H16年度横浜市消防 次のテーマであなた自身について述べなさい「磨きをかける」

2022年10月10日月曜日

 

本牧和田大容量送水隊(横浜市消防局 中消防署 本牧和田出張所)


H16年度横浜市消防

次のテーマであなた自身について述べなさい「磨きをかける」

の解答例と解説記事になります。まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみてください。

 

 

<ヒント編>

➀論題分析:「磨きをかける」とは

論題にある「磨きをかける」という語句ですが、言い換えれば「改善する」とも表現できます。


すなわち何かしら努力をして物事を良くする一連の流れが「磨きをかける」ということになります。


注意したいことは「努力したこと」だけではなく「努力して改善した」ということにまで焦点を当てて解答していかなければならない論題だということです。

 

よって解答していくにあたって題材にしなければならないのは自分の中で何かしらの改善を重ね、より良い結果を出した経験を前提としなければならないということです。

 

ちなみにですが、経験やエピソードを探す際には

「時間を短縮した経験」

「より効率的に物事に取り組んだ経験」

があればベストです。

 

理由としては消防の仕事もこれら2つの要素が重要だからです。

災害が発生すれば11秒でも早く装備を整えて現場に駆け付け、要救助者を救わなければならないからです。その為の訓練ではいかに早く、より効率的に活動できるかについて常に磨きをかけていることが想像できます。

 

よって自身のエピソードを探す際にも「時間短縮」や「効率性」をキーワードに選ぶことでもしかしたら採用担当者側の共感を得られるかもしれません。(※小論文と面接がどのようにリンクしているかは分かりませんが。)

 

 

②構成

改善した経緯を述べていくにあたっては、改善するための行動はもちろんですが現状のどのような部分が改善の余地があるかを前提として示しておくことが重要です。

 

その際は改善の余地(現状)について簡潔に触れ、それをどのように改善した(磨きをかけた)のかについてを具体的に述べていく必要があります。

 

よって論文の構造も改善の行動についてボリュームを持たせて記述していくことが求められます。

 

 

③練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に論文を書く練習をしてみます。

以下の項目を簡単に埋めてみてください。

 

「改善すべき現状」50字程度

(時間短縮、効率性の向上が課題となるようなものが望ましい)

 

「どのように改善した(磨きをかけた)か」150字程度

 

 

 

 

<解答例>

私が磨きをかけた経験としては倉庫作業のアルバイト経験が上げられる。仕事内容としては出荷指示があった商品を倉庫内の膨大な在庫からピックアップし、カーゴを使って出荷担当部署まで運搬する仕事である。入社して一か月ほど経過し、業務になれてきたところで他のスタッフと比べると自分の作業の速度が劣っていることに気付いた。そこでどのようにすれば一秒でも早く作業を進められるか考えるに至ったのである。考えついた案としては商品の場所を事前に覚えてしまうことと、ピックアップのリスト全体を把握してどのようにカーゴに積載していけばより多くの商品を一度に運搬できるのか効率を考えることの2つである。この2つを通じて自分の商品ピックアップの作業速度を速めるよう努めた経験がすなわち磨きをかけた経験である。

 



最初に、事前に商品の場所を覚えてしまう努力について述べたい。倉庫内はある商品がそのままその場所に置かれ続けているということはほぼない。在庫の多寡に応じて少なくなったものから順に手前に送られ、多くなったものは奥側に送られていく。このように日々変化する商品配置を事前に把握しておけば逐一探す手間や時間を短縮できると考えたのである。そのため私は作業開始時間の30分前には必ず出社するよう心掛け、その時間を使って倉庫全体を見て回るようにした。そしてどこにどの商品が置かれているかメモを取りながら事前に把握したのである。

 



次に効率的な商品運搬の取り組みについて述べたい。ピックアップリスト商品は実に様々であり、ダンベルのような重量のあるものから、ワインやカメラなど取り扱いに注意を要するもの、タオル詰め合わせのような非常に軽い商品まで多様であった。それらの商品がリスト上にランダムな順番で掲載されており、その順番通りにやろうとすると出荷場所までの往復回数が増加してしまう。そこで私はリスト通りではなく、先に重量があるものを積み込み、その上に徐々に軽いものや取扱注意品を詰めていく順番を意識した。カーゴ内のスペースをまんべんなく使い、なるべく効率的に運搬できるよう努めたのである。このときに役に立ったことが上で述べた、商品の場所を覚えてしまう取り組みである。リストを見た瞬間に商品の場所がわかるので最短の道順で商品を回収することが可能になったのである。

 

これらの2つの取り組みにより私の作業速度には磨きがかかり、以前よりも効率的に手早く作業が進められるようになった。ただ、これらの取り組みは一回実行しただけでは意味がない。上記のように商品の位置やリストの順番は日々変化しているので、毎日自主的に倉庫内を見回ることは重要である。またリスト全体を見てどのように回収すればより効率的なのか常に考えながら仕事をすることも重要である。私は倉庫内の作業は単純な仕事だと入社前は思っていた。しかし実際は与えられた作業内容をいかにして早く、効率的に進められるか常に磨きをかけ続けることが求められる仕事であると感じた。アルバイトといえど、今後も私は仕事上のスキルに磨きをかけ続けることを忘れずに業務に努めたい。

 

 

<解説編>

 

➀構成

構成としては

1段落:「磨きをかけたことについて簡潔な解答と改善すべき現状について」

(倉庫内の作業スピードの現状・解決のための2つの案)

 

2段落:「磨きをかけた経緯➀」

(倉庫内の商品の位置を覚えてしまうこと。)

 

3段落:「磨きをかけた経緯②」

(効率的なピッキング順番を考えること。)

 

4段落:「まとめ」


の構成となっています。

 

 

②消防士は常に磨きをかけている

消防署によってまちまちではあるでしょうが、どこも朝8時から9時の間に大交代24時間勤務者の交代)という民間企業でいうところの朝礼を行っています。

 

この朝礼のあと当日の24時間勤務者が行うことが全ての機材の点検や出動の訓練です。

 

特に出動の訓練では本番さながらに災害発生場所の住所(大抵はその消防署の住所)が指令され、例えばポンプ隊であれば防火衣や空気呼吸器等の装備を一式装着し車両に乗り込みます。そしてサイレンを短く鳴らし、車両を敷地内で数メートル前進させたところで訓練が終わります。

 

これはまさに「磨きをかけている」ことであり、練度の向上と維持を通じて実際の災害発生でおおむね1分以内に出動できるよう毎日行われていることです。

 

本文でも見たように「磨きをかける」とは一回の取り組みや一日のみの実行で終わるのではなく、常に毎日実行し続けることで初めて意味を成すことです。

 

このことから今回の論題は「普段から磨きをかける」という消防士に必要なスキルがあるかどうかを問う課題であったといえます。

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