令和6年度 川崎市消防局小論文 「消防業務において自己と組織の能力を最大限に発揮するために必要な事とは」

2026年5月30日土曜日

 

救助工作車 中原救助(川崎市消防局 中原消防署)


令和6年度 川崎市消防局小論文


消防の業務は、市民の生命、身体及び財産を災害等から守ることを目的としており、発生した災害に安全・確実に対応する必要があることから、自己及び組織の能力を最大限発揮し、効率的かつ効果的な活動をするために必要であると考えられる事項について、消防の業務の特性を踏まえてあなたの考えを述べなさい

 

の解答例です。まずはヒント編を読み、ウォームアップしてみましょう。

<ヒント編>

―論題分析―

長い論題ですが、答えなければならない要素は

・「消防業務において効率的に活動する際に自己と組織の能力を最大限発揮するために必要な事」

・「消防業務の特性」

です。


私としてはこの論題は受験生が「消防業務の最大の特性」を知っているかどうかを試されていると思っています。

そのため、本文中でこの「特性」について触れられない場合、大幅に減点されると考えています。よって、最初に考えなければならないのは「消防業務の特性」、そしてそれを踏まえた上で「自己と組織の能力を上げ、活動効率を高めるために必要な事」の順番で論文を組み立てていくといいでしょう。

 

―練習―

ウォーミングアップが終わったところで実際に書く練習をしてみます。

下記の事項について150字程度で埋めてみてください。

「自己と組織の能力を上げ、効率的、効果的な消防活動実行のために必要な事(消防業務の特性を踏まえること)」

「具体的に個人で実行すべきこと」

「具体的に組織で実行すべきこと」

 

 

<解答編>

消防の業務において、自己及び組織の能力を最大限発揮し、効率的かつ効果的な活動を行うために最も必要であると考えられる事項は、日頃からの不断の訓練、徹底したコミュニケーションに基づくチームワークの強化、並びに柔軟な判断力の涵養である。そのように考える理由は、消防業務の最大の特徴が市民の生命・身体・財産を守る人命第一の緊急対応業務だからだ。予測困難で時間的制約が厳しい中、一瞬の判断ミスや連携の乱れが重大な結果を招くことも十分に考えられる。そのため、個人能力の向上と組織としての総合力向上が不可欠と考えるのである。


まず、自己の能力を高めるためには、不断の訓練と自己研鑽が不可欠である。消防士に求められる消火、救助、救急技術は、身体能力だけでなく、危険察知力やストレス耐性も含めた総合力だと考えている。これらは日々の業務や訓練を通じてしか身につかない。そのため、ポンプ隊員を志望している私としては時間が空いた時にはロープ結索や防火衣の着装、ホースの展開や取り扱いなど一人でもできる訓練を常に反復して訓練していく必要があると考えている。


次に、組織の能力を最大化するためには、徹底したコミュニケーションを基盤とした強固なチームワークが最も重要である。消防活動は個人ではなく組織としての集団行動であり、指揮命令系統に基づく的確な連携が求められる。火災現場では、無線による情報共有、隊員同士の声かけなど、コミュニケーションの質が安全確実な業務遂行を直接左右する。特に煙が充満した暗闇や騒音の大きい環境では、わずかな伝達ミスが隊員の命に関わる。日常の訓練を通じて隊員同士で言わなくても分かるレベルの阿吽の呼吸を目指し、相互理解を深める必要があると私は考えている。


さらに、柔軟な判断力の涵養も重要である。上で述べた通り、消防活動の現場は予測困難かつ時間的制約が常に付きまとう。そのため、場合によってはマニュアル通りの対応だけでは不十分であり、刻々と変化する現場状況を的確に把握し最善の判断を下す力が求められる。この力をつけていくためには現場や訓練問わず活動後のミーティングなどを通じて改善点やヒヤリハットを言語化して隊員間で確実に共有することで次回の現場対応に活かしていく必要がある。また、逆に新人であろうとこのミーティングで自身が感じたことや考えたことが発言しやすくなる雰囲気作りも同様に組織として重要である。


結論として、消防士は市民の安全を守る砦としての自覚を持ち、日々の訓練に励み、徹底したコミュニケーションによるチームの一体感を高め、常に最善の対応を追求する姿勢を忘れてはならない。この不断の努力こそが、自己及び組織の能力を最大限発揮し、消防本来の使命を果たすために必要不可欠であると考える。

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