H17年度横浜市消防 次のテーマについてあなた自身の経験を踏まえて具体的に述べなさい「信頼回復」
PA連携で出動する日吉消防隊(横浜市消防局 港北消防署 日吉出張所)
H17年度 横浜市消防
次のテーマについてあなた自身の経験を踏まえて具体的に述べなさい「信頼回復」
の解答例と解説記事になります。
まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみてください。
<ヒント編>
➀論題分析―信頼回復とは―
信頼回復というと硬く聞こえますが、要は何かしらのミスや失敗を経由した上で人間関係をいい方向へかじ取り(コントロール)した経験があるかどうかということです。
この「コントロール」の経験こそが信頼回復という表現に言い換えられるわけです。
もう少しヒントを加えると、
・失敗やミスに巻き込まれた人たちは少なからずネガティブな感情を抱く
・このネガティブな感情を浄化させ、いい人間関係を作り上げるために自分はどのように行動したのか
ということになります。
②練習
以上を踏まえた上で以下の項目について簡単に埋めてみてください。
「自分が失敗した経験とそれに関わった他人へのマイナスな影響」100字程度
「失敗を挽回し、相手の感情をどのようにしていい方向へコントロールしたか」150字程度
<解答例>
私が信頼回復に努めた経験として空手サークルでの合宿のリーダー経験が上げられる。その合宿で使用する宿泊施設においては生活に関することは全て自分たちで行わなければならなかった。またメンバーは事前に行われた数度のミーティングを通じてこのことは事前に把握していたはずであった。しかし、実際に合宿が始まると稽古による疲労で居眠りをしてしまい仕事ができなかった者、友人たちとの会話に夢中になり仕事自体を忘れていた者がいたりと非常にまとまりの無い初日になってしまった。もちろん仕事をきちんとこなしていたメンバーもおり、私は彼らからきちんとリーダーシップをとるよう不満を打ち明けられた。この合宿を成功させるためにも信頼を回復しなければならないと考えた私はその夜にミーティングを行った。
このミーティングを通じてまず私は初日からリーダーシップを取れていなかったことを皆に謝罪した。そして翌日からは積極的に役割をこなしてもらうこと、そして余裕がある際は周りの者を手伝うことや注意し合う意識を持ってもらった。また、私としてもメンバーに指示を明確に伝えたり、全体の進行具合を掲示板に張り出して情報を共有できるよう努めることを決意した。メンバー間で積極的にコミュニケーションをとり、全員で協力し合って合宿を乗り越えていこうと提案をしたのである。この結果、翌日以降は全員が自身の役割に基づき動いてくれるようになった。またメンバー同士で声を掛け合うことで不注意やミスを防ぎ、私を含めて互いに助け合う非常に良い信頼関係が出来上がっていた。
このことから私は信頼回復するにあたってはまず自分の非を認めることが重要であると感じた。そしてその後にどのように挽回していくのか、自分で行動することによって相手に尽くしていく姿勢が重要であるとも感じた。今回の合宿の事例では仕事を行わなかったメンバーにも責任はある。しかし、ただそのメンバーを責めるだけでは対立や私に対する不満は何も解決しなかったはずである。それよりも合宿期間中は生活を共にする組織としてお互いの信頼関係を回復することが一番の課題であった。そのため、まずリーダーである私が謝罪し、今後どのようにして円滑に合宿を進めていくのか実際に行動で示していくことが必要だと考えたのである。このようにしてメンバー全員に尽くしたことが功を奏し彼らの中で信頼関係が醸成された。そして合宿がうまく進んでいったことが結果として私への信頼感へとつながっていったと考えている。
<解説編>
➀構成
構成としては、
1段落:「失敗した経験」
(合宿中のリーダーシップ力の不足・挽回の決意)
2段落:「挽回の具体策」
(全員で協力して合宿を進行させる・私を含めた全員に信頼関係が構築される)
3段落:「まとめ」
(自分の非を認めることの重要性・挽回の際は他人に尽くす)
の構成となっています。
②謝罪した経験はあるか―信頼回復する際の最優先事項-
ヒント編ではあえて触れませんでしたが、信頼回復するにあたって最優先に行わなければならないのが
謝罪(自分の非を認める)
することだと考えています。
理由としては人間には感情が存在するからです。
仮に機械の操作でミスをしたとしてもエラーが出るか壊れるのみであり、自分がさじを投げない限り何度でもやり直したり、修理を繰り返すことが可能です。そこに言葉は不要で機械は素直に自分に従う機械でしかありません。
しかし他人の感情は機械のように無条件で思い通りに動かすわけにはいきません。人それぞれ物事の受け取り方や考え方が異なり、程度の差こそあれど感情の浮き沈みがあります。
つまり時間の経過と共に他人の感情がどのように動くか全く想像できないことが謝罪を最優先に考え、真っ先に反省の気持ちを伝えなければならない理由となります。
もちろん全ての原因が自分にある失敗は自分が謝罪しなければなりません。(当然です。)
ただ、本文のようなリーダーシップを取れなかった自分も悪いが、仕事をこなさなかったメンバーも悪いといった、いわゆる五分五分案件(と私は呼んでます。)の場合でもやはり真っ先に自分が謝罪をすべきだと考えています。
この事例の場合、まとまりのない初日であったことが私に対する不満やメンバーへの対立を拡大させる可能性が十分にありました。また、合宿自体もわずか4日の日程だったため、この対立が消えないままギスギスした状態で終わるリスクもありました。
上記のように人間の感情は先が全く読めないものであります。そのため当事者を責める前に真っ先に私が管理の不行き届きを謝罪し、反省の気持ちを伝えたということです。
そして今後の過ごし方をミーティングを通じて共有させたことがメンバー間の信頼関係構築や私への信頼回復につながっていったと思っています。
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