H15年 東京消防庁Ⅱ類「 不得意なことを克服するためにあなたがこれまでにしてきた努力について述べなさい」

2022年10月9日日曜日

はしご車 大森L(東京消防庁 大森消防署)


東京消防庁Ⅱ類H14

「不得意なことを克服するためにあなたがこれまでにしてきた努力について述べなさい」

の解答例と解説記事になります。

まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみてください。

 

<ヒント編>

論題分析―考えや主張ではなく事実をメイン―

 

今回の論題は珍しく「これまでにしてきた努力について」述べるものとなっています。

つまり自分の考えや主張を展開するのではなく、あくまで「努力」という事実について具体的に述べることが重要になってくる論題です。

 

つまり、不得意なことを克服するにあたってどのような困難があり、どのように克服したのかという過程を重点的に述べていくことが重要ということです。

 

そして次に重要なことが

「自分にとって何が不得意であったか」

1段落目で示すことです。

 

論題を読んだだけでは分かりづらいですが、出題者が問うているのは

 

「不得意なこと」と「克服の過程」

 

であり、この2つを書く際の配分は「不得意なこと」1つに対して「克服の努力」1つ(できれば2つ)を述べたいところです。

理由としては不得意なことを23個も述べていては後半の「克服の努力」について具体的に述べるスペースが圧迫されてしまい、字数オーバーになってしまう可能性があるからです。

 

重点的に述べなければならないのはあくまで「克服の努力」であり、「不得意なこと」を延々と述べていても字数稼ぎにしか思われない可能性があるので注意が必要です。

 


②構成

上記を踏まえた上で、構成としては

 

「不得意であったこと」1つ。簡潔に述べる。)

「克服の努力」(どのような困難があり、どのように克服したか具体的に。)

となります。

 

③練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に書く練習をしてみます。以下の項目を簡単に埋めてみてください。

 

「不得意であったこと」50字程度

「克服にあたっての努力」150字程度

 

 

 

 

<解答編>

私が不得意であったことは主体的に動くことだった。理由としては大学進学に伴い高校生活と比較してより自分で考えて動くことが求められ、戸惑う場面が増えたからである。これを克服するために行った努力は仲間と協力することと視野を広く保つことの2つである。

 

仲間と協力するという努力については空手サークルでの昇級試験における経験が上げられる。その試験では仮に不合格であったとしても監督する師範からは何も改善点やアドバイスはもらえない。また、先輩方は自分の昇級や昇段試験に忙しく、常に下級生の面倒を見られるとは限らなかった。自分で課題を発見し、自分で克服していく力が求められるのである。高校生の頃は常に先生から指示や指導があり、それに従う癖がついていた私はたちまち戸惑ってしまった。そこで私は昇級に向けて何をどのようにすればよいか、同じ悩みを持つ同級生達と合同で練習する機会を提案した。その練習でお互いに課題を指摘し合うことで自分だけでは考えつかなかった課題が発見でき、それを改善するべく自主的にトレーニングができるようになったのである。この効果は私だけでなく練習に参加した同級生達も同様に確認ができた。この経験で、一人で行き詰まってしまった際は仲間と協力してアイデアを出し合うことの重要性を感じた。そうすることで主体的に動く際のステップが明確になり、目標達成が近づくのである。

 

次に視野を広く保つことについては駅員アルバイトでの経験が上げられる。仕事内容としては社員駅員の監督の下、他大学の様々な学年の学生9名と共にラッシュ時間帯のお客様や列車の安全を監視する仕事である。ただ、業務中はいつどのようなことが発生するか予測できないのが常であった。その時に、以前の私は自分の持ち場で自分の仕事ばかりやっていた。それについて社員の方に、自分の仕事をするだけでなく他のアルバイト社員達と協力して柔軟に事態に対応するよう注意を受けることがよくあった。そのため私は視野を広く保ち仕事をするよう努めた。お客様や列車の安全を監視することは確かに重要ではあるが、同時にアルバイト仲間達もこまめに観察するよう努めた。そして手間取っていたり困っているようであれば何か手伝えることはないか率先して聞くよう心掛けた。そうすることで以前より感謝の言葉をもらう機会が増えると同時に、私が手間取っている際も仲間が手助けしてくれる機会も増えていった。

 

大学を卒業し、社会人になれば今まで以上に自分で考えて主体的に行動することが求められる場面が増えるはずである。その際には上記のように仲間と協力することや視野を広く保って仕事をするよう意識を持って取り組んでいきたいと考えている。

 

 

<解説編>

構成

構成としては

1段落:不得意だったこととその理由。克服の努力も簡潔に。

 

2段落:努力「仲間と協力する」

 

3段落:努力②「視野を広く保つ」

 

となります。

本文を見ての通り不得意なことが理由を含めて最初に1点だけ簡潔に、それに対する克服の過程が重点的に述べられていることが分かります。

 

このように、「克服の努力」を述べる際には本文のように具体的にかつ重点的に述べる必要があり、「不得意なこと」を複数あげてしまうとその分だけスペースが圧迫されてしまうことが分かるかと思います。

 

 

②なぜ努力を2種類上げたか

ヒント編で述べましたが、「克服する努力」をできれば2つ述べたいと紹介しました。

 

本文でも同様に2つ述べているのですが、その理由としては

「さりげなく自分をアピールできる」

からです。

不得意なことを克服するにあたってどのように取り組む人物なのかを2つの事例でさりげなく論文の採点者にアピールすることができるわけです。

 

物事を分析するには事例は一つでも多い方がよく、複数の事例から共通する事項を抽出していくことでより正確に理解や分析ができます。

 

今回の論題でも不得意なことを克服するにあたってどのように努力したのか、一つ取り上げれば十分です。

 

しかし解答例のように2つ取り上げることで、上記のように努力の過程から解答者がどのような人物なのかをより具体的に採点者にイメージさせることが可能です。

 

実際に解答例を見てみます。

 

努力:仲間と協力し、主体的に動くステップを明確にする

努力②:視野を広く保ち、自分のことだけでなく仲間の助けになるようにも仕事をする

 

これら2つの努力から見えてくるのは解答者自身の「仲間思い」な特徴です。


もちろん主体的に動くことができる面は十分想像できるのですが、それを導くエピソードからにじみ出てくるこのような特徴こそ重要な自己分析のヒントでもあったりします。

 

これがヒント編でも述べた、努力の過程をできれば2つ上げたいという理由になります。

 

 

③主体的に動くということ

本文の最後に述べたように、社会人になれば今まで以上に自分で考えて行動することが求められます。


入社当初は誰しもが教育や研修を受けさせてもらえますが、それがいつまでも続くわけではありません。会社側としては一日でも早く一人前になり、主力として仕事に取り組んでもらいたいと考えているはずです。

 

その際に重要なことが「自分で考えて主体的に動く」ということになります。

 

別の記事でも解説しているのですが、

学生と社会人の一番の違いは「取り組んでいることに正解があるのかないのか」

ということです。


すなわち「正解がある課題に取り組むのが学生」で「正解の無い課題に取り組むのが社会人」だと私は考えています。

今回、社会人になるにあたって正解の無い課題に「自分で考えて主体的に取り組む」覚悟をアピールする解答例をあげてみました。

 

※学生と社会人の違いについて解説した記事はこちらです。参考にどうぞ↓↓

 社会人として必要なものを3つ挙げ、それを身に付けるためにあなたが今後どう取り組んでいくのか具体的に述べよ。

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