令和5年度大阪市消防 消防吏員BⅡ作文

「 自分の役割を最後までやり遂げる人」と題してあなたの考えを述べなさい。

の解答例と解説記事です。作文の問題ですが、大卒小論文レベルで解答しています。


<解答例>

私は、自分の役割を最後までやり遂げる人とは、状況が困難になっても責任を放棄せず、周囲と連携しながら成果に結びつける人だと考える。


その理由は2点ある。第一に、消防の仕事は、一人の途中放棄が他者の命に直結するからである。火災現場や救助活動では、隊員それぞれが決められた役割を担い、その連鎖によって一つの活動が成り立っている。たとえば、筒先を持つ隊員、水利を確保する隊員、情報を伝える隊員のうち誰か一人でも持ち場を離れれば、全体の活動が崩れ、要救助者や仲間の安全が脅かされる。だからこそ、与えられた役割を最後まで果たすという姿勢は、組織の信頼の土台になる。


第二に、物事をやり遂げることと抱え込むことは違うからだ。私は学生時代、所属していた空手サークルにて急遽いなくなってしまった会計担当の代わりを任されたことがある。しかし帳簿の記載方法やサークル管理委員会との折衝、領収書の分類や管理など作業量の多さから途中で投げ出したくなったことがあった。しかし、自分が担当を放棄すればサークルの運営に支障をきたすと考え、他サークルで会計を担当している友人に相談して手順を教えてもらいながら、最後までやり切った。その結果、事務処理や折衝がスムーズに行えただけでなく、サークル会長からの信頼を得ることができた。この経験から、やり遂げる力は一朝一夕に身につくものではなく、日々の小さな責任を果たす積み重ねによって培われるものだと学んだ。


上記のように最後までやり遂げることは、決して一人で抱え込むことではない。自分の力だけで解決しようとして状況を悪化させれば、かえって役割を果たせなくなる。困難な場面では早めに報告、連絡、相談を行い、仲間の力を借りながら任務を完遂することもまた、真にやり遂げる姿勢である。特に消防は組織で動く仕事であり、自分の役割を果たすことと、他者と協力することは両立する。


以上のことから、私は自分の役割を最後までやり遂げる人とは、責任感を持って持ち場を守り、必要な時には仲間と助け合いながら任務を全うする人だと考える。私も消防職員として市民の安全と安心を守るために、どのような困難な状況でも自分の役割を最後まで果たし、仲間から信頼される人材を目指したい。



<解説編>

解答するにあたって私が重要だと考える3つの視点を紹介します。

1. 「やり遂げる」の定義を自分の言葉で決める
題は抽象的なので、冒頭で「やり遂げるとは何か」を定義できるかが出発点になります。「諦めずに続ける」だけでなく、「周囲と連携する」「優先順位を見極める」など、どの要素を軸にするかで論の方向が決まります。定義が決まれば、理由や例がぶれません。今回は「周囲と連携する」ことを定義に選んだ解答となっています。


2. 消防という職務に引き寄せて考える

大阪消防の試験である以上、一般論で終わらせず、「なぜ消防でこの姿勢が必要か」まで掘り下げる視点が求められます。命に関わる現場、チームでの活動、市民の信頼といった消防特有の条件と結びつけると、論述に説得力と受験先への適合性が生まれます。


3. 「最後まで」の裏にある限界やリスクを問い直す
「何があっても一人で抱えてやり切る」は、状況によっては危険や判断ミスにつながるおそれがあります。無理をして役割を果たそうとする姿勢と、報連相や引き継ぎで役割を全うする姿勢の違いを考えると、論に深みが出ます。この視点は、客観性や協調性を評価される公務員試験では特に有効です。

この3つを軸にすると、「定義→消防との関連→限界を踏まえた深め」という流れで、考えと理由を整理しやすくなります。


ー日ごろから信頼を積み重ねる必要性ー

解答の中で私が特に重要だと考えるのが第二段落以降にある「抱え込むこととやり遂げることの違い」です。会計を任された当初、自分の仕事なのだから自分で解決しなければならないと思っていました。しかし、自分で抱え込めば抱え込むほど作業が溜まってしまい事態が一向に良くなることはないと気付きました。

たまたま私が相談したのは友人であり、協力することについては惜しみなかったです。一方、アルバイト先や職場では全員が親しい友人であるとは限りません。

そこで重要なことが日々周囲との信頼関係を構築することだと思っています。例えば自分に任された如何に簡単な仕事であろうとも日々丁寧にこなすことと、自分が協力を求められたら惜しみなく力を貸すことです。

このようにして日々「信頼という貯金」を作っていくことで上司や友人とまではいかない同僚についても自分が困ったときに手を貸してくれる存在になってくれると思っています。



おまけ

解答の視点1でやり遂げる定義で「周囲と連携する」の他に「優先順位を見極める」こともあげました。今回の解答では触れなかったのですが、実際にこちらを解答の軸にした300字程度の要約サンプルを紹介しておきます。

<例>

私は、自分の役割を最後までやり遂げる人とは、状況に応じて優先順位を見極め、本当に果たすべき役割を最後まで全うする人だと考える。


その理由は、仕事では時間や人手に限りがあり、すべてを完璧にこなすことが難しい場面が多いからである。たとえば飲食店のアルバイトで、忙しい時間帯に清掃や補充作業に集中してしまい、注文対応が遅れれば、店全体の信頼を損なう。担当業務の中で今何が最も重要かを判断し、そこに力を注ぐことが、役割を果たすことだと考える。


また、優先順位は独断で決めるものではない。店長や同僚に状況を共有し、方針を確認することで、チームとして成果を出せる。私は、冷静に状況を見極め、周囲と協力しながら任務を最後まで果たす人でありたい。