文章理解第20弾ー消防という仕事の二面性編ー

2022年8月29日月曜日

 

東京消防庁DMAT連携隊


オリジナル文章理解(東消式)の第20弾です。おまけで漢字問題も用意していますので是非挑戦してみてください。

 

消防職員の平時と災害出動時の仕事への取り組み方について述べられた次の文章を読み、後の問いに答えよ。(制限時間4分)

 

 

災害出動時と平時2つの側面を持つ消防業務において、私は平時から報告連絡相談を意識し上司と信頼関係を作りながら仕事に取り組むべきだと考える。災害現場での業務は指揮命令系統に沿った迅速な仕事が重要であり、その指揮命令を信頼するには上司との信頼関係が重要になってくる。ただ、このような信頼関係はイッチョウイッセキで醸成されるものではない。上司、部下問わず平時から報告連絡相談等を通じたコミュニケーションを素に作り、災害現場での業務において発揮することを繰り返す必要があると考えているからだ。

 

 

 よって私は平時において上司から仕事を任された際にはこまめに報告や連絡を行うことで上司と情報の共有をハカリながら進めていくことを心掛けたい。また、イレギュラーや改善点が発見されれば些細なことであってもすぐに相談することで不祥事やミスの予防にもつながってくる。このように平時からこまめに報告連絡相談を意識しながら仕事に取り組むことで上司との信頼関係が構築されていくと考えている。そしていかなる災害現場でもその信頼関係を素にした指揮命令であれば部下たちは任された業務にセンネンできると私は考える。

 

 

 私が上記のように考えるのはある焼き肉屋に客として訪れた時の経験が上げられる。私は焼肉定食を頼もうとしたが肉の量が足りないと思い、定食と焼肉の単品を注文した。しかしオーダーを受け取りバックヤードに向かった店員がすぐ戻ってくるなり、定食のLサイズを注文した方が量はほぼ変わらず200円ほど安くなると提案をされた。店としては客の注文どおりに食事を提供するのが仕事であるが、私はこのとっさの相談にこの店員に対して信頼感が生まれたのを今でもはっきりと覚えている。

 

 

 

 消防に限らず、組織に属する以上仕事は上司の命令や指示が重要な意思決定となりうる場合もある。しかし状況によっては自分で考え、どんなに些細なことでもより良い提案や改善があれば積極的に上司に報告連絡相談を実行していくべきである。このような小さな積み重ねが結果として部下と上司の信頼関係につながり、消防の場合は危険な現場での指揮命令系統の確立に役立つと私は考える。

 

 

1:下線部➀イッチョウイッセキの漢字表記として正しいものを選べ。

➀一鳥一石

②一丁一夕

③一朝一石

④一長一席

⑤一朝一夕

 

 

2:下線部②ハカリの漢字表記と送り仮名の組み合わせとして正しいものを選べ。

➀測り

②図り

③計り

④量り

⑤謀り

 

 

3:下線部③センネンの漢字表記として正しいものを選べ。

➀専然

②践念

③専念

④宣念

⑤先然

 

4:本文の主張として最も正しいものを選べ

災害現場での業務は明確な指揮命令系統が確立されるため、部下としてその指揮を受ける者は普段から上司とコミュニケーションを取ることで信頼関係を作らなければならない。

 

災害出動時には上司による明確な指揮命令系統が確立され、部下はそれを信頼した上で業務にあたる必要がある。その信頼関係を醸成するためには上司、部下問わず平時の業務内で報告、連絡、相談等お互いに積極的にコミュニケーションを取っていく必要がある

 

災害現場で部隊がスムーズに活動するためには、普段から上司が積極的に部下に対してコミュニケーションをとることが重要である。それにより生まれた信頼関係が明確な指揮命令系統の確立と現場活動の効率化につながる。

 

組織に属する以上は指示や命令に従うことも重要ではあるが、災害現場では何が起こるかわからない。そのため、時には自分の意見を上司に提案しながら主体的に動くべきである。

 

近年は消防士が消火活動中に殉職する事故が発生しているため、現場で活動するにあたって明確な指揮命令系統と安全管理を徹底した活動マニュアルを作成するべきである。その際に必要なものが部隊内での信頼関係であり、普段からコミュニケーションを取ることで醸成していかなければならない。

 

 

 

 

 

 

<解答>

1:⑤一朝一夕(わずかな期間、短い時間という意味)

 

2:②(物事を考えた上で実行すること。⑤も似たような用途で使われるが、他人をおとしめたり、罠にはめたりする意味で使われるため文脈に合わない。)

 

3:③

4:②1段落、4段落に記述あり。)

➀「部下がコミュニケーションを取らなければならない」とは言い切っていない。上司部下問わずお互いに行うべきであると主張している。

 

③➀と同様に「上司が部下にコミュニケーションを取らなければならない」とは言い切っていない。

 

④そもそも本文に記述無し。

 

⑤確かに近年に殉職事故が発生しているが、それを踏まえた上で信頼関係を作らなければならないとは記述されていない。「本文中にはない事実」をちらつかせて間違いを誘う典型的なひっかけ選択肢。


※静岡市消防局にて20207月に3人が、20228月に1人が消火活動中に殉職している。

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