令和4年度東京消防庁Ⅰ類1回目 「都民から信頼される消防官となるためにあなたが実践することを具体的に述べよ」

2023年5月13日土曜日

 

クイックアタッカー 日本橋MF1とMF2(東京消防庁 日本橋消防署)


令和4年度東京消防庁Ⅰ類1回目

「都民から信頼される消防官となるためにあなたが実践することを具体的に述べよ」

の解答例、解説記事になります。

 

まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみます。

 

<ヒント編>

論題分析―昨年のDX論題とは格段に違うハイセンスな出題―

論題は一見シンプルですが、難易度の高いものとなっています。

 

理由としては、解答するにあたってまず自分が消防の中でどのような職種(消火、救急、救助、予防、査察etc)で活躍したいかが明確になっていなければならないからです。

 

さらに、自分の希望する職種で働くにあたって

どのようなタイミングで都民と接する機会があり

その時に

どのようにして仕事を通じて信頼を得ていくのか

自分なりの考えを持っていなければ解答は難しくなります。

 

ただ単に

「消防士になりたい」

「東京消防庁で働きたい」

とぼんやり考えているようでは到底解答できないということです。

 

このように

受験生自身の考えを深く問う論題こそが良い論題

であり、

昨年のDXに関する論題と比較して格段に出題のセンスが上がっているといえます。非常に素晴らしい問題です。

 

長くなりましたが、要は「自分が消防のどのような職種で働きたいか」ということと「その仕事を通じてどのように都民に対して信頼を得ていくか」が解答のポイントになります。

 

②練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に論文を書く練習をしてみます。以下の項目を150字程度で埋めてみてください。

 

「都民からの信頼を得るために実践していくこと」

(自分の希望する職種に触れつつ、その仕事を通じてどのように都民の信頼へとつなげていくのか。)

 

「そのように考える理由」

 

<解答例>

私が都民から信頼される消防官となるために実践することは、日々の訓練を実際の災害対応と捉えることと仲間と積極的にコミュニケーションを取ることである。これらは一見都民からの信頼獲得とは関係ないように思えるが、ポンプ隊員として働きたい私にとっては実際の災害対応時こそ都民と接する機会であると考えている。この時に迅速、的確、効率的に都民の生命、身体、財産を守り、都民からの信頼を得るにあたって重要なことが上記の2点ということである。具体的には普段から訓練を実際の災害とみなし、自分の行動の11秒を短縮するため、あるいは自分に足りていない部分を探すためのテストと捉える意識を持ちたい。そして、仲間とコミュニケーションを取ることを上げたのは災害対応はチームで行うものだと考えるからだ。部隊には指揮者がおりその下で隊員が役割分担をしながら対応にあたる以上、メンバーがお互いにコミュニケーションを取り、協力することが欠かせない。このコミュニケーションがミスの防止、危険の回避、効率的な活動の素になり、普段からの訓練で培ったスキルがかけ合わさった結果として都民の安全を守ることにつながると同時に信頼獲得にもつながると私は考える。

 

上記のように考える理由として23区内のとある消防署のポンプ隊員の方に話を伺った経験が上げられる。その話の中でも印象的だったことは愚直なまでに訓練に取り組む姿勢である。救助に限らず、ポンプ隊でも救急隊でも要救助者を救うまでの11秒をいかにして短縮するか、正確かつ安全に活動するにはどう動けばいいか等常に考えながら訓練に取り組んでいるという話をおっしゃっていた。訓練は同じことの繰り返しではなく、常に改善を目指し、いざ出動した際に最高のパフォーマンスを発揮するために重要であるとのことだった。そして現場での救出や消火が成功することで都民から感謝され、後日お礼の面会や手紙などを頂く場合もあるとおっしゃっていた。

 

このように消防の業務でも特に消火、救急、救助の場合、都民と接するシーンはまさに都民の命がかかった状況である。その中でも的確な活動を通じて都民の安全を守るためには日ごろからの訓練に対する真剣な姿勢が重要であると私は考える。訓練を通じて自分の能力を高めると同時に、些細な事でも仲間とコミュニケーションを取り、安全の担保や危険を回避した活動ができるよう努めたい。そして話を伺った救助隊員の方のように災害対応を通じて都民から感謝され、信頼される消防士として働いていきたい。

 

<解説編>

構成

構成としては、

1段落目「都民からの信頼を得るために実践すること」

(ポンプ隊員として働くにあたって普段からの訓練を実際の災害とみなして取り組む・仲間とコミュニケーションを取る・災害出動時にそれらで培った力を発揮して都民の安全を守り、信頼獲得につなげる)

 

2段落目「そのように考える理由」

(芝消防署のポンプ隊員の方に話を伺った経験・訓練に愚直に取り組む・災害対応で最高のパフォーマンスを発揮する)

 

3段落目「まとめ」

 

の構成となっています。

 

 

②希望する職種で働くイメージを持つために・・・

本文中でも述べていますが、私は約78年前に23区内のある消防署を訪問しポンプ隊員の方に話を伺ったことがあります。

 

理由としてはポンプ隊員として働くにあたって自分の中でイメージを明確にしたかったからです。

その話の中で私は本文の参考にもなった「仕事への取り組み方」の他にも

「仕事のやりがい」

「仲間との信頼関係の作り方」

「仕事で辛いこと」

等、知りたいことを非常に多く質問させて頂きました。

 

このような仕事に関する情報はパンフレットや説明会でも得ることは可能です。しかしパンフレットに書かれていることは基本的な事ばかりです。

また、説明会でも質疑応答の時間では一人の参加者に時間を取らせるわけにはいかないのでいわゆる「一問一答」形式になりがちです。

 

これでは基本的なことはわかっても、自分の知りたいこと全てを聞くわけにはいかず、ましてや「仕事へのイメージ」を固めるための時間にはなりえないと私は考えています。

 

ではどうするかというと消防署にアポイントを取り、実際に現役で働いている方に個別で話を伺うしかないと私は考えています。

ただ、注意したいことは

「単に話を聞きに行く」

のではなく

「自分の知りたいことをしっかり準備した上で話を聞きに行く」

ことです。

相手も仕事の時間を割いて自分に面会してくれているので「自分はこういう事を知りたいがためにここに来ました」という姿勢でないと非常に失礼です。

「アポは取りました。あなたの話だけ聞かせてください。」という受け身な態度はNGです。

 

余談になりますが、面会の時間が終わった後少しだけ消防署の車庫を見学させてもらうことができました。

 

そのとき見させてもらった車両は

指揮車

普通ポンプ車

救助工作車

3台でした(救急車は出動中でした)。そのとき私は生まれて初めて消防車を間近で見たのですが、どの車両も恰好良く迫力があったことを今でも覚えています。

 

他にも防火衣や吸気呼吸器等、各種資機材を見させていただき、自分の中でポンプ隊員として働くイメージやモチベーションが上がった非常に良い経験となりました。

 

志望理由作りや仕事へのイメージ固めに悩んでいる方は消防署への個別訪問をおすすめします。

東京まで出られない方は地元の消防署でも大丈夫です。実際に自分が希望する職種で働く職員と面談し、様々なことを見て聞いて自分なりの考えが固まったら儲けものです。

ただ、もう一度言いますが受け身な態度で訪問するのは失礼です。

アポを取ったら自分の聞きたいことを最低でも15個は準備した上で面会に臨みましょう。

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