H23年度名古屋消防 「あの時の経験が自分を成長させてくれた」と感じている経験とそれを今後の自分にどのように活かしていくか

2023年4月24日月曜日

 

水難救助車 大森RW(東京消防庁 大森消防署)


H23年度名古屋消防

「あの時の経験が自分を成長させてくれた」と感じている経験とそれを今後の自分にどのように活かしていくか

の解答例と解説記事です。

 

まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみてください。

 

<ヒント編>

➀論題分析

「自分を成長させてくれた経験」といわれると大層な経験をあげなければならないと萎縮してしまいそうですが、要は「自分のこれまでの価値観が変化した経験」ということです。

 

社会人に比べ、学生時代の経験は99%が些細なものであり、採用側もそれを十分承知しています。そのため無理をして大層なエピソードをこしらえる必要は全くありません

論題にある「成長」とはすなわち「変化」であり、公務員でも民間企業でも働く人にとって常に「変化」していくことは大変重要です。

 

今回はその「価値観の変化」に対応し、頑固にならずに成長したことがあるかどうかを問う「社会人基本テスト」みたいなものと考えていいかと思います。

 

どのような些細な事でも構いません。人から何かを教わったり、何かに直面した際に自分の価値観が変化した瞬間があればそれが成長したエピソードになります。

 

 

②練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に論文を書く練習をしてみます。下記の項目をそれぞれ100字程度で埋めてみてください。

 

「自分を成長させてくれた経験(価値観が変わった経験)」100字程度

「その経験(価値観)を今後どのように活かしていくか」100字程度

 

 

 

<解答例>

自分を成長させてくれた経験は駅員アルバイトである。具体的にはそのアルバイト経験を通じて視野を広く保ち柔軟に動けるようになったことが自身の成長を実感している点だ。仕事内容としては通勤ラッシュ時の列車監視やお客様の案内が主であり、アルバイトスタッフは全員日ごとに自分の役割やホームでの立ち位置が指定されて業務が開始される。当時の私は自分の役割やポジションが指定されているのだから、自分に関わる仕事のみ行っていればいいと考えていた。しかし、実際は時間の経過と共に混雑するエリアが駅構内で変化したりお客様同士の様々なトラブルの発生や、落とし物の相談等多様な事態に対応しなければならない忙しい業務であることを実感した。その際に先輩方が互いに声を掛け合い、アルバイトの権限を越えない程度に柔軟に対応したり助け合っている姿を目にした。業務に対して不安になる部分もあったが自分もまた先輩方に助けて頂くこともあり、頼もしさを感じたことを今でも覚えている。自分の役割だけにこだわらず、視野を広く持って助け合うことがチームとしてよりいい仕事をするための素になることを実感したのである。今では私が先輩の1人として後輩達にその姿勢を見せていくよう努めている。そしてもし後輩に助けてもらった時はしっかり感謝をすることで視野を広く持つ意識の醸成に力を入れている。

 

私はこの経験を仕事仲間と良い人間関係を作る際に活かしていきたい。アルバイトの際に感じたことであるが、役割を越えた助け合いの意識はお互いの感謝へと変わる。そして日ごろの感謝が積み重なることでメンバー同士の信頼感が生まれ、その信頼感がチームとしてより良い仕事をする原動力になると私は考えている。ただ、こちらの助けの手が相手にとって余計なものとなってしまっては意味がない。そうならないためにも仕事に慣れない間は事前に相手としっかりコミュニケーションを取り、相手の性格やどういうことをして欲しいのか把握した上で自分にできることを柔軟に実行していくことを意識したい。それは消防の業務でも同様である。ポンプ隊に配属された際には訓練はもちろん雑用、炊事や事務でも自分にできることを探し、相手にして欲しいことを積極的に実行していく意識を持ちたい。そして、日頃より周囲の者から感謝の念を積み重ねていくことで自分に対する信頼関係を築くきっかけとしていきたい。その感謝の念に基づく信頼関係があれば駅員アルバイトの例のようにチームとしていい仕事ができると私は考えている。

 

 

 

<解説編>

➀構成

構成としては

1段落「価値観が変わった経験」

(駅員アルバイトを通じて視野を広く持ち、柔軟に業務に向き合うことができるようになった)

 

2段落「今後の自分への活かし方」

(仕事仲間と良い人間関係を作る際に活かす・視野を広く持ち、柔軟に仕事に取り組む・仲間を助けて感謝の念を積み重ねる)

 

の構成となっています。

 

 

②私が考える信頼関係の築き方―視野を広く持ち、仕事に向き合う―

信頼関係は一朝一夕では成立しないのはわかるかと思います。ではどのようにそれを築き上げていくかというと、私としては本文にもあるように「感謝の念を積み重ねる」ことだと考えています。

 

相手から感謝されるためには当然その相手に何かをしてあげる必要があります。何をせずとも無条件で感謝されることなどありえません。また逆に自分か何かをしてもらったら必ず相手に感謝の意を示す必要があります。

 

この時、相手に何かをしてあげる際に必要になるものが「視野の広さ」「柔軟性」であると考えています。決して自分のことばかり考えず、周囲の状況をしっかり観察し他人が困っていそうなら何か手伝えることはないか視野を広く持って考える癖を持つことが大事です

 

ここでまた本文にもある通りですが、助けの手が相手にとって余計なものになってしまっては意味がありません。それを回避するためにも慣れないうちは相手としっかりコミュニケーションを取り、どういうことをして欲しいのか積極的に聞きに行く姿勢も重要です。


そして仕事にも慣れ、相手の思考や性格がつかめるようになってきた後は柔軟に動くのみです。状況に応じて自分が今どういう事をしなければならないのか、周囲の状況も併せて考慮し何も言われずとも他人がして欲しいと思っていることを先回りして実践していくことです。自分に任されていることを実行することが最優先ではあります。しかし余裕がある際は知らんぷりをせず先回りした行動をとることで周囲から大小なりとも感謝を集めることが可能です。感謝が集まれば、今度は逆に自分が無条件で助けてもらう素になるはずです。普段からこのような感謝の積み重ねを実践していくことが信頼関係を構築していくきっかけになると私は考えています。

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