資料「最近一年間で防火防災訓練に参加したことのない最も大きな理由」から読み取れる課題を2つ上げ、その対応策についてあなたの考えを具体的に述べなさい
救助工作車 新宿特別救助隊(東京消防庁 新宿消防署)
東京消防庁平成30年度2回目
「最近一年間で防火防災訓練に参加したことのない最も大きな理由から読み取れる課題を2つ上げ、その対応策についてあなたの考えを具体的に述べなさい」
※資料は省略※
の解答例、解説記事になります。まずは<ヒント編>を読み、自身で論文の簡単な骨格を作ってみてください。解答例はヒント編の次にあります。
<ヒント編>
1:論題分析
課題はシンプルなものとなっており、資料を読んで課題を上げたうえで自分の考える解決策を述べられれば大丈夫です。逆に言えばこれら以外は述べる必要はなく、第1段落で課題を上げることが重要になります。
2:注目すべきポイント
過去の記事でも紹介していますが、この手の資料問題に対しては「比較の視点」を持って臨むことが大事です。すなわち資料の一部を見るのではなく、例えば前年の数字と比較するあるいは1つのデータを資料全体と比較させるといった視点が大事です。1つのデータだけをみて論を進めると資料を見ていないと捉えられたり、そのデータのどのようなところが課題なのか分かりづらくなってしまいます。
あとは課題を上げたら「なぜそれが課題だと考えたか」についての理由も簡単に述べておくことも大事です。
3:練習
ウォーミングアップが終わったところで記述する練習を行っていきましょう。上記のポイントを踏まえ各項目ごとに200字程度で埋めてみてください。
・グラフから読み取れる課題とそれを上げた理由1(200字程度)
・グラフから読み取れる課題とそれを上げた理由2(200字程度)
・課題1.2に対する解決策 (200字程度)
<解答例>
グラフから読み取れる課題は、訓練があることを知らなかったとの回答が前年と比べ5.7ポイント上昇していることと一緒に参加する人がいないとの回答がマイナス0.4ポイントしか下がっていないことの2つである。前者はグラフ中最大の増加項目であり、後者は減少率が一番低い項目となっている。特に後者については訓練の実施を知っていながら参加をためらっていることが見受けられ、訓練に招く上での見込みになる余地が十分にあると考えられる。また災害はいつどこで発生するか分からず、見知らぬ人とも連携して対応しなければならないこともあるため、知り合いがいなくとも参加して日ごろから防災への意識を高めておく必要がある。
上記の課題2つへの対応策として告知の方法を提案したい。例えば訓練当日に職員が中心となり消防団や町内会スタッフとともに訓練場所付近の住民宅に一戸ずつ伺い、参加や見学を呼び掛けていくのである。事前の告知では回覧板や掲示板による案内を実施しておき、当日に再度の告知を戸別に実施していく要領である。その際にただ実施を案内していくだけでなく災害時には見知らぬ人とも連携して対応しなければならない場合があることも伝え、1人でも多くの都民を訓練に招く方法である。非常に地道な作業になるかと思われるが、私がこのように考える理由として家具販売会社での経験がある。私が勤めていた家具販売会社では5,6か月に一回、一品少なくとも30万円以上する高価な商品の販売イベントを行っていた。その販売会は招待するにあたって選抜した顧客に事前にご案内状を送付し、その1週間後に担当の営業者がお宅に訪問していくことで顧客を招待していく方式をとっていた。しかし選抜した顧客といえどこのイベント自体に興味無いあるいはイベント自体忘れてしまっている顧客もいた。実際に訪問して十数件ほど対面で話をしてようやく1件の顧客招待につながるのである。
このことから訓練参加の呼びかけも同様、忘れてしまっていることは想定の上でなぜ知り合いがいなくとも参加する必要があるのかを含め声掛けを行うことが重要になると考える。非常に地道な活動になるが、毎日仕事や家事に追われ、多忙な日々を過ごしていることを想像すれば回覧板などで告知をしただけでは忘れられてしまうのもやむを得ない。このような現代において、防災訓練に参加を促すためには当日に付近の住宅一戸ずつに訪問活動を行ったうえで参加を促し、防災意識の向上に努めてもらう必要があると考えている。そしてゆくゆくは調査結果において訓練があることを知らなかったとの回答率を減少させ、また知り合いがいないので参加を見送ってしまっている重要な見込みを1人でも多く発見し参加を促していく必要があると考えている。(1131字)
<解説編>
1:構成
1段落目
課題2つとそれらを上げた理由
(訓練の実施を知らなかった/一緒に参加する人がいない。災害はいつ発生するか分からず、他人と協力して対応しなければならないこともあるため普段から訓練に参加し防災の意識を持つ必要がある。)
2段落目
課題の解決策とその根拠
(訓練会場周辺宅への地道な声掛け/家具販売会社での経験―高額商品販売イベント―)
3段落目
まとめ
になっています。
2:「訓練の実施をしらなかった」と「一緒に参加する人がいなかった」は表裏一体!?
資料内で一番目立つ「訓練の実施を知らなかった」という回答ですが、対策としてただ訓練の案内をして回るだけで実際に参加までにつながっていくかどうかは慎重に考えなければなりません。そこで注目したいのが「一緒に参加する人がいなかった」(※訓練について知っており、参加したい気持ちは多少なりともある重要な見込み)です。
仮に戸別の声掛けが功を奏して訓練の実施が周知できたとします。この時点で訓練に参加しなかった理由として「訓練の実施を知らなかった」との回答は減少していくことが想定されますが最終的に参加を決断するのは都民自身になります。
つまり
ただ訓練の告知をしただけでは「訓練の実施を知らなかった」の回答は減少する
でしょうが、逆に
「一緒に参加する人がいなかった」の回答数を増やしてしまう危険も含まれているわけです。
本文中にもありますが災害はいつどこで発生するか分からず、いざというときは他人と協力して対応しなければならないことも十分に考えられます。
そこで知り合いがいなくとも訓練に参加することの重要性を含めて告知を行い、一人でも多くの方に参加して頂けるようお願いしていくことが大事だと思っています。
3:AEDやスタンドパイプ取り扱い時における連携とは
ちなみにですが、防災訓練でおなじみのAEDやスタンドパイプですがこれらの取り扱い時には
消防隊や救急隊と同じく複数人の連携が重要
になってきます。すなわち、
スタンドパイプ取り扱い時は、
・消火栓のバルブを開放し送水する者
・筒先を持ち火点に向かって放水する者
の2名が最低でも必要になります。あとは応急手当する者、消防に通報する者、消防車を誘導する者等多くの役割が必要になります。
AED取り扱い時は
・傷病者に接触し脈や呼吸などの確認、心臓マッサージする者
・AEDを調達する者
・消防に通報する者
の3名が最低でも必要になります。このことから防災訓練は一人でも多くの方に参加してもらい、万が一の際の対応方法やどのような役割が必要になるのかを住民同士が共有しているのが望ましいことになります。
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