙げ、その理由とともに述べなさい
の解答、解説記事になります。まずはヒント編を読み、ウォーミングアップしてみましょう。
<ヒント編>
論題分析
今回の論題で重要な要素は
「個人の能力と組織の能力を最大限に発揮するための方策について、あなたの経験を踏まえて具体的に挙げ、その理由とともに述べなさい」
の部分です。
前置きとして
「消防としてこれらの災害に対応するためには、個人の能力と組織の能力を最大限に発揮する必要があります。」
とありますが、解答するにあたっては専門的になる必要は全くありません。
出題者が聞きたいこととは個人と組織の能力最大化の方策を「あなたの経験を踏まえて理由と共に述べること」です。
よって前半の長い前置きにつられて「消防の専門的な内容を記述しなければ」と落とし穴にはまらないように注意しましょう。
―具体的に方策を提案するにあたって―
では次に本題である方策の提案ですが、難しく考える必要はありません。そもそも組織とは人の集合体であり、人が成長しなければ組織は成長することはありません。
それを踏まえると、私が考えているのは
「個人同士がお互いの能力を如何にしてシェアし合うのか」
ということに尽きるということです。
能力をお互いにシェアし合うということは個人が成長し続けられる基盤であり、個人が成長すれば結果として組織も成長できるという理屈です。
―練習―
ウォーミングアップが終わったところで実際に書く練習をしてみます。下記の事項について150字程度で埋めてみてください。
「個人と組織の能力を最大化させるための方策」
「そのように考える理由」
<解答編>
個人と組織の能力を最大限に発揮していくための方策は相互尊重だと考えている。相互尊重とはその名の通り自分と相手の双方の考え、価値観、立場、そして人格を認め合い、大切にし合うことである。これを基盤とすることでアイデアや意見の自由な発信、学習とイノベーションの加速、考え方の違いを活かすことができるのである。つまり、個人が臆することなく行動でき、それが組織内で良い刺激へと変化することで結果として組織全体の力も向上していくのである。
このように考える理由として学生時代に所属していた空手部での帯昇級試験の経験が上げられる。その試験では仮に不合格であったとしても監督、採点する師範からは何も改善点やアドバイスはもらえない。また、先輩方は自分の昇級や昇段試験に忙しく、常に下級生の面倒を見られるとは限らなかった。そこで私は昇級に向けて何をどのようにすればよいか、同じ悩みを持つ同級生達と合同で練習する機会を提案した。その練習ではお互いに関心を持ち合い、改善すべき部分や良い所を正直に伝え合うのである。これにより自分だけでは考えつかなかった課題や自身の良い所が発見できた。その結果、課題や改善点が自然と分かるので誰かに教わらなくても自主的に目標設定ができるようになったのである。この効果は私だけでなく練習に参加した同級生達も同様に確認ができた。
つまり、この合同練習に参加した同級生たちはお互いに正直に良い点や改善点を指摘し合ったからこそ、個人の能力を伸ばすに留まらず全員の能力向上に成功したと私は考えている。ただ、この取り組みを実行するにあたって自分の欠点を他人に指摘されることは確かに気分のいいものではなかった。またその逆も同様である。そこで、感情に任せた行動をとるのではなくそれを1つの意見としてしっかり受け止め、発言者を尊重することが重要だった。この繰り返しがメンバー同士の心理的安全性や信頼関係の構築につながり、より活発な意見の発信を引き出す好循環を生み出したのである。このような経験があったからこそ、私は個人と組織の能力を最大化する方策として相互尊重を挙げた次第である。
<解説編>
構成
1段落
「個人と組織の能力最大化の方策。相互尊重の提案」
2段落
「空手部における自分の経験」
3段落
「まとめ」
の構成です。
―もし相互尊重が無かったら―
本文で述べた相互尊重ですが、逆にこれが無い組織に発生しうることとして考えられるのは
「サイレントキリング(沈黙の文化)」
です。
これは
「空気が読めないやつと思われる」
「意見を言ってもムダ」
といったような、個人が行動を委縮してしまう状態のことを言います。
これが蔓延すると組織の中で課題になっていることやミスの発生が隠蔽されやすくなり、事態が発覚するまで時間の経過と共にトラブルの規模が拡大してしまうリスクをはらんでいます。これでは組織が成長するどころか後退することになりかねます。
―相互尊重とは仲良しではない―
本文中にも述べましたが、合同練習中はお互いにいい点や改善点、欠点を正直に伝え合うことを意識していました。ただ自分が欠点を指摘されるのは気分のいいものではありませんし、その逆も同様です。しかし、お互いを尊重し、信頼しているからこそ意見をしっかりと受け止め、逆に自分も自信を持って他人に意見していました。つまり、合同練習といっても仲良しでやっているわけではなくあくまで「自身の能力をシェアし合う機会」として設定していたということです。

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