【2020年度東京消防庁Ⅱ類】失敗を糧に成長した経験を仕事にどう活かすか
重機搬送車(東京消防庁 8本部HR)
2020年度東京消防庁Ⅱ類
「あなたの経験から「失敗を糧に成長できた」と考えられる事柄をあげ、今後当庁で仕事をしていくうえでそれをどのように生かしていくのか、あなたの考えを具体的に述べなさい。」
の解答例、解説記事になります。まずはヒント編を読み、自身で論文を書く練習をしてみてください。
<ヒント編>
1:論題分析・構成
やや長い論題ですが要は「失敗を糧に成長した経験をどう仕事で活かすか」ということです。
よって論文の構成としては
「失敗を糧に成長した経験」
「仕事でどう生かすか」
の2段落構成になります。
2:失敗したことが思い当たらない―成長とは新しい価値観の芽生え―
読者の中には可もなく不可もない人生を過ごし、失敗したことが思いつかない方もおられるかと思います。そのような場合は
「今まで自分が正しいと思っていた方法で物事に取り組んだものの、うまくいかなかった経験」
と拡大解釈してみるといいでしょう。
そして
「うまくいかなかった」ことを失敗と定義し、それを乗り越えた経験を「成長した経験」と置き換えてみるといいでしょう。
すなわち論題にある「成長」とは新しい価値観の芽生えでのことであり、従来の自分と比較して視野が広がった状態のことを指しています。これでも思いつかなかった方は今すぐこのページを閉じて頂き、今からでもアルバイトなりサークルで何でもいいので挑戦をしてみることをお勧めします。
3:練習
ウォーミングアップが終わったところで実際に書く練習をしてみましょう。それぞれの項目について200字程度で書いてみてください。
「失敗を糧に成長した経験(従来の方法でうまくいかなかったことから、新しい価値観が芽生えた経験)」
200字程度
「仕事でどのように活かしていくか」
200字程度
<解答例>
空手サークルの合宿にてリーダーを引き受けたことで、他人を気に掛ける力が付いたという点で成長することができた経験が上げられる。合宿のスケジュール進行については元々事前のミーティングで全員が共有しているはずであった。その為自分はリーダーとして指示を出すのみで合宿が進行するものと思い込んでいた。しかし実際は異なり、炊事や掃除等スケジュールを忘れる者、食材の買い出しで道に迷う者、練習の疲れで居眠りしてしまう者等想定していなかったトラブルが続出する事態となった。リーダーの私としても責任を感じてしまった。その晩、明日からの日程に向けて反省会を実施し私からの明確な指示の発出と私を含めメンバー各自がお互いに声を掛け合って支え合うことを決定した。それが功を奏し、スムーズなスケジュール進行はもちろんメンバー同士が支え合う非常に良い雰囲気が醸成されていた。また、後輩が私からの指示より先に自分の取るべき行動について積極的に提案しに来るようになったことがなによりうれしかったことを覚えている。
この合宿で学んだ他人を気に掛ける力を配属された当初と自分が部下を持った際の2つの場面でいいチームワークづくりを行う際に活かしていきたい。例えば消防署に配属された際、個人に任された業務以外にも掃除や炊事等様々な業務も任される。自分に任されたことのみをこなすのではなく、困っている同僚がいたら積極的に声を掛け手伝うよう心掛けたい。そして私だけでなくお互いに声を掛け合う雰囲気が作られればいいチームワークの醸成にもつながってくると私は考えている。
また、将来隊長として隊の責任を負う立場になることも十分考えられる。災害現場における活動には隊長から隊員へ命令を下す上意下達の方針が適用されているが、危険を伴う活動において基礎となるものは信頼関係であると私は考えている。それを養っていくためには普段からのコミュニケーションや個人を気に掛けていく心掛けが必要である。その際にもまた上記の合宿での経験を活かしたい。具体的には部下に対して毎日朝の挨拶から休憩中の雑談、仕事上の指示に至るまで粘り強くこちらから積極的に向けていくのである。そしてまずは部下に心を開いてもらうよう努めたい。これらの積み重ねが合宿の例でみたように後輩の方から逆に提案を行ってくるような信頼関係の構築につながっていくと考えている。このような信頼関係が出来上がればチームとして災害時にはいいパフォーマンスが発揮できるはずである。ただ、部下としても上司からのコミュニケーションを待っているだけではその分信頼関係の構築も遅れてしまう。その為、私は配属されたばかりの立場であっても隊長をはじめ、上司を積極的に理解する心掛けを忘れないようにしたい。そして一日でも早く活発な提案ができるようになれば上司としても部下からの提案をうれしく思い、信頼関係を結べられるはずだと私は考えている。
<解説編>
1:構成
1段落目「空手サークルでの合宿における経験と成長」
リーダーとして指示を出すだけでスムーズに進行するものと思い込んでいた。しかし実際は異なり、細かな指示や気遣いを通じて支え合うことの大切さを学ぶ。
2段落目「同僚とのチームワーク醸成、隊長として部下を管理する際に活かす」
普段の業務や雑用も同僚と助け合いながらこなすことでいい人間関係を構築。上司として部下を管理する立場になっても普段のコミュニケーションや気遣いを通じた信頼関係構築を意識。現場活動においてもチームとしていいパフォーマンスができるよう心掛ける。一方で自分としても率先して上司を理解していくよう努めていく。
の構成となっています。
2:リーダー経験を通じた自分の成長
本文にある通り私は合宿でのリーダー役を引き受けました。当時は大学3年生だったのですが、リーダーを決定する際誰も立候補せずくじ引きの結果で私が務めることになりました。
これまでの人生でリーダーになったことが無かった私は
「予定に沿って指示を出していけば問題ないだろう」
と安直に考えていました。しかし実際は本文にある通りトラブルの続出の状態でした。翌日以降はメンバー同士が互いに声を掛け合うことと、私もただ指示を出すだけでなく個人に対して細かく声掛けをしたり気遣うことを意識しました。
その結果初日とは比べ物にならないほどスムーズに進行したことは本文の通りです。このとき私が感じたことは
「リーダーはメンバーを引っ張っていく存在であると同時に支えていく存在でもある」
ということでした。
指揮を取ったり、指示を出すのは当然ですが、同時にメンバー1人1人に声を掛け、気に掛けていくことで信頼関係を構築しチームとしての力を底上げしていくための存在であるという実感を持ったことを今でも覚えています。
くじ引きという自分の意に反した結果で引き受けたリーダー役ですが、今思えば大変貴重な経験をしたと思っています。
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