【解答例】インターネットのメリットとデメリット 急増するサイバー犯罪【小論文】

2017年7月23日日曜日
屈折放水搭車 新宿LP(東京消防庁 新宿消防署)

東京消防庁H20年度2回目

「インターネットの普及が社会にもたらすメリットとデメリットをあげ、あなたの考えを述べよ」

の例文です。時間がある方は解説編もどうぞ。


<解答例>

インターネットとは、用途を限定しない汎用の通信基盤であり、全体を一人が管理しているわけではなく、世界中のネットワークがつながって動くしくみである。この自由度の高く、なおかつ世界中がつながるこの仕組みによってSNSを使用すれば爆発的な情報発信が可能になるメリットがある一方で、発信される情報の安全が保障されないデメリットも存在する。 

 

メリットとして具体的にあげられるのは、個人が世間に向けて才能を披露できること、そして企業や自治体が世間に対して広く広報、PRできることである。前者のメリットが見受けられるのは動画共有サイトである。このサイトに個人が趣味で歌ったものやオリジナル曲をのせた動画を投稿することが流行っており、この動画が視聴者から絶大な人気を得ることで動画投稿者がCDアーティストデビューするケースがある。そして後者のケースで成功した事例が鎌倉市である。鎌倉市は観光用掲示板を市内10か所に設置するための費用約100万円をクラウドファンディングと呼ばれるネット上の募金箱を通じて寄付を募った。すると3週間の間に100名から寄付があり目標である100万円に到達したのである。両者の成功に共通していることは、発信した情報が不特定多数の人々から支持され見返りを受けることができた点である。

 

 デメリットとしてあげられるのは、メリットであるはずの世界中をつなぐネットワークがいわゆるサイバー犯罪に使用されるケースもあることだ。具体的には不正アクセスや詐欺メール、ランサムウエアを使用した重要情報の身代金要求があげられる。また、近年では個人の証券口座が乗っ取られて不正な取引をさせられたり、警察官になりすました者がビデオ通話を使って金銭をだまし取る事件が多発している。つまりSNSで誰もがつながり、世界中に自由に情報を発信できるということは、悪意のあるものがインターネットを使えば世界中の誰でも標的にできるということでもある。メリットであるはずのつながりの広さが裏を返せばサイバー犯罪の広がりやすさにつながってしまうのである。

 

上述したようにインターネットは性質上単一の管理者がいるわけではなく、やり取りされる情報自体を取り締まることはできない。そこで、自分でできる最低限の自己防衛は自分が受け取ろうとしている情報の安全を見極めることであると考えている。例えば警察官はビデオ通話で取り調べを行うことはあり得ないし、メールに記載されたリンクは安易にクリックせず、事前に安全かどうか確認する癖を持つべきなのである。インターネットを適切に、正しく使う能力を表すネットリテラシーという造語がある。私はこのネットリテラシーに基づき、インターネット空間には常に身近に悪意が存在していることを意識しつつ適切な使用をもって便利な生活を送る一手段としたい。

 

<解説編>

1.インターネット=SNSではない

第一段落でも述べたようにインターネットはあくまでインフラであり、そのインフラを活用しているものの一つがSNSになります。

今回のような論題ではつい

「SNSのメリット(例:才能披露)とデメリット(例:炎上)」

として解答してしまいがちですが本来はインターネット特有のつながりの広さがもたらすメリット(例:SNS拡散)とデメリット(例:サイバー犯罪リスク)として論じることができれば一歩踏み込んだ解答を仕上げることができます。

 

2.インターネットのイメージについて

インターネットとは分かりやすく言うのであれば道路のイメージだと考えています。

例えばその道路を車で移動すれば、道路が続く限り行きたい場所にどこでも行くことができます。

注意したいことは、道路があること自体にメリットやデメリットはないということです。

問題は道路の使われ方であり、優良な運転手がいる一方、飲酒運転や犯罪実行のために車を運転する者もいるわけです。道路自体に飲酒運転者や犯罪者のみを排除する機能がないことはインターネット空間内に紛れ込む犯罪者が自動的に排除できないことと似ています。

要はこのイメージを素にインターネットのメリットとデメリットが論じられればいいわけです。

 

 

※豆知識―自治体が情報の拡散に成功した例―

袖ケ浦市が公開した消防士の動画が200万回以上再生される。

個人的には、自治体広報の事例としてかなり面白いと思います。

千葉県袖ケ浦市は2022年に広報担当TikTokを開設しました。

その中で消防職員の訓練を撮影した、

「ロープブリッジ救出」

という動画が、自治体動画としては異例の200万回以上再生されました。2023年にはTikTok Japanの「パブリックセクター ショートムービーアワード」で審査員特別賞も受賞しています。

市によれば、消防士を主役にし、当時注目されていた映画・アニメなどの流行も取り入れたことが特徴です。

つまり、

「行政が伝えたいこと」

↓

「市民が見たいと思うコンテンツ」

の変換に成功した事例と言えますね。


ちなみに別記事においてSNSを使用した広報の成功事例をまとめた記事へのリンクを貼っておきます。参考までにどうぞ↓↓

自治体のインターネット広報の成功事例7選|SNSを活用した具体的な取り組みと成果

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