東京消防庁H15年度 「あなたが考える社会貢献とは何ですか?また現在の立場でどのような貢献ができますか。」

2022年8月28日日曜日

 

救助工作車(東京消防庁 芝消防署 芝特別救助隊)


東京消防庁H15年度

「あなたが考える社会貢献とは何ですか?また現在の立場でどのような貢献ができますか。」

の解答例と解説記事になります。まずはヒント編を読み、論文を書く練習をしてみてください。

 

<ヒント編>

➀論題分析・構成

今回の論題はシンプルです。

「自分の考える社会貢献」

「自分のできる社会貢献」

の順番で記述できれば問題ありません。よって構成もこの順番で問題ないです。

 

②「社会貢献」て何?

では前提として社会貢献とは何なのかということですが、難しく考える必要はありません。

自分の利益を度外視してまさしく「社会」に「貢献」するということです。

自分がこれまで見たり聞いたり体験した中で自分や特定の個人や団体の利益につながらない活動が思いつけばそれが「社会貢献」となります。

 

③練習

ウォーミングアップが終わったところで実際に書く練習をしてみます。

以下の各項目についてそれぞれ簡単に埋めてみてください。


「自分の考える社会貢献」100字程度

 

「自分のできる社会貢献(その貢献がどのように社会に利益になるのかも説明すること)150字程度

 

<解答例>

私が考える社会貢献とは自分への見返りを優先するのではなく、社会全体の利益につながるよう行動することだ。個人が利益を得たり、得をするということは自然に生まれてくるものではなく、何かしら社会への負担が発生した上で生じているものだからだ。人々が普段使用している日用品に使われているプラスチックや車の燃料の素材となる石油等、使えば確かに便利で非常に快適である。しかし上記のいずれも地球への環境に対していい影響を与えるものではない。燃料を燃やせば有害なガスが発生し、プラスチック類の廃棄は時には環境を汚染し罪のない生物達の命を簡単に蝕むことになる。ただ、人類が文明社会を築いて発展させていく以上、直ちに地球に悪影響のあるものを禁止するわけにはいかない。それらのバランスを考え、人と地球の共存を図っていく上で重要なことが自分に対する見返りの優先度を下げ社会あるいは地球全体への利益になるよう行動することであり、私の考える社会貢献でもある。

 



これらのことから、現在の立場で私ができる社会貢献は3つある。1つは買い物などでビニール袋を使わなくていいように常にエコバッグを持ち歩くことである。ビニール袋は有料化されたとはいえ、23円と安価であり、手がふさがらない便利さもあってつい使用してしまいがちである。しかし、一度破けてしまえばもう使い道のないゴミとなってしまい廃棄せざるを得なくなってしまう。そこでエコバッグがあればそのようなゴミの発生を未然に防げるのである。2つ目は自宅から近場への移動には自転車を使ったり、徒歩で向かうことだ。これにより排ガスの発生や二酸化炭素の排出を抑えることができる。3つ目は近所の河川敷清掃のボランティアに参加することだ。私は学生時代にゼミ課題の一環として近所の河川の清掃活動に何度か加わったことがあった。その際に感じたことは一見きれいに見える川でも川底にはあらゆるゴミやヘドロが大量に沈んでおり、身近な場面でも人間と自然の共存が脅かされている現実があることを実感した。

 

以上、社会貢献について実行可能な行動について述べてきたが、これらを簡潔に表現するならば便利すぎる社会に疑問を持つことであると私は考える。最初にも述べたように誰かが便利さを享受するとき、対価として必ず社会や地球のどこかで負担が発生している。しかし人と自然がともにバランスよく共存していく社会を作るためには時に人々が便利さを我慢しなければならない場面があるはずである。ゴミを減らしたり、そもそも捨てなくていい状態にするにはどうすればよいか、便利さを生み出す際に何が犠牲になっているのか実際に考え、個人ができる努力と我慢を積み重ねることがより良い地球環境を作っていくための社会貢献になると私は考える。

 

 

<解説編>

➀構成

構成は

1段落

「自分の考える社会貢献」

自分への利益よりも社会全体の利益のために行動すること。環境保護を例に。

 

2段落

「自分のできる社会貢献

エコバッグ持参。車の使用を控える。河川の清掃。

 

3段落

「まとめ」

便利な社会に疑問を持つ。人と自然が共存できる社会貢献を行うために。

 

 


②社会貢献は公務員の仕事に通じる!?


8年前に世界ふしぎ発見という番組を見ていた時のことです。


日本のとある地方消防本部の職員がローマにて現地の消防署や古代消防を研究するグループを訪問する内容が放送されていました。


その中で個人的に印象深かった場面があります。その地方消防の職員が古代ローマ消防の研究機関のスタッフに


「古代ローマで一番勇敢だった消防士は?」


と尋ねるのですが、スタッフは


「記録が一切残っていないので分からない」

「出土した遺品から当時の消防活動を想像するしかできない。」


と答えたシーンです。

 

社会の安全のため集団で行動する消防という組織柄、記録や隊員たちの名簿があってもよさそうです。

また、危険な任務を達成したことで何かしらの勲章や褒章を受け取った記録もあってもよさそうなものです。

 

 

それすらないということは、


社会の安全のために富や栄誉や勲章等の見返りを一切求めず任務に当たった古代ローマの消防士たちの姿


が想像できるのではないでしょうか

 

そしてこの古代ローマ消防の話は現代にも通じるのではないかと私は思います。

 

消防士に限らず、公務員は役職や階級によって大方給与が決まっており、生涯賃金のおおよその額も計算できてしまう場合があります。

また、消防については業務上危険な活動について手当が出る場合もあるようですが、要救助者を助けるノルマやそのノルマを達成したことで支払われるインセンティブ(給与にプラスして支払われる臨時的な報酬)は基本的にはないはずです。

 

ここで考えたいのが


「何をモチベーションとして人命救助にあたるのか」


ということです。

 

民間企業なら営業ノルマを達成しインセンティブを受け取り、どんどんお金を稼ぎ出世することをモチベーションにしている人もいるでしょう。

もちろんそれは悪いことではなく、


個人の生き方として十分に正しい


ことです。

 

一方、消防という仕事においては上述したようにいかに危険な任務を達成しようが給与にはほぼ反映されません。


そのような条件下でモチベーションになるものというと

「使命感」

としか言えないと私は考えています。

言い換えれば


市民の安心安全の面から社会貢献する」


仕事といえるのではないでしょうか。

 

これから消防士になる方や消防を受験する方は古代ローマの消防士のように、勲章や褒章のためでなく、あくまで市民の安全のために社会貢献する使命感を持ってもらいたいと思います。

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