【解答例】令和8年度東京消防庁Ⅰ類1回目小論文 東京の災害リスクと対策
2026年度東京消防庁Ⅰ類1回目
「年々、自然災害のリスクが高まる中、東京で起こりうる災害リスクを挙げ、
東京の特徴を踏まえた上で東京消防庁として推進すべき取組を具体的に述べよ」
の解答例と解説記事になります。
まずはヒント編を読み論文を書く練習をしてみましょう。
<ヒント編>
・論題分析
今回の論題はシンプルです。構成としては前半で東京ではそのような災害リスクがあるか述べ、後半においてその対策を東京の特徴を踏まえた上で解答していけばOKです。
具体的にいうと
「東京でどのような災害が発生し、どのような被害が予想されるのか」
「そのような災害リスクに対して東京の特徴を踏まえてどう対策するのか」
ということです。
解答する上で一番注意したいことは論題にある通り
「東京消防庁として推進すべき取り組み」
について述べることです。
自分の持つ考えの下に自由に論じた結果、東京消防庁の業務として管轄していないことを述べても意味がありません。むしろ問いに答えていない不合格な解答と見なされる可能性があります。
ウォーミングアップが終わったところで実際に論文を書いていく練習をします。下記の項目について150字程度で埋めてみてください。
「東京でどのような災害が発生し、どのような被害が予想されるのか」
「そのような災害リスクに対して東京の特徴を踏まえてどう対策するのか」
<解答例>
東京で起こりうる災害リスクは首都直下地震である。その被害として懸念しなければならないことは建物倒壊だけではない。倒壊した建物から出火し隣接する建物へ延焼することだと私は考えている。特に東京23区の特徴として荒川区や足立区、墨田区、葛飾区を中心として木造密集地域が点在している。これらの地域は地震による倒壊などの被害を受けやすく、その後の火災のリスクも高い。建物は倒壊してしまえばそこまでの被害だが、火災は対処しなければ延々と燃え続け、周辺の建物を巻き込んで被害が瞬く間に拡大してしまう。
そこで、このようなリスクを減らすためにも木造密集地域を対象にした初期消火の講習や訓練を行うべきだと私は考えている。そこで私はそれらの訓練を実施する際に日程や場所の告知や周知に力を入れるべきだと考えている。実際、消防の世論調査において、防災イベントや防災訓練の不参加理由についてイベントの存在を知らなかったという解答が例年圧倒的多数を占めている。このことから、事前の告知はもちろん、当日の告知にも力を入れるべきであると考えている。例えば木密地域の住人たちだけでなく、そのエリアの近くにある商業施設や駅など人が多く集まる場所にて告知し、1人でも多くの人をイベントや訓練に呼び込むのである。そして、私が一番重要だと考えることは繰り返し防災訓練やイベントに勧誘することだ。その理由として訓練は一回体験しただけでは動作が身に付かない可能性があるからだ。地震はいつ起こるか分からず、倒壊した建物から出火するタイミングも予測ができない。だからこそ自分が火災を発見したときに自然と体が動けるように初期消火の動作を反復して身に付けておく必要があるのだ。そこでイベントに勧誘する際はチラシなどを使って次回の開催予定日も含めて告知し、人々が複数回防災イベントや訓練に参加できるよう周知を徹底して行うべきだと考えている。
<解説編>
段落構成
1段落:東京で起こる災害とそのリスク
(首都直下地震と木密地域の火災)
2段落:初期消火訓練やイベントの告知と実施
(1人でも多く呼び込む・繰り返し勧誘・反復して訓練する)
の構成となっています。
今回、災害リスクについては首都直下地震のみを上げました。字数制限が800字ともなると2つ以上上げた場合字数が足りなくなってしまう恐れがあるからです。
とくに論題では「東京消防庁として推進すべき取組を具体的に述べよ」と指示があるので、災害リスクと対策を具体的に述べるためにはやはり1点のみ自分で選んで述べるのが無難かと思われます。
―東京の災害リスクとは?消防総監からのメッセージ―
今回の論題を見て、どこかで見たことがあると感じた非常に意識の高い方もいるかもしれません。
簡単に言ってしまうと、これは東京消防庁の現消防総監が東消のHP上で発信しているメッセージそのままです。
まず東消HPのトップページのバナーにある「消防の紹介」をクリックし、メニュー内の「消防総監からのご挨拶」を開いてください。
すると現消防総監の市川博三氏がメッセージを公開しており、
「首都直下地震をはじめとした東京の災害リスク」
「高齢化社会における救急需要」
「誰もが安心して暮らせるセーフシティ実現」
について語っています。
消防総監という、いわば組織のトップがこのように語っていることから、東京消防庁が今後どのようなことを目標にして動いていこうとしているのか一目でわかります。
そしてメッセージの冒頭部分から「首都直下地震」について述べているということは東消の組織がそれを一番警戒している事項であるとも予想できます。
そこでこの消防総監のメッセージをもとにしたとも解釈できる今回の論題において、私は東京の災害リスクとして首都直下地震をあげたわけです。
―首都直下地震による被害への対処。東京の特徴を踏まえて―
大規模地震発生後は建物倒壊によって火災や救助、救急搬送の要請が殺到することが容易に想像できます。
もちろん東京消防庁としては救助や救急も同時並行で対応することと思われます。しかし私としては最優先で対処するのは火災だと思っています。
本文でも述べた通り火災は対処しなければ延々と延焼しつづけ、被害が瞬く間に拡大するからです。消火の専用装備や技術を持った機関は消防しか存在しないため、地震後の対応では消火が最優先事項として掲げられることが予想できます。
この想定を踏まえて、普段からどのようなことに力を入れて対策を行っていかなくてはならないか考えた場合に思いつくのが「住民による初期消火」です。特に木密地域での火災がリスクが高いと考えられ、そのリスクを低減させるためにもそのエリアの住人はもちろん、近辺の人々にも対象を広げて繰り返し勧誘し、防災訓練や初期消火訓練を実施するべきだと私は考えたわけです。
そしていざというときに住人や近隣の人々が協力して初期消火することができれば、消火に割り当てられる人員も減らすことができ、その分救助や救急搬送に人員を追加できる余裕が生まれるわけです。
つまり、初期消火訓練の実施は火災の対処だけでなく救助や救急の支援という追加の効果も生み出せることになります。このため私としては普段の災害対策として本文で初期消火訓練の実施を述べたわけです。
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