人口減少が社会に与える影響をあげ、行政として対応すべきことについてあなたの考えを述べよ

2017年7月22日土曜日
調布水難救助 調布RW(東京消防庁 調布消防署)

東京消防庁H20年度第1回

「人口減少が社会に与える影響をあげ、行政として対応すべきことについてあなたの考えを述べよ」


の回答例です。時間がある方は解説編もどうぞ。

<例文編>
 2016年2月に発表された2015年度の国勢調査により、1920年以降調査結果として初めて日本が人口減少に転じた。
また、今後人口が増加していくことはないとも予測されており、人口減少は日本が直面する深刻な問題の一つである。そして人口減少に伴う影響について、私としては労働力及び税収の減少をあげたい。特に日本においては高齢者の増加が顕著で人口減少社会にあってもその伸び率が減ることはない。社会保障を受ける高齢者の数は増えつつ、それを負担する生産年齢人口が減ることで、財源となる税収あるいは日本を支える労働力の低下につながってくるのである。
 
 私はこのような人口減少社会において移民の受け入れこそが行政がとるべき対策であると考えている。低下する労働力を移民を受け入れることで補い、また安定的な税収の確保にもつなげるのである。このような対策をとっていく上で大前提となるものが移住してきた外国人やその家族に日本に長く居住してもらうことである。そして子や孫の世代にわたり安全に安心して生活できる環境を行政側が作っていくべきだと私は考える。そのためには、まず日本における小学校、中学校、高校それぞれに相当する公立のインターナショナルスクールを設置する。そして高校相当の教育課程を修了し卒業できた時点で高卒認定の資格を無条件で与え、大学進学や就職など日本社会に羽ばたける人材を生み出していくのである。また、移住してきた外国人の方にとっても自分の子供を預けられ、教育も受けられる場所があることで安心して日本で働けるはずである。
 
 しかし、移民の受け入れについて反対意見があるのも事実である。例えばドイツにおいては昨年100万人超の移民が流入しており、2016年第一四半期時点で移民によると思われる犯罪が約6万9千件を記録している。確かに移民を受け入れたことで国内の治安が悪化したのは事実であるが、その原因としては無条件に彼らを受け入れたからであると私は考えている。日本に移民を受け入れる際には過去の犯罪歴や過激な思想の有無、テロリスト集団との関係等を調査、審査し厳格な要件の下受け入れる基準を作ることで国内の治安悪化を抑えていく必要がある。また、治安が悪くなるということで仮に移民を一切受け入れない体制を維持するのも問題である。というのも減少する生産年齢人口の特に若手を警察や消防、自衛隊等地域の安全や日本の防衛に関わる仕事に優先的に採用した場合、民間企業の人手が不足することが容易に想像できるからである。
 
 以上のように、人口減少社会においては労働力や税収の低下が問題になるが、私としては移民の受け入れを対策としたい。移民を受け入れ長く日本に居住して貰い、子や孫の世代にわたって日本で安心して働き、生活してもらうことで人口減少による危機を回避できると私は考えている。(1195字)


<解説編>
ポイント1「構成」
論文の構成としては

1段落にて導入、問題提起
2段落で対応策
3段落で批判意見の検討、自説の強化
4段落でまとめ、結論

の構成になっています。ポイントは3段落目の批判意見の検討です。この部分は書かなかったとしても合格点はもらえます。しかしここを入れることで他の受験生たちを一歩リードできます。小論文に限らず、ディベートや討論の際「たしかにooである。しかし私は□□と考える」といった王道の意見主張法があり、これを付け加えることでより自分の主張に説得性が増します。


ポイント2「止まらぬ人口減少」
本文の冒頭で少しふれたように、2015年度の国勢調査(※)により、”調査結果として”グラフ上において日本の人口が減りました。(<ins>日本の人口減少は平成21年をピークとして減り続けています</ins>)
参考1→http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka/pdf/gaiyou.pdf
参考2→http://www.soumu.go.jp/main_content/000428775.pdf

 減り幅としては前回調査(2010年度)から97万7千人の減少、パーセンテージでみると0.7%の減少です。

本文でも述べましたが、人口減少に伴い税収も減少します。税収が減少するということはそれを財源とする公務員の給与支払いにも影響が出るということです。給与だけの話ではないかもしれませんが、消防士に限らず公務員を目指している方々は一度は日本の人口減少について真剣に考えてみてもいいかもしれません。
参考→http://www.jt-tsushin.jp/interview/jt2_ias/

(※国勢調査:統計法に基づき、総務大臣が国勢統計を作成するために、「日本に居住している全ての人及び世帯」を対象として実施される、国の最も重要かつ基本的な統計調査(全数調査)である。 国勢調査では、国内の人口、世帯、産業構造等などについて調査が行われる。参考→http://www.stat.go.jp/data/kokusei/qa-1.htm

コメント

0 件のコメント :

コメントを投稿