H20年名古屋市消防 消防士は人気職業であるという世間の評価がある一方、常に危険と隣り合わせの仕事である厳しさについてどう受け止めているか

2022年10月20日木曜日

 

目黒特別救助隊(東京消防庁 目黒消防署)


H20年名古屋市消防

消防士は人気職業であるという世間の評価がある一方、常に危険と隣り合わせの仕事である厳しさについてどう受け止めているか

の解答例、解説記事になります。

まずはヒント編を読み、自分で論文を書く練習をしてみてください。

 

<ヒント編>

➀論題分析

記事のタイトルでは省略して表記していますが、実際の論題は

「最近、民間会社が実施している『職業の信頼度や人気の職業(将来就きたい職業)についての調査によると『消防官』が上位にランクインされることが多い。しかし、その反面、消防官の仕事は火災現場での負傷事故など、常に大きな危険と隣り合わせである。こうした世間の評価と現実の任務の厳しさを消防官を目指すにあたりどのように受け止めているかについてあなたの考えを述べよ。』」

という論題になっています。

 

つまり、消防士は世間からの評価が高い人気職業の一方で常に負傷(最悪の場合死亡)するリスクのある職業である現実について消防士を目指すあなたはどう考えているか

 

ということです。

そこで

 

「危険な職業であることは承知であることを前提に、いかにして業務上のリスクを減らしていくか」

 


ということが解答の方向になってくるわけですが、キーワードになるのが

「仲間」


だと考えています。

当然、消防はチーム(隊)で災害現場において行動します。そして個人個人が任された役割に沿って任務にあたるのであり、その際に必要なことが

「背中を預け合う」

ことだと私は考えています。これは役割分担で物事に当たるうえで避けられない事であり、言い換えれば必ずしも自分がすべてを見切れるとは限らないということでもあります。

 

そして、「背中を預け合う」にあたって必要な事こそこの論題で答えなければならない要素であると考えています。

 

②練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に論文を書く練習をしてみてください。以下の項目をそれぞれ簡単に埋めてみてください。

 

「危険度の高い現場に立ち向かうにあたって、消防士として必要な事とは」

100字程度

 

「その求められていることを身に付けていくためにどのように仕事に向き合っていくのか」

150字程度

 

 

 

 

<解答例>

確かに消防士は危険と隣り合わせの職業であるが、仲間と共にお互いをフォローし合いながら災害へ立ち向かうことで危険に晒されるリスクを下げることが求められる仕事であるとも私は考えている。理由としては動画投稿サイトのユーチューブ上で福島第一原子力発電所の冷却作戦の指揮を執ったハイパーレスキュー隊員のインタビューを見たからである。インタビューの中でその隊員は放射能という目に見えない恐怖と戦うことは非常に不安であったと語っていた。しかし線量計を持って測定してくれている仲間がいることで不安を勇気に代えて作戦に臨むことができたとも語っていた。このように消防士は危険な仕事ではあるが、決して一人で災害に立ち向かうわけではない。重要なことは互いを支え合い、災害現場にて自分たちが危険に晒されるリスクを低減しつつも要救助者を救うことだと考えている。お互いの信頼をもとにしたチームプレーをもって人の命を救うことができるやりがいのある仕事であると私は考えている。

 



ただ、お互いをフォローするということは自分が他の隊員を信頼することは当然である。逆に言えば自分もまた他の隊員から信頼されるよう一人前になる必要があるということでもある。つまり常にリスクが付きまとう危険な現場で自分を含むチームが安全に活動していくためには、自分が一人前になっていることが大前提なのである。消防士として採用されれば消防学校での半年の訓練期間があるが、この期間を満了すれば一人前というわけではなく、むしろ卒業後がスタートラインだと私は考えている。消防学校では毎日訓練や座学を指導するスタッフがおり、その方々の指示や指導に従ってスキルを伸ばしていくことができるが、実際に配属になった際はそうはいかない。上司は部下の面倒を見ること自体が仕事ではなく、上司自身の仕事を行わなければならないはずである。そこで上記のように一日でも早く一人前になるには自分で欠点や課題を見つけ、自分で克服していく姿勢が重要ではないかと考えている。

 



その為にも常に目標を持ち続ける意識を忘れないようにしたい。体力錬成や日々の訓練、実際の災害対応で少しでも不得手に感じた部分があれば、それを克服するためにどのように行動するか考えることで目標達成へのステップを明確にしていきたい。この取り組みを通じ、まずは最初に配属されるポンプ隊にて一日でも早く一人前の隊員を目指したい。そして実際の災害現場でもお互いに信頼し合うことでなるべくリスクを減少しながら活動し、要救助者を救うことや市民の財産を守るやりがいのある仕事に携わりたい。

 

 

<解説編>

構成

構成としては、

1段落「仲間と共に信頼し合いながら現場で活動し、危険に晒されるリスクを減らす。」

(福島第一原発冷却作戦の例)

 

2段落「では仲間から信頼される隊員になるためにどうするか」

(消防学校を卒業した後も常に向上心を忘れず、一日でも早く一人前になる。)

 

3段落2段落で述べたことを具体的に。」

 

の構成となっています。

 

 

②ハイパーレスキューのインタビュー―仲間を信頼して危険に立ち向かう―

本文1段落目で上げた福島第一原発で活動したハイパーレスキュー隊員のインタビューについてですが、レスキュー志望でなくとも是非一度は見て頂きたいと思います。

202210月現在もユーチューブで視聴可能です。

 

直接リンクを貼りたいところではありますが、掲載許可を取っていないことや著作権の問題もありそうなので簡単に案内を示しておきますので自身で検索してみてください。

ユーチューブで「福島第一原発_ハイパーレスキュー」で検索

TOKYO MX」さんの投稿動画4分程度)

 

です。

 

この動画をあげた理由というのも危険な現場に立ち向かうにあたって、まさにヒント編で述べた「背中を預け合う」ことが端的に感じられる内容だからです。

動画には放射線の危険を知らせるアラームが鳴り響く中、原発周辺で懸命に作業するハイパーレスキュー隊員たちが映されています。

 

そして動画の半ばで隊員のインタビューが始まり、その中で

「線量計を持って測定してくれる仲間がいるというだけで、萎縮が勇気へと変わった」

と隊員が語っているのです。

 

確かに消防士は危険な現場で活動する仕事ではありますが、信頼する仲間と共に背中合わせで立ち向かうことで自分達へのリスクを減らしつつも要救助者を救うやりがいのある仕事でもあるということが端的にわかるインタビュー映像だと考えています。

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