資料 家具類の転倒・落下・移動防止対策を実施していない理由 から読み取れる問題点を2つ上げ、それぞれの対応策についてあなたの考えを具体的に述べなさい

2020年9月19日土曜日

 

10t水槽車 (東京消防庁 2本部HR)

東京消防庁平成29年度Ⅰ類1回目

「資料 家具類の転倒・落下・移動防止対策を実施していない理由 から読み取れる問題点を2つ上げ、それぞれの対応策についてあなたの考えを具体的に述べなさい」

※資料は省略しています。

 

の解答例、解説です。まずはヒント編を読み、簡単な論文を作ってみてください。解答編はその次に続きます。

 

<ヒント編>

●論題分析、構成

論題は「資料から読み取れる問題点を2つあげる」ことと「それらに対する対策を自分の考えで述べる」ことの2つに分けられます。

すなわち解答していくにあたってはこの指示通りに文章を展開していかなければなりません。

 

よって構成は

パターン1

「資料から読み取れる問題点を2つあげる」

「それらに対する対策を自分の考えで述べる」

パターン2

「資料から読み取れる問題点1」

「それに対する自分の考え」

「資料から読み取れる問題点2

「それに対する自分の考え」

 

のどちらかの展開になるはずです。

 

構成は決まりました。次に実際に書き始めるわけですが注意点があります。

東日本大震災や熊本地震でも多くの方が家具転倒によってけがをしているのは事実ですが、今回述べるのはグラフから読み取れる問題点2つとそれらに対するあなたの考える対策です。間違っても「前置き」や「定義付け」などといった名目でこのような「事実」を文章の冒頭に述べていくことはしてはいけません。


当ブログを読まれている方にとっては常識かもしれませんが、まず書くべきことは問いへの解答(今回の場合は資料から読み取れる問題点2つ)です

 

●資料の注目するべきポイントとは・・・

資料で与えられたグラフは27年と28年度を比較する形であらわされています。よってこのグラフを見る際は昨年度と比較してどの項目が増加あるいは減少しているのかということを区別することがポイントとなります。

今回の論題は「問題点を2つあげる」との指示があるので、問題点すなわちマイナスにとらえることができる部分に注目して論を展開していくのが一番いいかと思われます。

 

●練習

それでは上記を踏まえて論文を書く練習をしてみます。それぞれの項目で約200字程度を目安に簡単に書いてみてください。

※ちなみにパターン1(最初に問題点2つを上げてしまい、次にそれぞれの解決策を述べていくパターン)でやってみましょう。

 

資料から読み取れる問題点2200字程度)

それぞれの問題点に対する自分の考える対策200字程度)

 

<解答例>

 資料から読み取れる問題点としては平成28年度の解答において「面倒である」との回答が33.3%を記録したことと「その他」の回答が23.3%を記録したことである。これらは共に前年度の結果を3%以上上回るものとなっており、また「方法がわからない」と「建物に取り付ける場所がない」の増加率を越えてしまっている。この資料から伺えることは家具転倒対策を難しく考えている方が多いことと、「その他」と回答する方が多いためグラフ上から正確な分析がし辛くなっていることであると私は考える。

 

 まず「面倒である」という解答率を減少させるため、手軽にできる地震対策を周知していくことを上げたい。例えば飛散し、割れた食器で足を怪我しないよう家の中では常にスリッパを履くことや、枕元にヘルメット及び履きやすい靴を備えておくことである。また、重い家具の転倒で室内のドアがふさがれる危険があればドアストッパーを使い常に開けたままにしておくことも有効である。そして少額で入手できる収納扉のドアロックパーツやガラス飛散防止フィルムを使用することもまた有効である。これらの手軽な地震対策は年齢性別関係なく取り組めるものであり、家具や家に傷をつけることもない。特に高齢者にとっては重い家具の移動および、転倒防止ストッパーや金具を取り付けることは難しい作業になることが十分に考えられる。そこで防災イベントやまちかど防災訓練で集まった高齢者の方に対して一人でも多くこれらの手軽な対策を周知していくべきだと考える。そして家庭の地震対策を面倒だと思わず、できることから始めて頂くよう広報していく必要がある。

 

 次に「その他」の解答率を減らすために私は「高齢のため身体的な理由でできない」と「手伝ってもらえばできるが一人暮らしのため頼れる者がいない」をアンケートの選択肢に追加することを上げたい。さらにどの選択肢にも含まれない理由がある場合に備え自由に記入できる欄を設けることも上げたい。上記2種類の選択肢は高齢者のみの世帯を想定した選択肢であり、家具転倒対策を行いたいと思ってはいるが何らかの理由でできない現状があるケースをあぶり出すためのものである。今後、高齢化社会が進むにつれて家具転倒対策を万全に行うことができない世帯が増えていくことが予想される。それを踏まえ、対策ができないあるいは実施をしない理由を正確に分析することでこのグラフを地震対策行政に活かすことができると私は考える。(1006字)

 

 

<解説編>

●構成

構成はヒント編で上げた通り

 

資料から読み取れる問題点2

(「面倒である」と「その他」の解答の多さ)

 

それぞれの問題点に対する自分の考える対策

(手軽な家具転対策の周知とアンケートの選択肢の追加)

 

の構成となっています。

 

 

●グラフで注目すべきポイント

ヒント編でも述べましたが、今回の論題ではグラフから問題点(マイナスにとらえられる要素)を2つ読み取る必要があります。その時に注意したいのが前年と比較した視点を取り入れることです。わざわざグラフ上で2年分のデータを出している以上、比較の視点を持たなければデータを読んでいないと受け取られることにもなりかねません。

 

そこで今回私が注目したのが「面倒である」(前年度+3.1ポイント)と「その他」(前年度+5.9ポイント)の2項目です。この2つの解答の増加が目立ったため私は問題と感じました。

一見

「建物の壁にキズをつけたくない」

の解答も多く、見逃せませんが冷静に見てみると

前年と比較して下がっている

ことが見て取れます。

下がっているということはいい傾向であり対策する優先度は低くなるはずです。同じような視点で「器具が高価である」「家具に器具取り付けのキズをつけたくない」「地震で家具が倒れるとは思わない」の解答を見てみると前年より下がっているためいい傾向であると判断できます。

 

●「面倒である」と「その他」という回答の裏を読む

このデータは東京消防庁の「消防世論調査」からの抜粋とあります。この調査は都民全員から3000人を無作為に抽出してアンケートを送付する形で行われています。よって対象者と面と向き合ってリサーチしているわけではなく、

得られたデータから推察をしなければならない

こともあり得ます。

つまり資料を見ただけでは「面倒である」とはどのような点で面倒であるのか判断できず、「その他」については何もわからないということになるわけです。

 

そこで今回、私は

「面倒である」

というシンプルな回答から「家具転倒防止対策を難しく考えているのではないか」という推察を、


「その他」

からは「対策を実行したいと思ってはいるが何らかの理由のためできないと考えている層が選んだ解答である」という推察を行いました。

 

 

●本文中で紹介した手軽にできる地震対策グッズ

最後に本文で触れた、手軽にできる地震対策グッズを紹介しておきます。


ガラス飛散防止シート


ドアロックパーツ(粘着テープ式)


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