【2021年度東京消防庁Ⅱ類 】 官公庁がSNSを積極的に活用することの利点とその活用方策、さらにその際に注意すべきことを上げなさい。

2022年3月27日日曜日
高輪消防署 (東京消防庁)


2021年度東京消防庁Ⅱ類

「官公庁がSNSを積極的に活用することの利点とその活用方策、さらにその際に注意すべきことを上げなさい。」

の解答例、解説記事になります。

まずはヒント編を参考に論文を書く練習をしてみてください。

 

<ヒント編>

➀論題分析・構成

論題はいたってシンプル。

SNSを活用するメリット」

SNS活用方策」

「その際の注意点」

の順番で記述できればOKです。それ以外は一切書く必要がありません。

 

②論題の「官公庁」をどう捉えるか

論題には「官公庁がSNSを~・・・」と提示していますが、論題の通りに官公庁のSNS活用の側面から論述すると話題が広くなりすぎてしまいます。

官公庁といっても国や地方、行政事務から公安系など様々な種類や役割があるのでそれらを一つ一つ取り上げていては字数が全く足りなくなるどころか、何を言いたいのかわからなくなる論文になってしまいます。

今回は東京消防の論題ということで

「消防機関はSNSをどう活用するか」

という側面から論じられるといいでしょう。

 

③「SNSを積極的に活用」

論文の方針が決まったら具体的な内容を検討します。

SNSを使うということは何かしらの情報(コンテンツ)を発信するということであり、この時考えなければならないのが消防はどのような情報を発信しているのかということです。


もう少しヒントを与えると「平時」と「災害時」にどのような情報を発信しているかということであり、それらの情報の役割や閲覧する人々の想定によって消防はどのようにSNSを使っていくべきなのかを論述できればOKです。

 

④練習

構成が決まったら実際に書く練習をしてみます。

「官公庁がSNSを活用するメリット(※この時点では消防を特定する必要はない。一般論でどのようなメリットが考えられるか簡潔に。)」

100字程度

 

SNS活用方策(※具体例で消防機関をあげ、平時と災害時でどのように情報発信やSNSの使い分けを行うか)」

150字程度

 

「注意点(※官公庁に限らず、SNSからの情報発信がきっかけとなりミスや不祥事、事件があったケースからどのような注意点が必要か論述)」

50~100字程度

 

<解答例>

SNSを活用することは発信した情報がそのSNSのユーザー間で拡散し、多くの人々に効率的に情報を伝えることができるという点でメリットがある。SNSに一旦情報を発信すれば、人々は自分にとって都合のいい日や時間帯にSNSにアクセスし気軽に情報を得ることができる。また紙による媒体と異なり、即時的に情報が発信できることから緊急性の高い情報を伝える際にも十分メリットがある。これらの点でSNSによる情報発信は人手を介して行うよりも格段に効率的な情報発信が可能となるのである。

 

そして官公庁がSNSを活用していく方策として平時と緊急時によっての使い分けを行うべきであると私は考える。例えば消防機関が発信する情報としては普段の防災を啓発していくものと大災害発生時の広報といった緊急時のものと2種類が考えられ、発信する情報によって使うSNSを変えることも重要である。特に防災を啓発していく情報は幅広い年代に自ら興味を持って知ってもらう必要がある。しかし平時にSNSを使用して自ら行政機関の情報にアクセスしようとする人がいるとはあまり想定できない。あくまで娯楽のために自分の興味ある情報あるいはそのSNS上で有名人となっている者が発信する情報をチェックするために使うことが予想される。このように考えた場合、平時における情報発信はSNS上で有名になっている者と提携して行うべきだと考える。例えばユーチューブであれば行政機関が自前のチャンネルを作って発信することも手段の一つではある。しかし、有名なユーチューバーとコラボレーションしてそのユーチューバーのチャンネルで情報を公開してもらった方が行政機関に興味がなかった人々を含めより多くの人々の目に留まると私は考えている。


一方、災害時においては人々の興味が災害自体やそれに対応する行政機関に移ることが予想されるため、SNS上でも行政機関の情報が上位表示されることが考えられる。そのため有名人とのコラボをせずとも発信する情報が多くの人々の目に留まるはずである。そして活用するSNSとしてはツイッターが有効だと考える。理由としては数行の投稿に必要な情報を詰め込み発信することで、情報を閲覧した者が短時間で効率的に情報を確認できるからである。

 

最後にSNS上での情報発信における注意点については2つあると私は考える。1つは誹謗中傷のリスクを回避すること、2つ目は情報の正確性を徹底することである。前者についてはSNS含め、ネット上では思いも寄らないことを中傷の口実にするユーザーが存在している。容姿や話し方など個人では変えることが難しい要素を取り上げて数行のコメントで揚げ足取りをするのである。仮にユーチューブ上で行政機関の職員が出演する場合は顔や名札を隠すなど個人が攻撃されないよう配慮することが重要であると考えられる。次に情報の正確性の徹底についてであるが、これは特に災害発生時に重要となってくる。前述のとおり、災害発生時は行政機関の発信する情報に人々の関心が集中する。中には避難情報等、一度に多くの人々の行動を促すものも含まれる。今年1月中旬には神奈川県が沿岸地域を中心に津波注意報についての情報を含めたメールを深夜から朝7時までに約20回も誤送信した事態が発生した。緊急時には人々に最優先で頼られる行政機関からのミスが続けば信頼も揺らぎ、いざというときに発信する情報を受け止めてくれなくなる可能性もある。このためSNSやメールサービスを使うにしても正確な運用と情報の発信に努める必要があると私は考えている。

 

<解説編>

➀構成

構成としては

1段落:官公庁のSNS利用のメリット(効率的な情報拡散・緊急時の速効性)


23段落:消防機関のSNS利用(有名人とコラボした平時の情報発信・災害発生時のツイッターを用いた発信)


4段落:注意点(誹謗中傷対策・正確な運用と情報発信)

 

となっています。

 

 

②行政機関は自前のチャンネルを作るべきか?

本文中2段落中ほどから具体例としてユーチューブ上での情報発信について触れました。このとき考えたいことは行政機関が情報発信用のチャンネルを作ったことで、果たしてどれほどの人が閲覧するのかということです。もちろん自前のチャンネルから情報を発信することは手段の一つになりえます。

しかし私はSNSとは人々の興味の集合体であり、ユーザーは興味のある情報を発信、または興味がある情報を取捨選択して閲覧する傾向があると考えています。

特に閲覧する側の人々の興味を引き、目に留まらなければ

「情報は発信されたまま誰にも届かない」

事にもなりかねず、労力だけが費やされることになってしまいます。

そこで本文でも述べたように人気なユーチューバーとコラボし、その方のチャンネルで発信すればより効率的に人々の目に留まると私は考えた次第です。

 

SNSに潜むリスク

SNSに限らずインターネット上では発信された情報がどのような人に見られているか分からない面を持ち合わせています。善良なユーザーが大半を占めているかとは思いますが、中には自分の価値観に合わないだけで上げ足を取ったり中傷をする層がいることも事実です。

SNS配信を本業で取り組んでいるユーチューバーのような方々はそのような中傷に対する対策や慣れも持ち合わせてはいるかと思います。

しかし、本業ではなくあくまで手段の一つとして行政が情報発信に使用した際に思わぬ方向からの攻撃があることで心に傷を負う者が発生するリスクがあると考えられます。そのような方を発生させないためにも自分を守る手段を講じた上でSNSを使用していくべきかと思いました。

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