平成24年度 浜松消防 学卒3年以内に仕事を辞める若者が多いが、あなたが働くことに対しての考えを述べよ

2022年10月30日日曜日

 

水槽付きポンプ車 三田1(東京消防庁 芝消防署 三田出張所)


平成24年度 浜松消防

「学卒3年以内に仕事を辞める若者が多いが、あなたが働くことに対しての考えを述べよ」

の解説と解答例の記事になります。

 

まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみてください。

 

<ヒント編>

➀論題分析

論題の前半に「学卒3年以内に仕事を辞める若者が多いが」とありますが、重要なのは「あなたの働くことについての考え」を述べることです。

 

引っかかってはいけないのはその「仕事を3年以内にやめる若者」について延々と述べてしまうことです。

そうなると論題にて問われている「働くことについての自分の考え」がその分後出しになってしまい、読んでいる採点者側も面倒くさくなり減点になる可能性があります。

 

要は「働くことについての考え」を最初に述べ、次にそのように考える理由を述べる構成にしなければならないということです。

 

そしてその理由に該当する部分で初めて「仕事を3年以内に辞める若者」について知っているデータや統計、ニュースなどがあれば披露すればいいわけです。ただ、この理由の部分で使うのはできれば自分の体験談や経験から学んだ身近なものが理想です。

 

データや統計は世間に公開されているものであり、論文の中で誰が根拠として使用しても全く同じような文章になり、かえって採点者を飽きさせかねません。論文の中で個性を出していくために重要なものが自分の体験談や経験から学んだことであり、身近なものであればあるほど採点者を惹きつけることが可能となります。

 

 

②練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に論文を書く練習をしてみます。以下の項目を簡単に埋めてみてください。

 

「働くことについての考え」100字程度

(※働くことについてどう考えているか、端的に。)

「その理由」150字程度

(※データや統計でもいいが、できれば自分の体験や経験を根拠に。)



<解答例>

働くということは価値を生み出すことであると私は考えている。理由としては学生と社会人の立場の違いがあげられるからだ。学生の頃は先生と呼ばれる立場の者が常に近くに居り、その者の指示や教えられることに対して従うことが求められる。そしていい成績を残すことが学生にとっての優先的な仕事となる。一方、社会人には学生時のように常に先生に該当する立場の者がいるわけではない。正解の見えない課題や仕事に対して自分の考えで取り組み、実績を出していかなければならない。しかもその実績は常に評価の対象として見られており、その評価次第では降格や最悪の場合には会社を去らなければならない厳しいものとなる。つまり、その実績を出すことこそが価値を生み出すことであり、私が働くことに対して持つ考えである。

 


私は学生時、物流会社の倉庫作業にアルバイトとして携わっていた。そのアルバイトで常に見てきたことは社員の方々の働くことに対する姿勢である。倉庫に送られてくる荷物や商品は季節や年度によって多様に変化するのが常であった。そのような状況下で社員の方々は日々運ばれてくる荷物をどのように捌き整理整頓するか、どのような順番で倉庫内に保管したり積み重ねていくかお互いに考えや工夫を巡らせて業務に当たっていた。そのような工夫のおかげもあり、末端のアルバイトである私にとっても商品や荷物の位置が把握しやすく時間短縮した効率的な作業が可能であったことを今でも覚えている。倉庫作業とは荷物の受け入れや出荷といった、いわばやることが決まっている仕事である。しかし、社員の方々はルーティンワークに陥ることなく毎日知恵や工夫を凝らして効率的な作業を可能にする価値を生み出していたということである。

 


どのような仕事でも必ず誰かしらの役に立ち、感謝されているはずであるというのが私の考えである。ただ学卒3年以内に仕事を辞める若者が多いのは、仕事を通じて価値を生み出した結果が具体的にイメージできていないことも原因の一つではないかと考えている。上記の倉庫業の例ではある社員の1人はアルバイト含め、メンバーの方々が快適に、効率的に、そして安全に作業できる環境を整えられていることにやりがいを見出していると聞いたことがある。つまり、仕事に対するやりがいやモチベーションは会社が与えてくれるものではなく、自分で見出していくものであると考えられる。ただ、それを自分で見出せるようになるまでは仕事に慣れなければならず、ひいては自分で考えて価値を生み出せるような人材になる必要がある。そのようになれるまでには時間がかかり、結果として3年経たずに辞めてしまう事態につながってしまうのではないだろうか。そのため、私はその仕事が掲げる価値を生み出せるようになるのはもちろんである。しかし辞めてしまいたいと考える前に倉庫スタッフのように、自分なりに価値を生み出して働くにあたってのモチベーションを見つけられるよう努めたい。

 

 

<解説編>

➀構成

構成としては

1段落:「働くことについての考え」

(働くとは価値を生み出すこと・学生と社会人の違いをもとに)

 

2段落:「価値を生み出すとは」

(倉庫アルバイトの事例・社員の価値を生み出す仕事)

 

3段落:「まとめ・3年以内に仕事を辞めてしまうのは」

(仕事を通じて価値を生み出した結果が具体的にイメージできていない・やりがいは自分で見つける)

 

の構成となっています。

 

 

②「仕事のやりがい」とは・・・

本文中の具体例では倉庫業の事例が上げられており、その倉庫を運営する会社にも仕事を通じて実現していくべき理念が掲げられています。

特定を避けるため詳しく紹介することはできませんが、

「スムーズな集荷と出荷を通じてお客様のお悩み解決」

のような理念でした。

 

もちろんこのスローガン通りに日々仕事を通じ、お客様に満足される実感を得られれば理想であり、やりがいをもって働けることと思われます。

しかし、倉庫の仕事はあくまで荷受けと出荷であり、会社の掲げるお客様との接点はほぼないのが現状でした。

 

ここで重要なことが本文でも述べた

 

「自分でやりがいを見出すこと」

 

です。本文3段落目にある倉庫社員の仕事への考えのように、「自分の業務を通じて他人に貢献できている実感がモチベーションにつながっている」とイメージできるかどうかが重要だと考えています。

 

たしかに会社の目標としては「物流を通じたお客様満足の達成」ではありますが、その目標を達成するにあたって会社内では様々な業務があります。

もちろんお客様と接する仕事もあれば倉庫のようにお客様と接する機会の無い業務もあるわけで、自分の置かれた環境や仕事に対して自分でやりがいを見出すことが早期退職を避ける上で重要な考えの一つだと私は思っています。


③学生と社会人のちがい

本文1段落で述べている「学生と社会人の違い」ですが、私は

「正解のある課題に取り組むのが学生」

「正解の無い課題に取り組むのが社会人」

だと考えています。責任の有無ではありません

 

つまり社会人は「常に自分で考える」ことが求められる立場であり、本文のように自分で考えて価値を生み出していくことが重要になってくると私は思っています。

 

これについて具体的に解説した記事のリンクを貼っておきます。良ければ参考にどうぞ↓↓

令和2年2回目東京消防庁『社会人として必要なものを3つ挙げ、それを身に付けるためにあなたが今後どう取り組んでいくのか具体的に述べよ。』

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