平成24年度京都市消防局 「最近5年間で他者とのかかわりの中で印象に残った出来事とその経験から学んだこと」

2023年5月5日金曜日

銀座を緊急走行するトライハート(東京消防庁 救急機動部隊)


平成24年度京都市消防局

「最近5年間で他者とのかかわりの中で印象に残った出来事とその経験から学んだこと」

の解答例と解説記事になります。

 

まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみます。

 

<ヒント編>

論題分析「印象に残った出来事」とは

論題はシンプルで、「他者との関わりで印象に残った出来事」と「それから学んだこと」の2段階構成で本文もこの構成で解答すれば大丈夫です。

 

ここで問題になることが「印象に残った出来事」の解釈です。

印象に残る出来事とはおそらく

「いい印象の出来事」

「悪い印象の出来事」

のどちらかです。


そして今回のような論題で取り上げるべきなのは「悪い印象の出来事」がベストです。すなわち他者との関わりで何か失敗をし、そこから学んだことがあるというエピソードを上げたいところです。

 

「いい印象の出来事」でも解答できなくはないですが裏を返せばそれは自慢話にも捉えられ、仕事を行うにあたっての自分の行動特性をアピールしづらい自信過剰な解答になってしまう可能性があります。

 

②練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に論文を書く練習をしてみます。下記の項目をそれぞれ100字程度で埋めてみてください。

「他者との関わりで印象に残ったこと(失敗経験がベスト)」

「その経験から学んだこと」

 

 

<解答例>

他者との関わりの中で印象に残った経験としてコミュニケーション不足が招いた失敗があげられる。具体的には、当時大学で所属していた空手サークルにて演武の他に出店を行うこととなった。その出店の推進役として私は後輩達に提供する商品や屋台を置くスペースの予約や看板の制作等細かに役割を分担し任せた。しかし、スペース予約を任せた後輩との間でコミュニケーション不足が発生してしまったのである。私は場所の選定にあたり、最も客が足を止め、屋台に注目してもらいそして商品を買ってもらえそうな場所としか条件を伝えていなかった。実際に後輩が予約したスペースは入場口近くの一角であり、ここでは来場者がパンフレットを見ながら目的の場所を決める傾向が強い。つまり屋台があっても目もくれずに通過してしまう可能性が強い場所ということでもある。私としてはダンスやバンド演奏で使われる催し物ステージ付近、あるいは休憩エリアや待ち合わせ専用エリア付近を想定していたのだが、後輩としては入り口近くが一番人が集まりやすく注目してもらいやすいと考えていたようである。実際の商品の売れ行きは例年とほぼ同じ水準を保てたので良かったものの、言葉の捉え方一つでここまで個人の考え方が違ってくることを思い知らされた経験となった。

 

この経験で学んだことはコミュニケーションする上で伝えたつもり、分かったつもりにならない事の重要性である。今回のケースでは私は場所の選定にあたり具体性を欠いた指示を出しており、自分の頭の中にある想定がそのまま後輩にも共有されているものと思い込んでいた。そして後輩の想定していることとのずれが解消することなく進んだことによって今回のようなミスが発生してしまった。このことから、人に何かを伝える際には具体的かつ自分の伝えたいことが本当に相手に伝わっているか確認する癖を持つことが重要であると実感した。また、逆に自分が他人から指示を受けることになった際には分かったつもりにならず、情報共有できるまで聞き返す勇気を持つこともまた重要だとも考えた。伝えたつもり、分かったつもりはいわば自分の抱え込みであり、コミュニケーションの放棄でもある。そのような状態が解消されず、ミスが起こってしまってはお互いにとってそれは聞いていないと言いたくなるまさに寝耳に水の状態である。突発的なミスが発生すればそれをリカバリーするために余計な労力を割かねばならず、効率的に物事を進めたい場合に手間がかかってしまう。消防の業務でも特に消火、救急、救助は危険な現場において安全かつ効率的に活動する必要があることから仲間との確実なコミュニケーションが重要である。そのような時に寝耳に水な事態が発生すると要救助者はもちろん仲間の命をも危険に晒すことにもなりかねない。私は消防士を目指すにあたって文化祭でのコミュニケーション不足によるミスを忘れず伝えたいことは具体的、確実に伝え、自分と相手のイメージギャップをゼロに近づけられるようにコミュニケーションを取る意識を持ちたい。逆に自分が指示される立場になった際には分かったつもりにならず、聞き返す勇気を持つ職員になりたいと考えている。

 

 

 

<解説編>

構成

構成としては

1段落「他者との関係で印象に残ったこと」

(後輩とのコミュニケーション不足による出店場所のミス・言葉の捉え方のギャップを痛感)

 

2段落「学んだこと」

(伝えたつもり、分かったつもりにならないこと・丁寧にコミュニケーションする心掛け)

 

の構成となっています。

 

 

②コミュニケーション不足が何をもたらすか

お互いの

「伝えたつもり」

「分かったつもり」

のギャップが埋まらないとミスが発生するのは本文で見た通りです。

 

ここで少しテストをしてみたいと思います。まず紙とペンを用意し、下記の順番通りに自分の思った通りに絵を描いてみてください。

 

1:大きい円を描いてください

2:その円の中に小さい円を描いてください

3:大きい円と小さい円の間に2つの点と一本の横棒を描いてください

4:大きい円から短い3本の線を生やしてください

 

指示は以上ですが、どのような絵が描けたでしょうか。


私がこの指示を通して描いてほしかった絵は記事の一番下に載せておきます。

おそらくほとんどの方が下の画像とは程遠い、よく分からない絵になったと思います。

このテストで行ったのはズバリ

「伝えたつもり」

「分かったつもり」

がどのようなズレを引き起こすのかということです。

すなわち私の1から4までの指示が「伝えたつもり」

今回皆さんには「分かったつもり」をやっていただいたということです(具体的な指示がなくモヤモヤした方もいるでしょうが)。


私としては記事一番下のような簡単な顔を描いてほしかっただけですが、皆さんが描いた絵は顔にすらなっていません。このような違いがコミュニケーション不足に起因する失敗ということになります。

 

一見細かく指示を出しているように見えますが、実際に具体性が伴っていない指示に対して自分の感覚だけで行動してしまうと今回の実験のような齟齬(そご:食い違い・かみ合わないこと)が発生してしまうということです。

 

これを防ぐためにはより具体的な指示と、絵を描く側も分かったふりをせず指示を詳細に理解する努力が必要であることが分かります。

 

 

③コミュニケーションの本質とは

本ブログの読者であればわかるかと思いますが、コミュニケーションとは誰とでも友人のように仲良くワイワイしゃべることではありません

 

私はコミュニケーションとは「良い仕事をするためのツール」であると考えています。


例えば情報共有に限らず、仲間や顧客を気遣うこと、状況の変化に柔軟に対応していくといった際に必ず必要になるものです。

 

このようなコミュニケーションの重要性について解説している過去記事を3つ載せておきますので参考にどうぞ↓↓

コミュニケーションの重要性について、あなたが経験したことを踏まえて述べなさい

組織内でのコミュニケーション不足が組織全体に与える影響をあげ、コミュニケーションを活性化させる方策について考えを述べよ

社会におけるコミュニケーションの必要性をあげ、あなたが持っているコミュニケーション能力を消防官としてどのように活かしていくか述べよ。


※テストで描いてほしかったイラスト※




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