【デジタルトランスフォーメーション】東京消防庁令和3年度I類の論題について考えること
以下の文章は令和3年I類の論題について思うように解答することができなかった方々に是非読んでいただきたいと思います。
今回の論題で解答できなかったのは受験者の知識不足や対策不足ではなく東京消防庁が就職試験としては不適切な出題をしたからだと考えています。
(※できれば全文読んでいただきたいところですが、赤線で囲った部分_____だけ読めば概要はつかめるようになっています。)
●東京消防庁令和3年度I類の論題について考えること
今回の論題「デジタルトランスフォーメーションの実現が人間社会にどのような影響を与えるのかあなたの考えを具体的に述べなさい」について思うのは東京消防庁が小論文試験の趣旨を全く持ってはき違えているということだ。
そもそも小論文とはすべての受験者の多様な視点から導き出される解答を採点し論理性や考えをまとめる力等を試す試験のはずである。よって論題に専門的な用語を混ぜ、その用語を知らなければ一切の解答ができない構造の問題文を出題するのは小論文試験の趣旨から大きく外れた出題と言わざるを得ない。
ただ、例えば大学受験であれば専門用語を交えた論題を出題し受験者をふるいにかけることについては納得できる。理由としては大学という教育機関の性質が上げられる。大学が存在する本質は研究者を養成するためであり、研究者になる以上は当然専門的な知識が要求される。その専門知識を以って物事を分析し、新たな知見を世に発表していくことができる素質を持った受験者を選び取る必要がある。そのため、論題に専門用語を交えたものを出題することは許容されるべきなのである。一方で東京消防庁の場合は大学受験ではなく就職のための試験である。確かに東京消防庁は消防技術安全所という研究機関を自前で持っている消防本部である。しかし、あくまで東京消防庁に課せられているメインの業務は研究ではなく都内の火災を鎮圧することで、その業務に付随して救助や救急、予防や査察が存在している。世間一般の会社と同じく、自分の考えを持ちつつも組織の人間とうまくコミュニケーションを取ることができ、仕事を通じて組織の目標を達成できる素質を持ったものを採用するための試験にすべきなのは言うまでもない。
このように考えた際、就職における小論文試験に限って言えば採点基準となるのは細かい知識ではなく受験者の視点や論理性、物事を分かりやすく説明する力なのである。これらの力は正解の無い時代で働く社会人として必須の力であり、これらを試せるのが小論文試験のいい側面なのである。このことから今回の東京消防庁の小論文試験で出題された内容は就職試験の一環として実施するには不適切で、趣旨をはき違えているといっても過言ではない。どうしてもデジタルトランスフォーメーションについて問いたかったのであれば択一試験で出題するべきである。択一試験の良さは満点を目指す試験ではなく時間内に6、7割の正解を目標に要領良く問題を処理していく力を試す試験であることだ。仮にデジタルトランスフォーメーションについて分からなかったとしても、その問題にかける時間を別の問題に充てるといった受験者自身の機転や要領の良さを試すことにもつなげられる。
よって今回の論題が小論文として不適切であった以上、解答できなかった受験生の方々は落ち込む必要は全くない。今後の試験に向けて当ブログの各記事内にあるヒント編を参考に自分の今保有しているエピソードや体験談を素にし、様々な出題パターンの小論文を作り出していく練習をして頂きたい。最後に、この記事を読まれている方々がそれぞれ希望する消防本部に最終合格できることを祈っている。
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